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百合チート持ちで異世界に転生したとか百合ハーの姫になるしかない!!  作者: 無色
白黒円卓編:黒

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2-144.楽園の定義

 拝啓、愛しのサクラへ。

 元気にしてますか?

 風邪はひいてない?

 ちゃんとご飯は食べてる?

 ……なんて、まだ二十四時間も経ってないんだから大丈夫だと思うけど。

 私はというと、


「助、け……ここから、出し……て……」


 首から下を地面に埋められてます。


「脱退なんて肝心なことを誰にも言わなかった罰です」


 にしても絵面が拷問すぎるだろ。

 今から処刑するつもりかこいつら。


「お姉最低!」

「姉さん最低です!」

「あっ、妹たちから向けられる侮蔑の視線たまんねっ♡」

「まだ余裕ありそうね。シキ、毒蟲ちょうだい。頭からぶっかける」

「嫌ぁぁぁ!! 異種姦同人誌にされちゃうぅぅ!!」


 せめて触手にしてまだエッチだから。


「リコリスさんの処遇はともかく」

「ここからまだ責められる展開あんの?」

「サクラさんの心境を察せられなかったのは不徳の致すところですね」


 シャーリーの言葉に全員が押し黙った。

 サクラの境遇については、みんなが把握してた。

 だけどサクラが本当に抱え込んでた部分を理解してあげられていたのかというと、そうじゃない。


「ずっと……ひ、一人で、悩んでいたんです、よね」


 サクラ自身踏み込ませようとしなかったし、私たちもそれを踏まえた上で一歩引いていた自負はある。

 それだけサクラの(トラウマ)は深かった。

 けれどそこに気安く触れた奴がいた。

 チェスティだ。

 

「サクラちゃんの脱退……百合の楽園(リリーレガリア)の瓦解を目論んでいたなら、あの子の目的は達成したっていうことなんやろうね」


 あいつがどこまでを計算していたかはわからないにしても、とことんダメージを与えてくる陰湿さはたまったもんじゃない。

 奪われた……悔しいけどそういう言い方が適切なんだろう。

 だけど……


「いつまでも好き勝手させんのは癪。っしょ、姫?」

「ああ。ルウリの言うとおりだ。わからせてやる。私たちを敵に回したらどうなるか。今までも、今も、これからも、最強はいつだって私たち百合の楽園(リリーレガリア)だってことをな」

「そんな状態で何をカッコつけているんですか」

「おい尻をどけろお前が今座ったのはラブリーでチャーミーな嫁の頭だぞ」


 でもお尻やらかぁい。

 こういうのも好っきぃ。


「きっかけはどうあれ、出ていくと決めたのはサクラ自身のようですし。決意を無下に扱うのも違います。サクラのことは過干渉にならない程度に気に留めておくくらいでちょうどいいでしょう。それより、肝心なのはこれからです」

「そうね」

「みんなで強くならないとね〜♡」

「その手段が問題なんじゃがな」

「むぅ、アルティ姉なんか冷たい! サクラ姉が出てっちゃったのに! なんでそんな冷静なの?!」

「姉さんたちもです! 寂しくないんですか?!」


 マリアとジャンヌが憤る。

 言いたいことを言葉にしてくれるってのはありがたいね。


「めちゃめちゃ寂しいに決まってるだろ。サクラのこと大好きなんだから」

「だったら!」

「大好きだから止めなかったんだ」

「……!」

「そりゃあさ、皆が傍にいてくれたら私はそれが嬉しいよ。だけどそれで皆のことを束縛するのは嫌なんだ」


 皆は観賞用の花でも愛玩動物でもない。

 傍にいなきゃ愛でられない狭量なら、私はとっくに皆から見放されてたんじゃないかなって思う。


「それぞれが自由を掲げて、やりたいことを好きなだけ楽しんで、大好きをめいっぱい受け止めて。この世界は私の楽園。それと同時に皆にとっての楽園でもある」

「だから……出ていくのも自由、ですか?」

「私は今まで一度だって、皆のことを鳥籠に閉じ込めたことはないよ」


 成長するっていうのは、選択肢が増えるってことだ。

 やりたいことが増えれば、その手段も必然的に増える。

 これは私の勝手だけど、皆には百合の楽園(リリーレガリア)をその手段の一つにしてほしいと思ってる。

 実力も名声も資金力も技術も、そして楽園の定義仲間も、ここには全部があるから。

 

百合の楽園(リリーレガリア)は皆にとっての人生の終着点でなくてもいい。極論だけどさ、皆がそれぞれ自分のパーティーを立ち上げたっていいんだよ。皆がここにいたって事実は変わんないし、私はそれでも変わらず皆のことを愛してるからね。それに何より、私が好きになった女だよ。何があっても大丈夫だって信じてる」

「リコリス姉……」

「リコリス姉さん……」

「マリア、ジャンヌ、だからぐぎゅ?!!」

「そんな変な状態で!!」

「カッコつけても全然カッコよくなんてないんですからね!!」


 それは十二分にそうなんだけど、それにしたって二人同時に姉の顔面を足蹴にする妹ってどうなの?






 他の皆はそうでもないけど、マリアとジャンヌは納得いってないみたいだった。

 シャーリーやユウカが宥めて一旦は落ち着いたみたいだけど。


「毎日サクラ姉に鬼電してやる」

「メールもいっぱい送ってやります」

「おーやれやれ。やってやれ」

「「フンッ」」


 ありゃ、そっぽ向かれちゃった。


「嫌われたかな」

「私たちより感情を露呈してくれているということですよ」

「嫌よね。物分かりが良いってのは、人生が(こな)れてる感じがして」

「それはあなたが100歳超え(アラハン)というだけですが」

「よしわかったケンカね」


 ケンカすんな。


「サクラのことも気にかかるが、同時に優先せねばならんことがあろう。どうやって今より強くなるか、じゃ」

「修行とか?」

「仲間内でガチめにバトったり? てかそもそもそんな時間ある?」

「時間に関しては(わらわ)が何とかしよう。失楽園(パラダイスロスト)なら、体感時間を数千年と引き延ばせる」

「けど……が、がむしゃらに修行して、強くなる……かというと……」

「疑問やね。何か」


 手掛かり……か。


挿絵(By みてみん)


「うーん……」


 やっぱりそこは手当たり次第当たってみるしかないか。

 手掛かりに宛が無いわけじゃないし。


「久しぶりに皆のとこに顔出してくるか」


 限界のその先を覗くなら、やっぱり領域の外の存在に話を聞いてみないとね。

 今回も読んでいただきありがとうございますm(_ _)m


 おもしろかったと思っていただけたら幸いです。


 リアクション、ブックマーク、感想、☆☆☆☆☆評価にて今後も応援よろしくお願い致しますm(_ _)m

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