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ニーナ、南部辺境区の情報を得る

予告なく修正することがあります。

 十数軒の家が並ぶ村の周りには、米と大豆、麦等の主食と数種類の野菜が育てられていた。村を囲む柵もゴブリン程度は防げる強度を持っていた。

 馬車から降りたニーナは辺りを見渡して、子ども達をみて大きく頷いた。


「今日はここに泊めて貰おう。お嬢、エレンと村長に挨拶してきてくれ。」

「行ってくるのじゃ。妾はリーダーじゃからな。エレン、行くのじゃ。」

「はいはい。」

「うにゅ、ギルスもエレンも「はい」は一回なのじゃ。」


 キキは村人から何やら話を聞いて回り、戻ったゼンが村人と交渉を始めた。

 ニーナとエレンが戻って来たときには、村人が様々な物を持ち寄って集まって来た。そして、椅子やテーブルを並べて、持ってきた品物を置いて席に着いた。


「うにゅ、何事じゃ。」

「味噌や醤油、酢が有るみたい。物々交換で貰おうかと思ってね。」


 既にゼンは並べられた物の味見をし、どれだけの量が有るのかを確認していた。村人と一言二言交わすと、村人の欲しがったものと交換していった。


「でも、あんた。いいのかい。お金にすると味噌より、傷薬の方が高いよ。」

「問題ない。」

「価値通りにすると、食材が根こそぎなくなるわよ。それは困るでしょ。」

「ミスリルの商人なんて初めて見たが、これほどとは思わなかったぞ。」


 ゼンとキキの商人クラスはいつの間にかミスリルになっていた。

 その後も、村で作っている野菜を見て調理法を聞き、合う調味料を試して回った。日が暮れようかという頃にゼンは何処かへ出かけて行った。

 ニーナは出て行くゼンに近づいて、何かを告げると馬車の幌の上へ上がった。


「皆の者、美味しいご飯を食べたいか?!」


 突然、馬車の幌の上に立ったニーナは、大声で叫んだ。


「うにゅにゅにゅ、食べたくないのか。食べたければ拳を上に突き挙げて「おお」なのじゃ。もう一度じゃ。皆の者、美味しいご飯を食べたいか?!」

「おおっ!」


 今度は村の子ども達が中心になって声を挙げた。大人達も仕方なく拳を挙げた。


「よし、すでにコンロは出ておる。ゼンがもうすぐ大量の肉を持ち帰るのじゃ。皆の者、ご飯とスープを作るのじゃ。あっ、野菜の盛り付けも作るのじゃ。忘れると、キキに怒られるのじゃ。」


 村人全員で米を炊き、スープを作り始めた。そんなニーナ達を見ながらキキは少し離れて耳に手を当てた。


「村人全員参加になったわよ。大丈夫?そう、なら大丈夫ね。」


 独り言を呟くキキをミリアンだけが見ていた。視線に気付いたのかキキが見返すと、ミリアンはニーナの方へ歩いて行った。


「気付いたかしら。」


 キキが村を一回りしてニーナ達のところに戻った頃、ゼンが大きな肉の塊を担いで戻って来た。


「ジャイアントバトルオックス。」

「あれは中々に美味じゃ。」

「うん、美味です。」

「じゅる。」

「ララ、ロロ。はしたないですよ。」

「ミリアン、涎。」


 食欲に正直な年少組を注意したミリアンが、エレンの一言で項垂れた。

 皮を剥がれた巨大な肉の塊をゼンは無造作に上に放り投げた。同時に抜いた腰のナイフを物凄い速さで動かし、キキが飛び散る肉片を魔法で集めて皿に盛った。


「皆の者、焼く準備は出来たか?子ども達は野菜も食べるのじゃ。」

「おおっ!」

「よし、戴きますなのじゃ、」


 村を挙げてのお祭りのような食事が始まり、村人もコルノ一家も楽しそうに食べていた。


「こんな美味しいものを食べることが出来るとは思ってもみませんでした。」

「妾達の旅は毎日が美味しいの連続なのじゃ。」


 コルノ家の子ども達は次々に焼ける肉を、口に運ぶのに忙しく手を動かしていた。


「子ども達も大喜びですわ。私もスープを作りましたので、お試しください。」


 ジェーンが椀にスープを取り分けて、ニーナ達に渡した。ゼンが最初に口をつけた。


「美味い。」


 ゼンの感想を聞いてニーナ達は、ジェーンのスープを口にした。


「コンソメ、鶏ガラも入っているのね。」

「あら、よく判りますね。」

「これなら妾も野菜が食べやすいのじゃ。」

「ふふふ、この子達に野菜を食べさせるために錬成した出汁ですよ。」


 一足先に食事を終えたゼンは、村人から出された味噌や醤油、酢の味を確かめながら、傷薬や治療薬と交換した。

 翌日、夜明けに起き日課の練習をして、太陽が朝日で世界を染める頃には、村人達が集まっていた。


「妾はまた来るのじゃ。また、何時かなのじゃ。」

「お嬢様、御止め下さい。危険です。」


 幌の上に立って手を振るニーナを、慌ててミリアンが止めに入った。暴れるニーナをギルスとエレンが、苦笑を浮かべながら引き摺り下した。


「ゼン様、お嬢様をあんなところに乗せないでください。」

「善処しよう。」


 ニーナを幌の上に乗せたゼンに、ミリアンは腰に手を当てながら苦情を言った。


「村で色々と聞けたな。」

「ああ、面倒に巻き込まれなければいいが。」


 ギルスとエレンは夕食の合間に、不穏な噂を耳にしていた。


 翌日、日の出ともに出発したニーナ達は、馬車を四頭立てにして進んだ。馬車の中でエレンとキキが村で仕入れた情報の摺合せをしていた。


「ゾルタン・ミリナ・ゴールマン伯爵は、以前よりハート辺境伯に手を出していたようね。」

「十年前にギルスが訪問した時も、嫌がらせがあったみたいだ。当時は荒くれ者を集めて、辺境伯領の畑を荒らしたり、家畜を盗んだりしていたらしい。ここ数年は流れの傭兵やはぐれ魔法師を雇い出して、領民への嫌がらせも過激になものになったようだ。」

「今回は暗殺者ギルドも複数、雇ったみたいね。村の結界にアクセスしてログを見たけど、少なくとも三つの暗殺者ギルドが通っているわ。」

「汗くせ?六?」

「研究中に作った専門用語よ。過去透視をしてみたの。結界の石柱には残留思念が残りやすいのよ。」

「去年も死者が出たらしいから、私達も気を付けなくてはならないな。」


 療養都市と村で聞いた情報では、ゴールマン伯爵の嫌がらせはどんどん過激になって行ったらしい。以前は死者が出ることは無かったが、最近は死者が出ることもあったらしい。

 そして、今回は怪しげな傭兵らしき者や、魔法師らしき者も少なからず伯爵領に向かったと情報もあった。

 何事も無く野営地に到着し、ニーナ達は夕食を食べ終えた頃、面倒がやって来た。

 こそこそと草むらを移動しているが、頭や装備がチラチラと見えていた。


「全部で八人。間抜けな野盗ね。」

「キキ、ゼンが不気味な笑顔になっておるのじゃ。」

「獲物の方から近づいて来るから、ギルス達は動かないでね。気付かない振りをしていて。」

「う、判った。」


 キキの言葉にギルスとエレンは、釈然としない返事を返した。


「うにゅ、血の雨が降る予感なのじゃ。」

空♂:投稿するのを忘れていた。

キ♀:サボっていたわけじゃないのね。

空♂:m(__)m

キ♀:やっと旅に出たと思ったのに。

空♂:もう少し、色々とあります。

キ♀:ゴールも間近ででしょ。

空♂:ゴールと言うか取り敢えずの目的地というか。

キ♀:まだまだ、終わらないのね。

空♂:^^;

キ♀:あまりサボらないで。

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