初めての剣術練習
予告なく修正することがあります。
Sep-19-2020、一部変更。
夜が明けるとすぐにゼンとキキが起き出し、野営地から離れて行った。目を覚ましていたニーナが二人の後を追った。そして、最後の不寝番をしていたエレンが気付き、ニーナから少し離れてミリアンと一緒に着いて行った。
少し離れた場所で二人は立ち止まり、キキはレイピアをゼンはナイフを抜いた。そして、ゆっくりと素振りするかの様に型を行った。
「何をしておるのじゃ?」
暫くじっと見ていたニーナが、我慢できなかったのか声を掛けた。
「練習だ。」
「何のじゃ?」
「斬る。」
「うにゅにゅにゅ。」
「正しく剣を使う練習よ。」
ゼンの少ない説明にニーナは理解できなかったのか、口を蛸のように尖らせて唸った。キキが見かねたように、微笑ながらニーナに説明した。
「何の意味があるのじゃ?」
「練習して何時でも、何処でも戦えるように備えているのよ。」
「キキは魔法師なのじゃ。」
「魔法師が肝心な時に、魔力切れじゃ駄目でしょ。必要がないときは剣で戦うの。」
暫く考え込むように俯いて、思いついたように顔を上げる。
「妾もするのじゃ。魔法師のキキがレイピアで野盗を倒したのじゃ。格好良かったのじゃ。」
「ゼン、お願い。」
「いいだろ。」
ゼンは小枝を拾い上げ、ナイフで余計な枝を切り落とし、持ち手を削ってニーナに渡す。
「斬撃は何種類あるか判る?」
「うにゅにゅにゅ。」
蛸口で考え込むニーナの後ろに、いつの間にかミリアンとエレンが静かに座っていた。
「左から右への横薙ぎ、左肩から右脇腹への袈裟斬り、上から下への唐竹割、右肩から左脇腹への逆袈裟。」
「4つなのじゃ!」
キキの説明に実演するゼン。説明を遮ってニーナが叫ぶ。
「はずれ。」
「うにゅにゅにゅ。」
横でレイピアを振っているキキに、茶化され顔をしかめるニーナ。
「逆方向もある・・・」
ゼンの言葉を遮ってニーナが立ち上がり言い放った。
「八つなのじゃ!」
「残念、はずれ。」
「うにゅっにゅっにゅ。」
「ふふふ。最初の八つの斬撃に突きを入れて九つの斬撃があるの。これを練習するのよ。」
キキはニーナに説明すると、ゼンに頷いた。ゼンはゆっくりと、突き、左薙ぎ、袈裟斬り、唐竹割、逆袈裟、右薙ぎ、下逆袈裟、切り上げ、下袈裟と続ける。
「私も毎日、素振りはするが、そんなことを考えたこともなかったかな。」
エレンは感想を口にした。護衛達も毎朝、剣を振っていた。
「これを毎日、最初はゆっくりと正確に、一週間、一か月、半年、一年。」
キキの言葉通りにゼンは九つの斬撃をゆっくりと繰り出した。
「十年、五十年、百年。」
徐々に速くなって行き、流れるような動きで九つの斬撃を放つ。それは剣舞のようにニーナ達の目に映った。
「そして、千年!」
ドンと空気が鳴った。ニーナ達の目には四方八方へ広がる刃が見えただろう。ゼンを中心に五メートルほど、膝丈にあった草が倒れてた。いや、斬られていた。
「何が起こったのじゃ!」
エレンとミリアンは息を飲み、目の前の光景に言葉が出なかった。
「九斬結界。劣化版だけどね。」
キキの小さな呟きで、二人は練習を終えて、朝食の準備に取り掛かった。
出来上がって声を掛けるまで、ニーナは一時間ほど枝を振り練習した。横に同じように枝を振るミリアンとエレンを見て、ゼンとキキが微笑んだ。
「うにゅ、ゼンの笑顔は不気味なのじゃ。」
ゼ♂:剣の練習。
キ♀:ちょっと速かったのでは?
空♂:う~、仕方ない。
キ♀:ゼンの笑顔は不気味?
ゼ♂:顔はどうにもならん。
空♂:最初は美形にしようかと思った。
キ♀:どうしてやめたの?
空♂:ありふれているし、パクリになってしまう。
ゼ♂:ピキィィィィン!
空♂:うおっ!




