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ニーナ、国王に物申す

予告なく修正することがあります。

Aug-26-2020、一部変更。

Sep-19-2020、一部変更。

 国王側の一人が立ち上がった。ギルスより少し背の高い金髪の、荒削りの岩の様な体格をした男だった。


「私は王国騎士団、総団長のヴァルボルト・レオ・ギルフォード。率直に聞こう。そなた等は王国に仇なす者か?」


 険しい顔でゼンを真っ直ぐに睨み、王国を外敵から守る防衛戦力のトップが問うた。


「違う。」

「ゼンよ。もう少し、長文で話してやるのじゃ。妾に剣術を教えるように。それに、陛下達は悪魔族を瞬殺した力を気にしておるのじゃ。ゼンの話が一番、聞きたいと思うのじゃ。」


 ゼンは横目でニーナを見て、背中の刀に手をかけた。国王達の後ろに控えていた騎士達が、ガチャリと音を立てて剣に手をかけた。ヴァルボルトは片手を挙げて。騎士達を制した。ゼンはゆっくりと自分の背丈と同等の長い刀を左手に持って、椅子を引いてドサッと腰を下ろした。もう一度、ニーナを見て溜息を吐いた。


「俺から仕掛けることは無い。お前達が敵に回らない限りな。」

「もし、我々がお前の敵になったら。」

「その命を以って知れ。」


 ヴァルボルト総団長は椅子に座り、溜息を吐いて王を見てから小さく頷いた。


「余に、王国に力を貸してもらえんか。」

「戦争に駆り出されるのはご免だ。お前達の勝手な思惑に手を貸すつもりは無い。お前達で決着をつけるがいい。最低限の義務は守る。ギルドを通じて税も払っているだろう。」

「あの男と同じことを言いよる。」


 王国の各ギルドに加入している者は、収入に応じて税を年に二回、支払う義務があった。ギルドプレートを魔道具に翳すと、金額が判るようになっていた。


「悪魔族の襲撃などの場合はどうじゃ。」


 軍務大臣の問いに、ゼンはニーナを見て促す。


「妾達は冒険者じゃ。クエストを発注すればいいのじゃ。」


 ニコリと笑うゼンを見て、王国側から小さな悲鳴が上がった。


「お嬢、よくぞここまで。」

「お嬢、立派になった。」


 ゼンの笑顔を見なかった、ギルスとエレンは潤んだ目で呟いた。


「わっはっはっ!判った。そなた等の力を借りたい時は、クエストを発注するとしよう。」

「国王陛下。」

「よい。クエストを発注すれば受けてくれるか。」

「危険と報酬が見合っていれば受けるのじゃ。」

「私は財務大臣のヨーサン・クレナ・ゴルシュタインだ。報酬は如何程になる。」


 モノクルを掛けた神経質そうな財務大臣が聞いた。


「クエストの難易度は冒険者ギルドが決定するわ。難易度が決まれば、ギルドが教えてくれるわ。」


 財務大臣は暫く考えるように顎に手を当て、何かを思いついたように王に退出の許可を得て、部屋を出て行った。


「次は儂、魔法大臣のハークシオン・ダイア・オールドマンじゃ。キキ殿は氷の魔法を使うと聞いておる。アシャ様より太古の白き凍滅の魔女の系譜ではないと聞いておる。しかし、キキ殿の魔法は我々の魔法より、威力が高いと聞いておる。違いを教えては貰えんか。」


 魔法大臣の言葉に筆頭魔法師が身を乗り出した。


「長年の研究成果を簡単に話すと思って。」

「それは・・・そうじゃ、の。」


 筆頭魔法師は肩を落として、落ちるように椅子に戻った。


「そろそろ、姿を見せろ。アシャ。」


 ゼンが鋭く言葉を飛ばすと、国王の後ろにアシャが姿を現した。


「もしかして、ずっとそこにおったのか。」

「そうだ。」

「ゼンの言葉に出てこなければ、強制送還しようかと思っていたのに。」


 足元に展開した魔法陣を見て、アシャは蒼白になった。アシャだけは理解したのだろう、その魔法陣の意味するものを。


「何を見せたの。まあ、いいわ。何処かの国が亡ぶところでも見せたのでしょう。」

「然り、余はそなたに敵対はせぬ。しかし、領地持ちの貴族達は、その力を欲するであろう。」

「その時は、対処するわ。貴族が減る事になるかもね。」


 キキの言葉に黙って頷くゼンを見て、全員の顔が少し色あせた。そして、他に王国側が協力して欲しいことを並べ、どうすれば協力してくれるかを聞いた。


「クエストを発注するのじゃ。」


 王国側の全ての問いを、黙って聞いていたニーナが一言で解決した。


「他国へも協力はしないのだな。」

「クエスト内容と報酬次第だ。戦争や国家間の問題は無視だ。」


 国王の質問に面倒臭そうに答えた。黙って聞いていたアシャが、部屋の片隅を見詰めた。ティーカップを置いたキキも同じ方向を見ていた。


「ん、この魔力。転移魔法?」


 キキの言葉に全員が、キキの視線を追った。部屋の片隅の空間が歪みそして、裂けた。出てきたものを見た全員が叫んだ。


「悪魔族!」

「レッサーデーモンだ。」

「しかし、姿がレッサーデーモンとは違うぞ。」

「レッサーデーモンの完成体よ。貴方達の言うレッサーデーモンは、幼生体よ。」

「レッサーデーモンと呼ぶな!俺は兄、バルドーザの弟、ボルドーザ!仇を討ちに来た。」


 ギルスとエレンは椅子を蹴飛ばして立ち上がり、剣を抜いて構えを取った。レイピアを抜いて構えるニーナを、守る様に立ったミリアンが短い杖を出して詠唱を始めた。ララとロロも武器を取って構えた。王国側は騎士団長のヴァルボルトが唯一人、剣に手を掛けてボルドーザを睨んだ。他の者は恐怖のためか、蒼白になりながら震えていた。アシャは成り行きを険しい顔で見詰めていた。


「アブソリュート・ゼロ。」


 キキが左腕を突き出して、開いた手を握った。


「パキンッ!」


 レッサーデーモンが瞬時に凍りついた。目の前の出来事に思考が追い付かないらしく、誰も動かなかった。


「これは俺達が討伐した。貰っていく。」


 氷像がゼンのマジックバックに消えた。


「また、不思議な物が増えたのじゃ。」

キ♀:がんばったのね。

空♂:これまでかな。次は盆明けになると思う。

キ♀:コロナに気を付けてね。

空♂:予防は大事だね。気を付けるとしよう。

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