主従契約
『私をどうするつもりですか?』
現在、アマサは不在である。
理由は真実の迷宮にて訓練をしているからだ。ある程度の基礎は教え終わったので後は反復するのみだ。
では、この部屋で誰が俺に話しているのかと言えば――
「お前の依頼者や目的全て洗いざらい話してもらおうか」
何を隠そうオールである。
しかし、数日前にオールは俺により殺されている。
ではどうやって? と思うかもしれないがなぜかと言われれば魔法のおかげとしか言いようが出来ない。
聖系統上級魔法<固定>だ。
その名のとおり固定する魔法。
一見簡単そうに思われるこの固定だが、非常に使い勝手がいい。
万物全てに作用するのだ。それは例え魂であってもだ。
故にオールは今俺との会話を成立している。
さすがに公然と魂との会話は驚かせると思い、俺の泊まっている部屋にて会話をしている。
と言っても尋問と言った方が正しいが。
『それを貴殿に話して何の得が?』
「んー? 延命かな」
『·····』
現在、オールの命は俺が握っている。
『断ると言えば?』
「別にそれでもいいが。俺の正体を知っているお前なら分かるだろう?」
『·····』
地獄とも生ぬるい経験をさせよう。
魔法発展期にはよく通用したものだ。ここでは内容を割愛させてもらうが、強いて言えば飴と鞭の繰り返しだ。
それを分かっているのだろう。重い口を開け――と言っても口はないが、青白い光源体となったオールは話し始める。
『依頼主は、ロンです』
開口一番ぶっ込んできたな。
まぁ、ある程度は予想出来たがにしてももう少し捻りようがあったろう。
余程俺との戦いが怖かったのかはしらないが、さすがモブだ。
ねちっこいな。しかし、今回に限ってはその決断は当たっているが、俺に寄越すのなら魔族なんぞよりも魔王の五体や十体用意してもらわなければ、俺の足が止まることはないな。
「目的は?」
『エヴァンの戦闘不能と拉致です』
これは俺でも予想がつかないな。
しかし、よからぬことだけだということは分かった。
ますます、クレアの事が心配になったな。まぁ、幾らクソでも精霊宝具の所有者であるクレアに強姦はしないだろう。
精霊宝具とは、わかる通り元々は精霊の宝具であったのだが、精霊王が人間との親睦の証として譲ったものだ。
それを国が勇者に譲り渡したのだ。それがアルテガである。
故に精霊の加護というのが精霊宝具には含まれ、所有者の身の危険をある程度守るとして、邪な心を放つ心汚き大方の人間の男はクレアに触れることすらままならないだろう。
しかし、それも結婚すれば話しは変わる。もちろん四六時中、鎧をつけることはないだろうしいつ襲われるか分かったもんじゃない。
それが想い人なろいざ知らず、クソ野郎だったらクレアとしても悲しいだろう。
「分かった。では、お前はこれからどうする? と言っても二択だが·····」
死ぬか生きるか。
死ぬなら魂ごと消滅させる。生きるのならば、俺の下僕となるしかないな。
オールはある程度の知識はもっている。野放しするといつ寝首をかかれるか分からんからな。
それが分かっているのか渋々といった様子でオールは決断する。
『貴方様に忠誠を誓わさせてください』
よし、言質はとった。
闇系統上級魔法<主従契約>を発動。
魂にその刻印を焼き付ける。俺が主で貴様が従者だと身をもって――いや、魂をもって知らしめる。
ある程度の痛みには耐えられるようでさすがのオール。
よし、魔法の契約は済んだ。
「じゃあ、お前の仮のからだだがこれな」
『こ、これですか? ――』
困惑するオールに俺は新たな肉体を授けたのだった。
オールの授かった肉体とは一体なんなのか? 答えは次回で




