第7話 僕たちの旅行 2日目 そして、終わり
僕はホテルに戻ってきて、布団に入ったが、全く眠 れなかった。
あんなことをされて眠れるわけがない。
亜衣は『誕生日プレゼント』などと言っていたが、
ただの『誕生日プレゼント』で、あんなことをするだろうか。
肝心の亜衣と言えば、布団に入ってぐっすりと、眠っている。
亜衣は全く気にしていないのか?
亜衣にとっては本当にただの『誕生日プレゼント』だったのだろうか。
何で、僕だけがこんなにも気にしているんだ、僕がバカみたいじゃないか。
少しだけ腹立たしく思ったが、いつまでも気にしててもいられないので、僕は頭で考えることをやめ、眠りについた。
翌日の朝、僕たちは四人全員で、ある有名な水族館に、向かった。
「すっごい大きいね!」
柚森さんが、はしゃいだ様な声で言った。
「そうだねー」
「うんうん」
「だなー」
僕たちも相づちをうつ。
「よし、早速、中に入ろうか」
「うんうん! 入ろ入ろ!」
「楽しみだなー!」
「いくら、建物が大きいからって、はしゃぎすぎだろ、二人とも」
輝正が放った一言で、この場が凍り付く。
「あ、やべ、やっちまった」
そして、二人同時に
「「うるさい!」」
「悪い悪い」
輝正が申し訳なさそうに言う。
そんな、いつもの会話に僕は少しだけ笑ってしまった。
そして、僕たちは中に入った。
「あー、見てみて、渡瀬くん! クリオネだよ! 可愛い!」
「本当だ、可愛いね」
僕たちはそれから、いろんなコーナーを見て回った。
時間が経つのは早く、最後のコーナーを見たあとには、もう午後5時過ぎぐらいになっていた。
「ねえ、みんな! 今から、イルカのショーやるんだって! 見に行ってみようよ!」
僕たちはそれに賛成し、最後にイルカのショーを見ることになった。
イルカのショーが始まり、席からは歓声などがあがっている。
「すごいねー! 可愛い!」
「うんうん! すごく可愛いね!」
亜衣と柚森さんは、すごく嬉しそうにイルカのショーを見ている。
そして、イルカのショーも終わり、水族館も閉館の時間が来た。
僕たちはホテルに戻った。
「早かったなー」
「そうだねー、何で楽しい時間ってすぐに過ぎちゃうんだろう」
「あ、そうだ!」
突然、亜衣が何かをひらめいたかのように、拳をポンと叩く。
「どうしたんだ? 亜衣」
「私ね。花火持ってきたんだ! みんなで一緒にやろうよ!」
「花火かー、いいね、 やろう!」
「おう! やろうぜ!」
僕たちは砂浜に行き、花火の準備をする。
「花火なんて、何年ぶりだろう」
「だねー」
「最近、全然やらなくなったしな」
そして、僕たちはそれぞれが持っていた花火に、火をつける。
「わぁ! 綺麗だね!」
「だねー!」
それから、打ち上げ花火とか、あといろんな花火をして遊んだ僕たちは、最後に線香花火をすることになった。
「ずっと、みんなで一緒に居られたら、良いのにな」
線香花火をやりながら、そう僕が切り出すと_____
「ああ」
と、輝正。
「うん」
と、亜衣。
「そうだね」
と、柚森さん。
三人とも、言葉は違っていても、同じように答える。
線香花火の火が、全員一緒に落ちた。
僕たちの旅行は、僕たち一人一人の思い出の一ページとなっていく。
そして、この旅行は、終わりを迎えた。




