序章 交通事故と神の御告げ
頑張って作りました。よろしくお願いします
雨だった。
国道沿いの横断歩道、点滅する信号、スマートフォンの画面。高校二年生の朝比奈蓮、十五歳。塾の帰り道、友人とのメッセージのやり取りに気を取られていた一瞬のことだった。
「あ――」
ヘッドライトの光が視界いっぱいに広がり、次の瞬間には何も見えなくなった。痛みすら感じなかった。ただ、体が宙に浮くような感覚だけがあって、それから――真っ白な空間に、蓮は立っていた。
「やあ、こんにちは」
声の主は、白いローブをまとった、性別も年齢も判然としない不思議な存在だった。光でできているようにも、ただの人間のようにも見える。
「ここは……」
「君の魂が今いる場所だよ。単刀直入に言うと、朝比奈蓮くん、君は死んだ」
あっさりと告げられた事実に、蓮は言葉を失った。
「事故だった。運が悪かったね。でも安心してほしい。僕は――便宜上『神』と呼んでもらって構わないんだけど――君にちょっとした詫びをしたいと思っている」
「詫び……?」
「そう。本来なら君の魂はこのまま輪廻の輪に還るところなんだけど、今回は僕の管轄する世界の一つ、『アルシエラ』という異世界に、新しい生として送り込みたいんだ。もちろん、タダでとは言わない。君には特別な力を授けよう」
神と名乗るその存在は、指を鳴らした。すると蓮の周囲に、光る文字のようなものが浮かび上がった。
「アルシエラは魔法が実在する世界でね。人々は生まれながらに『属性』という魔力の適性を持っている。火、水、風、土、光、闇……多くの者は一つか二つの属性しか扱えない。でも君には――」
「僕には?」
「全属性への適性を与えよう。加えて、生まれ変わる先は、その世界でも屈指の名門貴族の家だ。金髪と、その証となる首飾りを一つ、贈り物として持たせておく」
光が蓮の首元に集まり、繊細な意匠のゴールドのネックレスが実体を持って現れた。中央には小さな紅い宝石が埋め込まれている。
「これは……?」
「まあ、追い追い分かるさ。ただ一つだけ言っておこう。アルシエラには、光あるところに影がある。人ならざる者たち――吸血鬼や魔獣、古の呪いを受け継ぐ者たちが、今も息づいている。君の物語がどう転ぶかは、僕にも分からない。だからこそ面白い」
神はにやりと笑ったように見えた。
「頑張れ、朝比奈蓮。いや――これからは、別の名で生きることになる。楽しんでおいで」
視界が白く染まり、蓮の意識はそこで途切れた。
これから定期的に投稿しようと思います




