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カードバトルは命がけ ~誰も知らないスキル【決闘者】、モンスターを従えて成り上がる~  作者: 歩


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10/10

【10話】南へ

特に目的地は決めていたわけではない。


ただ、南に行けば、まだ見たことのないモンスターに出会えるだろう、という程度の見込みだった。


手持ちの戦力を強くするには、新しい素材が要る。


街道を数日歩き続けると、景色は少しずつ様変わりしていった。


木々はまばらになり、代わりに開けた草原が広がり始める。


草むらががさりと揺れ、茶色い毛玉のような何かが飛び出してきた。


二本の太い前足と、丸い巨体。見覚えのない魔物だった。


「決闘」


言うが早いか、視界が白に染まる。


牙ウサギを呼び出して仕掛けると、拍子抜けするほどあっさり片が付いた。


カードには「デカネズミ」と刻まれていた。


その後も、道中で何度か新顔と遭遇した。


硬い甲羅を持つ亀のような魔物――「コウラガメ」、俊敏に跳ね回る鳥型の魔物――「俊足鳥」。


そのたびに「決闘」と告げ、着実にカードを増やしていく。


(この調子で集めていけば、また新しい融合も試せるな)


見知らぬ相手との遭遇にも、以前ほどの緊張はなくなっていた。


フェザーウルフたちの連携もあり、大抵の相手はそう手こずらずに片付く。


思えば、最初にスライムと対峙した時の、あの震えるような恐怖はもうどこにもなかった。


剣を振るう腕にも、心なしか筋肉がついてきた気がする。


運動経験ゼロの元事務職が、いつの間にか随分と様変わりしたものだった。


それに、正直なところ――このカード集め自体が、いつしか純粋に楽しくなっていた。


見たことのない魔物と出くわすたびに、次はどんなカードになるのか、少しわくわくしている自分がいる。


歩きながら、懐から小さな手帳を取り出す。


前の街で買っておいたものだ。これまでの融合の組み合わせと結果を、思い出せる限り書き留めてある。


『スライム+ゴブリン=ヌメリネズミ』 『ヌメリネズミ+ゴブリン=牙ウサギ』 『ヌメリネズミ+牙ウサギ=フェザーウルフ』


こうして並べてみると、少しずつではあるが、着実に積み上がってきているのが分かる。


今後、新しい素材が増えるたびに、この記録はさらに厚みを増していくはずだった。


手帳を懐にしまい、俺は再び歩き出した。


俊足鳥をカード化した、ちょうどその瞬間だった。


頭の中に、聞き覚えのある機械的な声が響いた。


『所持モンスターが十種類に到達しました。モンスターの詳細閲覧機能を解放します』


「……は?」


突然のことに面食らいながらも、あたりを見回す。


街道には人影もなく、試す相手がいない。


ひとまず、ケースから何気なくスライムを一体呼び出してみた。


途端に、視界の端に文字が浮かび上がる。


スライム レベル1


(おお……)


これまでは、いちいちギルドまで足を運んで測定してもらうしかなかった。


それが今では、目にするだけで分かるらしい。


試しに、道端の草むらでのんびりしていた見知らぬ小鳥に視線を向けてみる。何も表示されない。


(自分でカード化した相手じゃないと、駄目なのか)


どうやら、無条件にあらゆるモンスターが見えるわけではなく、あくまで一度カード化した経験のある種族限定の恩恵らしい。


それでも、決闘に挑む前に相手のレベルがある程度分かるなら、これはかなり大きな進歩だった。


俺は少し口元を緩めながら、町への道を歩き続けた。

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