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【エピローグ】
「――しましたとさ。おしまい」
咲は、絵本のページを閉じた。
「このおはなし、なんかすき」
「どうして?」
「このかめんのお姉さん、なんかやさしそうだもん」
娘はまんまるい瞳で言った。
「違うわよ。この仮面の人は男よ」
「へえー。でもすき」
「うん、面白いよねこの話。なんか昔のこと思い出しちゃった。ねえ祐君?」
台所で洗い物をしていた祐は、蛇口の水道を止めて振り返る。
「ああ。昔の俺たちみたいだ」そう答えると娘は「ねえねえ」と両手を床についてこちらにハイハイしながら近寄ってくる。
「この絵本のおはなし、なんて名まえなの?」
娘はつぶらな瞳で祐の顔をまじまじと見ている。奥で足を崩して座っている咲も、こちらを向いていた。
祐はこの光景を胸にしみこませた。咲の面影が重なる。その面影が自分の中から消えてしまう前に、と確かめるように胸を張って娘に伝える。
「雨音の行方」
ダヴィンチになろうと思います。




