第2章 16話
弥生の意識が戻り、お医者さんから弥生に一生車椅子生活と告げられて一週間が経とうとしていた。
昴に電話してもコール音がおもりを垂らすようにいつまでもいつまでも鳴り響いて出てくれないし、SNSでメッセージを送っても既読マークは付くが、返信が無かった。歩けない事を言ってから昴と全く連絡が取れなくなったから心配になり、彩月に電話をかけて、数回のコールがなったが「ただいま電話に出られません」とアナウンスが流れて仕方が無くスマホを切った。私が一生車椅子と聞いた途端私以上にショックを受けていて、また昴の責任ではないのに、昴は責任を抱え込む悪い癖があるから、心配だなと思いながら天井を見上げていた。
しばらくすると、彩月から折り返しの電話がかかってきて「もしもし」と出たら彩月が「さっきはごめん。電車の中だったから出られなかった。どうしたの弥生」と心配した声で聞いてきた。
「最近、昴と連絡を取っている?」と聞いたら、「もしかしてあれから昴と全く連絡取れてないの?」と聞いてきた。
「そうだよ。私が電話しても出てくれないし、SNSでメッセージを送っても既読は付くけど返信が無いから心配だよ」と答えたから、彩月は溜め息を吐いて、もう昴ったら弥生に心配かかすなと思いながら「分かったよ。私が昴に連絡を取ってみるからちょっと待ってて」
「彩月、ありがとう。もし昴と話せそうだったら、これだけは伝えて『昴のせい違うよ』と伝えて」と言い彩月との電話を切った。
彩月はすぐに昴に電話したが、案の定昴は電話に出なかった。海翔と連絡を取っていると願って彩月は海翔に電話をかけてみた。数回コールが鳴り、すぐに海翔が出て「もしもし、俺だけど、彩月から俺に電話してくるなんて珍しいな。どうした?」と聞いた。「海翔、昴からこの一週間ぐらい連絡取っている?」と海翔に訪ねた。
「昴か、いや連絡は取ってないよ。昴がどうしたの?」と聞き返した。「いや、弥生から相談を受けただけど、一週間ほど連絡が取れないみたいだから、海翔のとこに連絡しているのかなと思って電話したんだ」と心配している声で言った。
「昴にしては珍しいな。弥生に全く連絡してないなんて。昴の事だから……」と言い海翔は少し考えこう続けた。「まさかあの事故で弥生ちゃんが車椅子になった事を自分の責任と背負い込んでいるから、合わせる顔が無いって思っているのかな」と言ったら彩月は「私も海翔と同じ意見だよ。だからこそ心配。昴は弥生の事になると全部背負い込む悪い癖あるから」
「確かにな、昴はまっすぐだからこそ抱え込むからな。分かった。俺が昴に電話してみるわ」と言い「海翔、お願い。私も出来る事あればフォローするから」と言い彩月は電話を切った。