第2章 14話
手術が始まってもう七時間が経とうとしていた。ホテルに戻っていためぐみは昴の為にサンドイッチを買って戻ってきた。
「岡さん、弥生さんは?」と聞いてきた。昴は無言で手術中の赤いランプの方に目線を向けた。それを察しためぐみは昴の横にサンドイッチを置いて昴と距離を取って座った。それを見ていた彩月は、とうとう堪忍袋の緒が切れてしまって、めぐみの方に歩いて行き、「あなたがいなかったら、弥生がこんなことにならなかった」と我慢してきた感情を爆発してめぐみにつかみかった。めぐみは黙っていた。返事しないことに油が注いだように「黙ってないでなんか答えてよ」と激しく揺らした。
昴は間に入って「弥生、落ち着いてよ。寄り道してしまった僕が悪いよ」と言い、つかみながら、「昴、口を挟まないでよ」と言い押し返した。海翔が戻ってきて、横から海翔の平手打ちをして「彩月、落ち着いて。星口さんに何してるの? 星口さんが悪いわけ違うでしょ」と海翔に言われ、我に返ったかように頬を押さえながらめぐみから離れた。
「彩月、一旦ホテルに戻って気持ちを落ち着かせたら」
「そうするよ。私なんかパニックになっていて、星口さんごめんなさい」と謝り、めぐみが「気にしないでください」
彩月はホテルに戻ろうと思った矢先、手術室の赤いランプが消えその場が緊張感でいっぱいになった。手術室から執刀医が出てきて、昴が「弥生、いや吉岡さんの容体はどうですか?」と執刀医に聞いた。
「一命はとりとめました。ただ背中を強く打たれていて障害が残ります」と言った瞬間、昴はほっとし、執刀医の後の言葉を聞く前に意識が遠のき昴は床に崩れ落ちた。すぐに海翔が昴に駆け寄り、彩月も「昴大丈夫か? お医者さん、昴は大丈夫なんでしょうか?」と心配して聞いた。昴を少し診て「疲れているだけですね。少し休めば良くなると思いますが、ベッドで少し休ませましょう」と言い看護師さんにストレッチャーを持ってくるように指示を出した。