第2章 12話
めぐみは「ありがとうございます」と言って病院を後にした。空車のタクシーが病院の前で何台も連なって待っていた。先頭のタクシーに乗り「○○ホテルへお願いします」と言いタクシーが走り出そうとした瞬間、海翔が走ってこっちに来ているのが見えたから「運転手さん待ってください」と言いめぐみは後部座席の窓を開けた。
「星口さん、ホテルに戻るんでしたら、一緒に乗せてください」と少し緊張しながらお願いしたら、「いいですよ。一緒に行きましょう」と言い運転手さんに後部座席のドアを開けてもらい海翔もタクシーに乗り込んだ。タクシーが走り出すとめぐみはようやく落ち着いて弥生が意識を失う時にどういう気持ちで私に「昴を……」と何を伝えようとしていただろうと考えていた。その様子を見ていた海翔は、何か切なそうな表情していためぐみを心配していても、声をかけられる雰囲気ではなかった。その視線にめぐみが気付き海翔に「どうしたのですか。織田さん」と不思議そうに聞いた。
不意打ちをくらったような表情をして「いや……さっきから暗い表情をしていましたから心配して声をかけました」と言ったらめぐみが「心配してくれましてありがとうございます。弥生が意識を失う直前、私に言った「昴の」の事後の言葉は何だろうと思って考えていました」と言った。
「多分、弥生が星口さんに伝えたかったのはこれしかないと思います」と言い、話すの一呼吸して「昴の事を任したと言いたかったんじゃないですか」とそれを聞いた。めぐみは私が居なくなってもめぐみに頼んだら大丈夫かな……と私が昴君の事好きって分かっていて言っただろうかどんな思いで私に昴を託したのかそればかり考えていた。
あっという間にホテルに着き、海翔がすかさずタクシー代を払ってタクシーを降りたら、ホテルまでの料金の半分を海翔に渡そうとしたら「良いですよ。これくらい」とめぐみが出したお金をしまうように言うと「でも」と困惑しながらも海翔は「そのお金で昴のご飯買って病院に戻ってください。焼き肉もあんまり食べてなかったから昴はおなかがすいていると思うから」と言いめぐみは「ありがとうございます」と言いそれぞれの部屋に戻った。