穏やかな日々2
森の中の奥深くにひっそりとログハウスが建っている。
そこが私たちの住処。
住人は私を入れて6人。
さっき喧嘩しそうだったリヒャルトとイェルンの他に、
あと三人、同じように犬耳と尻尾を持った人たちがいる。
よし。今回は、その人たちを紹介しよう!
まず一人目!
名前はハインツ。
呼びにくいから、ハイって呼んでいる。
名前にハイってついてるだけあって、めちゃくちゃテンションが高い。
そしてやたらスキンシップをとりたがる人だ。いや、みんなスキンシップは多いけどね。
若干のたれ目で、口にはいつも人懐っこい笑みを浮かべている近づきやすい人だ。
あ、あと天パ。
二人目!!
名前はレギナルト。
この人も舌足らず機能で呼びにくいので、レギトーと呼ばせてもらってる。
ずばり!!!
この人を一言で表すと、「無」だ。
リヒャルトも確かにあまり表情が出ないが、この人は彼をさらに無表情にした感じ。
何を言っても表情が変わらない。
でも、その代り目に感情が出る。
昔は気付かなかったけど、今は目を見て思っていることが理解できるようになった。
そう考えると、レギナルトが一番表情豊かかもしれない。
そして三人目は・・・
「たっだーいまあああああ」
あ、今紹介しようとした三人が帰ってきた!!!
ちょっと玄関にいってきます。
「おかぇり!!ハイ、レギトー、ディー!!!」
そう言って、私は満面の笑みを浮かべる。
この人たちは、今まで王都に行っていて此処に帰ってきたのは2日ぶり。
たった2日だけど、いないと寂しい。
ガシッ
うおっつ。誰かに抱き着かれたぞ。
「ああーただいまリサ!君に会いたくて、会いたくて、会いたくて、会いたくて夜も眠れなかったよ!君がいない2日間は地獄だ。僕がいない間元気にしてた?リヒャルトとイェルンに意地悪されてない??あれ?リサちょっと背伸びたんじゃない!?可愛いなぁリサは!もう大好き大好き大好き大好き」
「おいハインツ。いくらリサに会えなかったからってたった2日じゃねーか。ギャーギャーうるせーぞ」
そういって、私に抱き着いているハインツをなだめたのは、ディルク。
とっても男らしいおじさんだ。
そうだなあ、地球でいうヒ○ー・ジャックマンだろうか。
がっしりとした腕、大きい胸板、そしてそれに見合った長身。
筋肉隆々だが、スタイルは全然悪くない。そして何より整ったワイルドな顔立ち!
ぶっちゃけると、5人の中で一番好みの顔だったりする。
まあ、あくまでお父さんっていうポジションだけど。
「うるさいよ。ディルク。僕にとっては生きるか死ぬかの問題なんだ。たった2日だ!?違うぞ!2日もだぞ!!分に直したら2880分も会えなかったんだ!!これがどれだけ重大なことかわかる!?」
いや、全然わからん。事が大きすぎるわ。
てか、ハインツ計算はやいな。
「意味わからねーよ。確かにリサに会えなかったのは寂しいが、死活問題でもないだろ。二日なんて」
そうだね。ディルクの言うとおりだよ。やっぱディルクは常識人だなあ。
「ディーじょーしきじん!!」
ハインツの腕を離れてそう言ってみた。
「おう、ありがとよ。まあ、こん中じゃ当たり前だけどな。」
そういって、ディルクはガシガシと頭をなでる。
髪の毛がぐじゃぐじゃになるけどこの撫で方は結構好き。
いや、むしろ撫でるより掻き回すの方があってるかも。
「うひゃあ。ぐじゃぐじゃなっちったぁ」
なんて言ってたら、スッスッ、と髪の毛をすいてくれる人物が。
「レギトー!あぁがと!!」
レギトーだ。彼は無だから、一瞬分からない。
「ん」
それだけ言いながらレギトーはずっと私の髪を梳いてくれた。
この髪色がおぞましくはないのだろうか。
不安になって、レギトーの目を見る。
よかった、穏やかだ。
こうやって、いちいち顔色を窺わなきゃ不安な自分が嫌。
もっと自分に自信を持ちたい。
いつか嫌われるのではと思う自分が嫌。
こんなネガティブな思考捨ててしまいたい。
「おい三人。いくら久しぶりに会えたからって、スキンシップおおすぎ。僕も混ぜて」
あ、ネガティブな思考にダイブしてたら、
壁にもたれかかって様子を見ていたイーがやってきたぞ。
「ハインツさっきからうるさいよ。確かに2日間も会えないのは死活問題かもしれないけれど、そんな騒いでたら、リサの耳がかわいそうだ」
「っは!!そうなの!?ゴメンねリサ!全然気付いてやれなかった」
いや、全然大丈夫なんですけど。
なんていうかみんな過保護すぎ。
こんなんじゃ私、生意気な女になっちゃうわ。
しょうがない。みんなを落ち着かせるために一言いうか。
「みんぁ!わたしは、のーぷぉぶれむ、だよ!」
親指を反るくらい突き立て、歯を輝かせて言ってみた。
「「「「「・・・・・・」」」」」
・・・あれ?さすがにこれは気持ち悪かったか?
「なんて可愛いんだ!!もう、大好き大好き大好き・・・」
「ダメだリサ。滅茶苦茶にしたい。」
「お前は本当にかわいいなあ。将来が不安だ」
「本当に。まあ、俺たちが守るが」
「・・・かわいい」
おっおっおっ
みんな色々なこと言ってて聴こえん。
まあいいや、とりあえず楽しいから。
毎日を楽しんでますぜ!ひゃっほーい!
あれ、リサのテンションがおかしい・・・。
リサ、基本ネガティブです。
まあ、ネガティブすぎて逆にポジティブな時もありますが。