nAmBAr.00-12「秒を刻む心音」
台座に触れ続けているが、これにより引き起こされる事象はなんとなく単なる空間の裏返りでは無いな、と言う予感がして来た。ローニャにもその予感は共有されている様で彼女は軽く脂汗を掻いている。
「これ、なんか今までの感じと違うよね。今まではイバの内的宇宙を散策し続けて来てて、あちき達も事前に『ああ、そこに飛ばされるんだろうな』ってのが実感として有ったけど、多分今回は…」
自分から切り出しておいて言い淀むローニャ。私とて皆まで言ってしまうのは憚られる。分かる事と、受け入れる事は違う。ローニャもまだ受け入れる段階に至って居なくあんな中途半端な物言いになった。受け入れられなくて、しかも台座から手を放す訳にも行かなくて、そして隣に居た私に共感を求めた、そんな所だろう。その心配りは私を喜ばせた。一緒に歩む相手としてやはりローニャは適任だった。イバの審美眼は、悔しい哉間違っては居なかったと言う事になろう。
「そうだな、今回は覚悟しておいた方がいいな。多分の先はまだ言わなくていいよ、不安をお互いで煽ってもしょうがないからな。ローニャの星が帰る場所だと勘違いして離れて行かなきゃいいけどな」
「ぶー、それ言ってるのとほぼ変わらないじゃん」
私の冗談はあまり上手く行かなかったらしい、そう、なんとなくで我々が共有しているのは恐らく宇宙とのシンクロだ。種子凍結の二番手は、遍く宇宙に広がり種として花を咲かせるべく散って行く日を待ち続けている。と言う事はこの空間は何もイバの、そして大きく言えば一番手達の内包する世界に留まると言う物ではない。宇宙全体、とは言えないかも知れないが宇宙のその広範にアクセス可能な領域、時空を超えた存在。そこに居る我々が、イバの小宇宙を散々に見せつけられた後で次に降り立つ世界は何処か。口にしなくても直感で分かって来る、体の内側からか、外側からか、とにかく向こうの方からひたひたと着実に迫って来ているのが伝わる。ローニャでは無いが私の汗も自然と吹き出る、これぞ、涙などを伴う女々しい物ではない、真の武者震いだ。
ずっと蝉の抜け殻の中に居た、私の自我。そしてそこから抜け出たと思ってもその世界はまだイバの掌の中で。ただ、今回は、今回こそは何かが違う、もっと現実世界にリンクした大いなる何かが我々を包もうとしているのが肌感覚で伝わって来る。次の10秒の内か、いや、次の5秒の内? いや5秒は今経過した、では次の10、いや5秒か? 私は鼓動の音を一音一音噛み締めながら、「次」と呼べるその時を今か今かと待っている。
まあポーズは前回から変わってますがこっちのが触ってる姿勢としては自然なんでどっかで体勢が変わったんだ、とでも




