第16話 実家に報告
荷物をまとめて学園を去ったシシラ。その際にシュバリアもついてきていた。シュバリアはシシラのために自身の専用の馬車を使ってくれた。シシラとしては嬉しいのだが、その気持血に対して疑問を口にした。
「シュバリア様はどうしてここまで私に味方してくれるのですか?」
「……君の置かれている状況が気に入らないから、気にかけていたら自然とこうなっただけだ。今回の件であの学園にも愛想が尽きたしな。俺は留学生だからいつでも故郷に戻ってもいいし、ちょうどよかったよ」
「そのついでに私も連れて行ってくださるのですか?」
「ああ、絶対だ。俺の故郷バッファロード王国にいればいい。きっとシシラのためになる」
バッファロード王国とはジュンメウキ王国の隣国。ただし、ショーツカ大森林という森が両国の間に挟まれる形で存在するために少し遠い印象がある。それでもジュンメウキ王国とある程度の親交があり、行き来する者は少なからずいる。留学生のシュバリアもその一人なのだ。
「シュバリア様、お心遣い本当に嬉しい限りです。ただ、その前にもう一つけじめを付けたいことがあります」
「生まれ育った公爵家か?」
「はい。一応世話になったのは事実ですから、退学と婚約破棄を報告しなければなりません」
アリゲイタ公爵家。シシラの生まれた家であり、アビスが生まれてからシシラを蔑ろにした家でもある。正直、シシラは出ていけるなら出ていきたいと常日頃思っていたのだが、貴族の責務や王太子の婚約者というしがらみを気にして実行しようという気に離れずにいた。
そのしがらみは今日、ほとんどなくなった。堂々と出ていけるわけだ。
「俺も一緒に行こう。あの公爵夫妻が何かしないわけなさそうだしな」
「申し訳ありません。私なんかのために」
「気にするな。むしろ、このくらいのことしかできない俺は自分が情けない」
「そんな、シュバリア様は私の心の支えです。今も、次に立ちはだかる困難に立ち向かう勇気を与えてくれているのです」
シシラの言う次の困難。それはシュバリアが予想していたアリゲイタ公爵夫妻のことだ。二人の思った通り、公爵夫妻は一筋縄ではいかない性格だった。




