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第9話 召喚棒の弱点と女神の留守電

 雨は、まだしとしとと降っていた。


 昨夜ほどの勢いはない。

 だが、森全体に湿った匂いが残り、地面はぬかるみ、枝葉からは時おり水滴が落ちてくる。


 ぽたっ。


 肩に落ちた冷たい水に、俺は小さく身震いした。

 昨夜、寝る前に起こした焚き火の残り火が、まだ赤々と残っていてじんわりと温めてくれた。


 昨日までは煙がこもるのを心配していたが、拠点を破壊してくれた魔獣のおかげで今はその必要はない。


 実に風通しが良い、拠点だ!


「……寝た気がしない」


 というか、寝ていない。


 寒さもだが、あんなものを見たあとに、ぐっすり眠れる人間がいるなら、ぜひ一度その神経を分けてほしい。

 

 ……いや、やっぱりいいや。

 たぶん、その人は長生きできないだろう。


 俺は冷える手を焚き火に当て、さすりながら拠点の入り口から森の奥を見ていた。

 昨日、巨大な狼のような何かが消えていった方角。

 

 雨の向こう。

 木々の奥。


 今、何もいない。


 何もいないはずなのに、俺の背中はずっと冷たいままだった。


「……あれは、何だったんだ」


 答えはない。


 スゥはせん人様の傍らで、小さく丸まっていた。

 普段ならぷるぷるとした元気の良さも、今日はあまり動かない。


 昨日の恐怖がまだ残っているのか、それとも単に疲れているのか。


「スゥ、大丈夫か?」


 ぷる……。


 弱い返事。

 やっぱり、いつものぷるんではない。


「だよな……俺もだよ」


 そして、せん人様はというと――。


 神座にいた。


 昨日作った拠点の中で、一番雨が当たりにくく、最も乾いていて、素晴らしく居心地がよさそうな場所だ。

 そこに当然のようにヤツが寝そべっている。


「お前、通常運転に戻るの早すぎない?」


 せん人様は答えない。

 ……口がないからな!


 ただ、くるりと巻いた腕を枕のようにしながら、森の奥を見ていた。


 顔だけは、巨大な影が消えていった方角を向いている。


 ……一応、警戒はしているらしい。


 昨夜、あの巨大な何かが現れた瞬間。

 せん人様は、初めて余裕が消えた。


 俺には全力の臨戦態勢に見えた。

 無用な戦いは避け、せん人様自身も守りに徹していたみたいだった。


 その姿を思い出すだけで、胸の奥がざわつく。


「せん人様が本気になっても、戦いを避ける相手……か」


 考えたくない。

 そういう時ほど脳裏にこびり付く。


 俺たちは昨日、運がよかっただけかもしれない。


 ただ、あの巨大な影……相手とすら思われてないんだろうな。


「……よし」


 俺は両頬を軽く叩いた。


 沈んでいても仕方ない。

 怯えてるだけじゃ、次にまた何か来たら詰む。


 とりあえず、身体を動かそう。


 まずは確認だ。


 何が壊れた?

 何が役に立った?

 何が足りなかった?


 昨夜の戦い……。

 むしろ心情的には大敗北だ。

 でも、生き残ったことに感謝。


「さて、どこから始めますか……」


 俺は重い身体を起こし、拠点の外へ出た。


 ひどかった。


 昨夜作ったばかりの拠点は、見るも無残な状態になっていた。

 入り口付近の枝は折れ、壁代わりに立てかけていた木材は何本か斜めに倒れている。

 屋根にしていた大きな葉も、一部が破れて水を通していた。


「俺の拠点がぁぁ……!」

 声にならない声が出る。


 特にひどいのは、魔獣が突っ込んだ入り口付近だ。


 スゥの粘液で滑って突っ込んだ魔獣のせいで、枝が何本も折れている。

 折れた木片が泥の上に散らばり、そこに雨水が溜まっていた。


「……新築初日で事故物件になった」


 泣きたい。


 罠の方もひどい。


 枝を吊るした鳴子は、半分以上が落ちている。

 低く張った蔓は切れ、石を積んだ罠は崩れきっていた。

 柔らかい泥に残した足跡確認ゾーンには、魔獣の足跡がぐちゃぐちゃに重なっていて、もはや何が何だか分からない。


「防衛ライン、通知機能を全うし、殉職しました!」


 合掌。


 役には立った。


 抑止力はほぼゼロ。

 防御力もほぼゼロ。

 通知力だけは認めよう。


「罠っていうか……獰猛なワンコのチャイムだな。」


 ピンポーン!

 魔獣でーす。

 牙と爪お届けにきましたー。


 ……なんて日だ。


 俺は泥の上を見回す。

 昨夜、何匹かの魔獣は倒したはずだ。


「魔獣って食えるのかな……?」

 空腹であらぬことを考えた。 


 ボーが倒したやつ。

 ヒョーロが吹き飛ばしたやつ。

 スゥの粘液に足を取られて刺さったやつ。


 せん人様に殴られたボス魔獣は逃げたが、その取り巻きの何匹かは動かなくなっていた。


 なのに――。


「……死体がない?」


 毛皮もない。

 肉や骨もない。

 血の跡すら、雨に流されたにしては薄すぎる。


 代わりに、泥の中に光っている何かを見つけた。


「ん?」


 しゃがみ込み、そっと指で拾い上げる。


 それは、小さな石だった。

 例えるなら、アメジストをさらに深く沈めたような。

 鈍く透き通った色をしている。


 「宝石か、ガラス片か……?」


 ただ、普通の石ではない。

 指先で摘まむと妙な違和感を覚えた。


「……魔石?」


 いや、違うか?


「魔晶? 魔核? いや、魔物石?」


 自分で言っていて、どれもしっくりこない。

 こういうの、ラノベなら絶対に名前がある。


 冒険者ギルドに持っていくと買い取ってくれるやつだ。

 あるいは武器強化に使えたり。

 あと、錬金術師が興奮する代物だ。


 つまり――。


「名前は不明。だが、お約束では拾っておかなきゃだな」


 俺はその紫の石を水袋の横のポーチに入れた。


 正式名称は分からない。

 今は仮に【魔晶】と呼んでおこう。


 ……どうせ後で違う、と言われるんだろう。


 俺は魔獣の倒れた付近を探す。

 同じような紫の石が、他にも二つ落ちていた。

 大きさはバラバラ、指先ほどのものから親指の爪くらい。


「昨日倒したのは、たぶん三匹……くらいか」


 死体は残らず、石が残る。


 普通の獣とは違う。

 魔獣は、やっぱり生き物というより、魔力の塊に近い存在なのか。


 昨日の足跡を思い出す。


 獣は生きるために狩る。

 でも、魔獣はどうなんだろう。


 それとは逆で、生命を狩り取るために生まれている。

 そんな感じがする。


「……考えても分からん!」


 情報が足りない。

 俺はこの世界の常識を知らない。


 だから今は、分からない!……と結論付けておく。

 これは未来の自分に棚上げ。

 

 今はそれでいい。


「さて……次は本題だ」


 俺は拠点に戻り、座れる場所を探した。

 唯一、乾いた場所は、現在せん人様が占拠している。

 

 神座だから仕方ない。


「せん人様、その場所を少し譲ってくれたりは……?」


 せん人様は動かない。


「しない……と」


 俺は諦めて、少し湿った場所に腰を下ろした。

 スゥが足元に寄ってくる。

 お互いに元気はないが、今はスライム肌でも恋しい気分。


 そんなことを考えながら、昨日の戦闘を振り返る。


 罠で魔獣の接近に気が付く。

 ただし、あの罠ではアラームのみ。

 しっかりとした罠を急いで設置する必要がある。


 スゥの粘液はかなり有効だった。

 雨水や泥と組み合わせると、魔獣の足も取れる。

 木と木の間に細い糸みたいに張れば、足止めにもなる。


 同時召喚は、何かの作業や攻勢、短期決戦向き。

 三体まとめて出せば、一瞬だが手数は増える。

 けれど、同時に消えるから防衛戦では穴だらけ。


 三段シフトは、防衛向き。

 時間をずらして呼べば、前線が完全に消える時間を減らせる。

 ただし、一気に攻める力、多方面への防御力は落ちる。


 せん人様は――。


「今回もやっぱり、せん人様だったな」


 それ以上の説明ができない。

 ボス魔獣を正面から対峙、その圧倒的な力よ。

 でも、巨大な影の何かには余裕がなかった。


 強い。

 だけど、万能ではない……のか?

 少なくとも、せん人様でも警戒する相手がこの森にはいる。


 そして、一番の問題。


「俺自身に、攻撃手段がない」


 これだ。


 棒人間が消えた瞬間、俺はただの的になる。

 スゥが助けてくれなかったら、昨日はそこで終わっていた。


 俺は剣を振れない、魔法も撃てない。

 体術もなければ、足も……速くはない。


「自分で言ってて悲しくなってきたな」


 でも、事実だ。


 俺は戦えない。

 指示は出せるが、それだけだ。

 今、できることは少ない。


 なら、今はやるべきことをひとつずつ。


「とりあえず、スキルのトリセツに追加だ」


・同時召喚は作業、短期決戦向き

・三段シフトは防衛向き

・再召喚しても、直前の行動記憶は残る?

・連続の召喚は魔力消費が激しい

・せん人様は、やはりせん人様!


 最後だけ説明になっていない気がする。

 

 だが、仕方ない。

 せん人様は解析不能だ。


 俺はふと思いだす。


「そういえば……」


 昨日の戦闘中。

 ボーが一回だけ、妙に早く消えた。


 時間切れではなかった……気がする。


 あの時は考えている余裕がなかったが……。


 召喚棒……いや、ボー本人ならわかるかな?

「直接きいてみるか……」


 俺は慣れた手つきで召喚する。


 ぽんっ。

 ボーが現れる。


 昨日より、少しだけ輪郭が勇ましく見える。

 気のせいかもしれないが、そう思いたい。


「ボー。昨日、一回だけ早く帰っちゃったよな?」


 ボーは首を傾げる。

 少し間を置いて、丸い頭がこてんと斜めになる。


「覚えてるか?」


 ボーはしばらく考えるように動きを止めた。

 丸々とした頭を、こくこくと揺らした。


「おお、覚えてるのか?」


 やっぱり、再召喚しても記憶はある!

 しかも、耳……作って無いのになぜか話が伝わるぞ!!


 これは大きい。


 そういえば、昨夜も俺の指示を聞いてくれていたことを思い出す。


「なら教えてくれ、お前、身体のどこかに弱点はある?」


 ボーは自分の身体を見下ろした。

 

 腕を振る。

 足を振る。

 くるりと身体をひねる。


 自らで身体の作りを確認しているようだ。

 そして、くるりと巻いた手で、自分の胴体の真ん中を指した。


「そこ?」


 ボーがこくこくと揺れる。


 よく見ると、胴体の中央あたりに、小さな光点があった。

 普段は線の光に紛れて気づかない。

 だが、意識して見ると、そこだけ少し濃く光っている。


「……コア、みたいなものか?」


 ボーがこくこく。


 端的に言うと、棒人間は単純な作りだ。

 人という漢字の接合部あたりだ。


「そこをやられると、消えちゃう?」


 ボーは少し迷ったように動いた。

 それから、両手を広げる。

 巻いた手で、コアにパーンチ!!


 ぽんっ。


 消えた。


「自爆芸で証明するな!!」


 思わずツッコんでしまった!


 数秒後、俺はもう一度ボーを呼ぶ。


 コホンッ!

「つまり、そこをやられると、時間前でも消えることがあるってことか?」


 ボーが頷くように身体を揺らす。

 生まれて間もない赤ちゃんのように、頭がグラグラしている。


 何とも愛らしい。


 なるほど。

 昨日のあれは、時間切れじゃなかった。

 魔獣の爪か牙か、何かがボーのコアに当たった。

 だから、制限時間を待たず消えた。


「弱点は、一か所か……」


 多すぎるよりはいい。

 全身どこでも急所です、なんて言われたら無理ゲーだ。

 今ですら、すでに難易度ベリーハードを超えている。


 「ウィークポイントの対策は必要だな……」


 コアを晒さないように盾を持たせる。

 正面から突っ込ませない。

 囮にする時も注意が必要……っと。


 ボーに鎧を着用できれば、言うことはないのだが。

 いろいろ使い方が見えてきた。


「お前らは、時間制限いっぱいの無敵モードじゃない」


 ボーはなぜか誇らしそうに、無い胸を張った。

 

「褒めてないぞ!」


 言葉……ホントに分かってんのか。


「よし、トリセツ」


・胴体中央に核らしき弱点がある

・核をやられると時間前でも消える可能性あり

・囮での運用は可能。ただし使い捨て感が強くて心が痛い


 考えていて、少し胸が痛んだ。


 ボーたちは消える。

 でも、記憶が残っている。

 動きも引き継いでいる。


 それは、完全な使い捨てではないということだ。


 なら、できれば雑に扱いたくない。


「……ごめんな。昨日、かなり無茶させた」


 ボーは首を傾げた。

 そして、くるりとした手を上げる。


 大丈夫、と言っているように見えた。


「お前、いいやつだな」


 スゥがぷるんと震える。


「スゥもいいやつだよ。というか、昨日のMVP候補だよ」


 ぷるん!


 少し元気が戻ったらしい。

 よかった。


 俺はポケットからステータスカードを取り出した。


 昨日の戦闘で、何か変化があるかもしれない。

 というか、あれだけ死にかけたんだ。

 何かしら上がっていてほしい。


「頼むぞ。せめて努力賞くらいはくれ」


 カードのくぼみに親指を押し当てる。

 淡い光が走り、文字が浮かび上がった。



【氏名】:リュート(竜翔)

【種族】:人族(異世界転移者)

【Lv】:5/10

【職業】:クリエイターズ(階級:お絵描きニート)

【スキル】:

 召喚 棒人間(Lv5)最大数:3/持続時間:60秒

 生成 道具(Lv2)サイズ:小型限定(魔力消費あり)


【せん人】:常時具現化/体術:Lv15/気配察知/?????

【契約獣】:スゥ(スライム)


【HP】:E 【MP】:C 【STR】:E 【VIT】:E

【AGI】:E 【DEX】:D 【INT】:D 【LUK】:C


【称号】:異世界転移者/雨夜の生存者/?????

【概要】:

描いたものを具現化するスキル(芸術センスに依存)

【分類】:召喚/生成


「レベル上がってる!」


 思わず声が出た。


 Lv5。

 持続時間は一分。

 称号に雨夜の生存者……って何だ?


「いや、生存者って……生き残ったことが称号!?」


「やはり全くわからない……だって、チュートリアル受けてないからな!!」


「サポートもないし、誰か教えてくれー!!」


 寝そべって遠くを見ていた、せん人様がこちらに顔を向けた。

 ……アホを見る視線を感じる。


 まぁいいさ、生き残れたのは確か。

 今の俺には、それで十分すぎる戦果だ。


 カードの下部に見慣れない表示を見つける。


【次ページ】:一部開放


「……出たよ」


 前にも見た。

 押したら未解放とだけ表示されて、俺をイラつかせたあのページだ。


「今度こそ有益な情報か、何かあるんだろうな?」


 恐る恐る、次ページの表示に触れた。


 カードの文字が切り替わる。


【召喚者専用ログ】


【対象神格】:地の女神グランディス

【通信状態】:応答不可

【直近応答】:接続失敗、再接続中…。

【理由】:戦闘中により、不在のため応答不能

【備考】:チュートリアル実行不可


 更に次ページボタンがある。

 ドキドキしながら押してみる。


【次ページ】:未解放


 ほら、やっぱりな!!

 前のページに戻る。


 ――俺はしばらく無言で眺めた。


 何だこれ。


 いや、分かる。

 書いてあることは分かる。


 召喚者専用ログ。

 女神グランディス。

 通信状態、応答不可。


 問題はそこじゃない。


「女神様、戦闘中のため応答不能……?」


 俺はカード画面を見つめたまま、ゆっくりと呟いた。


「つまりなんだ……女神様はただいま戦闘中のため、チュートリアルに出ることができません。ピーッという発信音のあとに、ご用件をお話しください……ってことか?」


 違うかもしれない。

 いや、おおよそは合ってるだろ。


「留守電かよ!!」


 思わず叫んだ。


 スゥがぷるんと震える。


 せん人様も神座でピクリッと反応した気がしたが……気のせいか。

 まぁ、せん人様だしな。


 再び、我に返る。


「いやいや、そこ一番大事なところだろ! 普通こういうのって、召喚直後に女神様が出てきて、よくぞ参られた!みたいに説明する流れじゃないの!?」


 俺はカードに向かって文句を言う。


「家のトイレからこっちに連行されて、チュートリアルなし! 補足なし! 気づいたら奴隷からの森! 魔獣! 雨! 巨大獣! で、女神様は戦闘中で不在、応答不能!?」


 ひどい。

 あまりにも無慈悲だ。


 こっちの世界に来て、初めて目から温かいものが零れ落ちた。


 俺の異世界生活、初期サポートはゼロどころか、担当者が戦場に出払っている。


「せめて自動音声くらい残しておいてくれよ……」


 カードは何も答えない。

 女神も何も答えない。

 ただの屍のようだ……。


 ただ、【直近応答】再接続中…。という文字だけが淡く点滅していた。


「再接続中……ね」


 意味は分からない。

 でも、完全に切れているわけではないのかもしれない。


 いつか、つながるのか。

 それとも、つながったら余計に面倒なことになるのか。


 結局、俺では何もわからない。


 カード画面を閉じた。


 さっきまでの雨も、今は小止みだ。

 

 拠点は半壊。

 罠はまとめて殉職。

 魔獣の正体も、巨大な影の正体も謎のまま。

 ボーたちにはコアという弱点あり。

 そして、俺自身には攻撃手段がない。


 問題は山積みだ。


 でも、分かったこともある。


 魔獣を倒すと、紫の石が残る。

 三段シフトは意外と使える。

 スゥは命の恩人……恩ゲル? 恩スライムだということ。

 ステータスカードには、俺だけが見られる召喚者専用ログがある。

 女神は――現在、留守電中…。


「……よし、昨夜の反省はこんなものか。」


 俺は息を吐いた。


「今日もやること、多すぎだろ」


 まぁ、昨日よりは幾分かマシだ。

 謎が多い中、少しだけ頭の霧は晴れた。

 疑問符は、一つずつ潰して行こう。


 それだけでも、前に進んでいる。


 俺は泥だらけの拠点を見上げた。


「まずは拠点の修理だな」


 スゥがぷるんと震える。

 ボーがくるりと腕を上げる。


 せん人様は……相変わらずだ。


「……せん人様、修理の手伝いとか」


 こちらも無反応のため、応答なし。


「はい、知ってました」


 俺は苦笑いしながら、木々の隙間から空を見上げた。

 厚い雲の切れ間から、かすかな光が差し込んでいた。

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