三章・第三十七箱「風のように過ぎ去っていくのが恋、山のようにずっしり残り続けるのが愛」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
もう今年もあと二か月ほどです。来年も元気に更新できたらいいなー。
ではお楽しみください!
メトロイド超楽しーー!!
未希がアークと寝食を共にしてアイドル活動にいそしんでいることを知った円香は案の定ブチ切れて二人を引き裂こうと騒ぎ始めた。
このままでは無理やりにでも未希からアークの自宅を聞き出して突撃していきそうだったのでアークはある提案を円香に持ち掛けた。
それは未希と共にアークも伊達家で暮らすというものだった。
〇
アークは未希と共に荷物をまとめて伊達亭の前へとやってきた。
「いつ見てもおっきい日本家屋だなぁ」
「地主の一族なんだから当然っちゃ当然だろ」
ガラガラ。
門が空き、中から着物を着た初老の女性が出てきた。
「お待ちしておりました。どうぞこちらへ。ご当主様たちがお待ちでございます」
「アンタは?」
「私は『そね』。この家で女中をさせていただいております」
「へぇ」
「そねさん。お久しぶりです」
「あら、未希様。お久しぶり。以前お会いした時より何やら顔色がよくなっていますねぇ」
「え?そうですか?」
未希は手鏡を出して自分の顔を確認するがコンタクトにして髪型を三つ編みからウェーブヘアに変えた以外に特に変化などないのだが。
「何かいいことでもあったのかしら?」
「あ~。それはそうかもですね」
うふふと二人は笑い合っていた。
そねに連れられて案内されたのは畳張りの客間であった。
そこには長い座卓があって向かいに円香の父・円治、母・香織、そして円香が並んで座っていた。
「かけたまえ」
アークと未希は座布団に正座する。
「君がアークくんだね。娘をサバゲーで何度も負かしたという」
「あ、はい」
そういえばそういうことになっていた。
「いや、それについては何も君に非はない。それどころか円香に更なる目的意識を作ってくれて感謝しているくらいだよ」
「はぁ」
「で、今回のことだが。そちらの未希君と共にアイドル業を営んでいると。しかし、今現在未希君と同居しており何かあったら大変だと思って未希君が円香に相談したところウチで寝泊まりをすればいいのではとなった」
「はい」
細部はだいぶ違っているが。
「確かに未希くんの家庭環境と現状を考えればウチの娘が心配するのも頷ける。いいだろう。ウチで寝泊まりするといい」
その言葉に未希はほっと胸をなでおろしていたがアークは何故か嫌な予感がしていた。
「だが、一つ言っておくぞ」
「なんでしょうか?」
「娘はやらんからな‼」
「…あ、はい」
「円香から聞いているよ。円香と君が結婚を前提に付き合っていると今回のことも恋人である君のことを考えて円香が提案してくれたのだろう。本当にウチの娘はいい子だ!しかし、そんな円香のやさしさに甘えて担当アイドルと同居するようなヤツを娘の婿になど私は絶対に認めないからな!ここでの生活で君を見定めさせてもらおう!娘と結婚したくば私に君を見直させて見せたまえ!!」
凄まじく捻じ曲げられた情報に未希すら唖然とした表情で絶句していた。
「未希、俺やっぱウチにいるわ。お前だけ住まわせてもらえ」
「そうだね。その方がいいよ」
「では失礼します」
「え!?ちょ、待ちなさい!君は円香と一緒になるチャンスを捨てるというのか!?」
「捨てます。というかいらないので」
「ええっ!?」
「じゃ」
そそくさとその場を立ち去ろうとするアークの足に円香がヒシっと縋り付いていた。
「待ってくださいいいいい!!」
「放せ鬱陶しい」
「ひどいじゃないですか!私にあんなことしたくせに!顔面殴ったくせに!体中傷つけてぼろぼろにしたくせにィいいいい!!」
「何もしてねぇよ。どこにそんな証拠があるんだ?」
そう、アークは大怪我させようと完璧に治療してきたのだ。彼女に行った暴行の痕跡など残っていない。
「ううううう!!!」
唇まで嚙みこんで唸る円香。
「後な、俺は嘘をつくやつが嫌いだ」
「うぅ~」
「ど、どういうことだ!?」
「…円香、ちゃんと話しなさい」
母に諭されて円香はやっと観念した。
アークとの関係を偽ったことを両親に謝罪した。
「なるほどな。円香は未希くんにアークくんが取られると思って今回の提案を」
「それでそのまま家に取り込もうとするなんて。そんなすぐにばれる嘘までついて。いつもの聡明なあなたらしくないわね円香ちゃん」
「だって、だってぇ」
(恋は盲目とはよく言ったものだけど。円香ちゃんがここまで執着するなんて初めてだわ)
香織はアークの方を興味深そうに見つめていた。
アークもその視線に気づいていたがすぐいそっぽを向いた。
(あら、恥ずかしがり屋なのかしら?)
「娘がお騒がせした。ウチで寝てまりする件は了承します。アークくんもすまなかったね」
「いや、全部悪いのはこいつなので」
アークに指をさされて円香はさらに小さくなってしまう。
「ではこれからよろしく。ここに住む以上は家のことを色々と覚えてもらうからな!」
「「はい!」」
こうして未希とアークは円香の家で寝泊まりすることとなった。
つづく
面白いと思ったらブックマーク、その他もろもろよろしくね!!




