三章・第二十九箱「ロボットアニメで後ろを取られて振り返ると敵の機体の残骸だった。と思ったらすぐ近くに動くやつが飛び出てきてびっくりする」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
みんなは最近はめっきり寒くなって夜のバイク通勤がきつくなっているカロさんであった。
ま、そんなことは置いといて。二十九箱。どうぞお楽しみください!
アイドルの特訓を受けていた未希は異常なほどに戦闘能力が向上していた。
その程は五体のカクメイダーを無傷で浄化してしまったのだ
それに驚愕したのは円香と朝美だったのは言うまでもない。
〇
「すっっっごーーーーい!!」
「貴女、一体どんな特訓を!?」
「え、えーと、ひ、必死だったから覚えてないやー。私、なにかやっちゃいました?」
周囲にぶっ倒れているカクメイダーにされていた五人を見ながら訝しい視線を未希に送る円香。
「必死になった程度であそこまで戦闘能力が向上するものですか!教えなさい未希!貴方一体何をやっているのですか?詳しく!詳しく教えてください!私たちにもできる事ですか!?それができれば私自身もさらなるレベルアップをして彼を呆れさせずに済むかもしれない!さあ、さあ、さあ!!」
早口の円香が未希の両肩を掴んでガックンガックン揺らす。やはり強さへの執着心は人一倍である。
「おぼぼぼぼ!?本当に必死だっただけなんだってばーーー!!」
未希は円香を振りほどくと一目散に走り去ってしまった。
「待ちなさーいっ!朝美、追いますよ!・・・朝美?」
後ろを振り返ると朝美の姿はなかった。
「どこへ?」
〇
近くの高層ビルの上から遠目で戦闘を見ていたアークは内部コンピュータに今回のガレスの戦闘を全て記録して今までのデータと照らし合わせていた。
<戦闘能力60%上昇ヲ確認。シカシ、アーマーブレスニ反応ハアリマセン>
「ただあいつを強くするだけじゃだめだってことか。やっぱアニマンとやらが話してた初代ガレスの伝説がカギみたいだな」
戦闘も終わったしスタジオに戻ろうと思った時。
「みーつけた」
声に振り返るとそこに朝美が立っていた。
「・・・なんでわかったの?」
「アークがくれたコレ、貴方が近くにいると勝手に振動して繋がって声とか聞こえてくるんだ。自分で作ったくせに知らなかったの?」
「あー、確かそんな機能つけたなぁ。仲間内で使う事しか想定してなかったから自分が今通信圏内にいるのがすぐに仲間にわかるようにって内蔵したんだった」
「やっぱり未希の異常なパワーアップはアークの仕業だったのね。未希に何したの?」
(うーん、はぐらかしたら多分更に面倒なことになる気がするので…)
アークは朝美にだけ今までの経緯を伝えた。そしてくれぐれもギャラハットには伝えないようにと付け加えた。
「未希の家庭環境がそんなにひどいものだったなんて…。はぁ、リーダー失格だよ」
「あいつはお前らに心配かけたくなくて何も言ってなかったんだろ。そこはあいつの気持ちを汲んでやれよ。で、どうする?俺たちのアイドル活動を中止させるか?」
「ううん。止める理由がないもん。未希は今、家族のしがらみから自分の力だけで抜け出そうと強くなろうとしてる。だったら応援するしかないじゃん!」
「ほんっとにお前は話が早いな」
「言っておくけど。未希のことを利用しようとしたことは許さないからね」
びしっと人差し指でアークを指してそう忠告した。
「ならお詫びと言っちゃなんだがアーマーブレスについて分かったこと教えとこうか?」
「ええっ!?何かわかったの?」
アークはNo.7バグ・コロニーから小型ドローンを数体飛ばすと空中にアーマーブレスのホログラムを映し出した。
「ちょっと未希がレッスン着に着替えてる間に調べさせてもらったんだが…」
「未希の着替え漁ったの!?この変態!!」
「そこに食いつくな!!えーと、まずこのアーマーブレスにはあるものが内蔵されてる。それは遺物、多分初代ピュアリィナイツたちの遺骸だろうな」
「遺骸・・って死体ってことだよね?」
「まぁ遺骨とかだろうけどな。その遺物はお前らのピュアリィナイツパワーとあるものが重なった時に反応して持ってる力を数倍に増幅してくれる。その力でギャラハットのように初代の特殊な武装を一時的に再現してるわけだ」
「なるほど。で、『あるもの』って何?」
トントンとアークは自分の胸のあたりを親指マニュピレーターで叩いた。
「『心』だ」
「心?」
「細かく言えば『感情』だな。ピュアリィナイツに変身しているときにある特定の感情が一定値以上に達するとあのブレスの力が発動するってわけだ。ギャラハットの場合は『執着心』だったな」
「じゃあ私たちも色んな感情を試してみれば…」
「そんな上っ面な感情で反応するなら申してるだろ」
「うぅ・・確かに」
「心の底からの感情。言い換えるなら『本能』のかい・・・ん?」
アークが何かに気づいたのか一瞬固まって考え込んだ。
「どうしたの?」
「…いや。何でもない」
「心の底からの…。でもそれならガレスの心の鍵は分かるかもしれない。マニアンからガレスの伝説を教えてもらったから」
そういえばアニマンがそれを話していたがその時の盗聴では聞き流していたな。
「ガレスの心の鍵は『慈愛』であり『自己愛』だよ」
「慈愛で自己愛?」
二つの愛を同時に生み出すことなど可能なのだろうか?
未希はこのアイドル道の先に一体何を見出すのか?
つづく
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