三章・第二十三箱「子犬を拾う時はまず動物病院へ」
おはこんばんにちは海人藤カロでーす。
ピュアリィナイツ・ガレス編の序盤が始まりました。どこでどうアークと絡むのかは見てのお楽しみです!ではどうぞ!
御手洗 未希、彼女の家庭環境は少し複雑である。
彼女の両親は法律家であるが再婚した夫婦で現在の母親は未希の本当の母親ではない。妹も再婚した母の連れ子であった。
未希の父・厳次の前の妻・希は一般的な女性で厳次とはお見合い結婚であった。お互い両家の顔を立てて結婚したが奔放な生き方を望む希と厳粛な生き方しか知らない厳次とではなかなか反りが合わず。未希が生まれた後も喧嘩が絶えなかった。
そしてある日のこと、希が離婚を申し出てきた。厳次は快く了承したが未希の親権だけは譲らなかったのだ。
『自分の手で完璧な人間に育てて見せる』と希の要望を押しのけて無理やり彼女から未希の親権を奪った。
しかし、現実はそう上手くは行かなかった。未希には勉学の才能がなかったのだ。どれほど厳しく教えても学力向上の気配すらなかった。
そんな日々の中で厳次は現在の妻・麗と出会う。彼女は源氏と同じく法律家で彼と似たような生き方をしてきた女性だった。気の合う二人はすぐに仲良くなり、結婚にまで至った。
麗には未希と同い年の麗良という連れ子がいた。麗も厳次と同じようにお見合いで結婚したが相手と反りが合わず離婚したらしい。その時の子である。
麗良は未希と違い学力優秀で超有名進学校でトップクラスの成績を誇るほど。厳次はいたく彼女を気に入ってしばらくすると未希には見向きもしなくなった。勉強をみてやることもなくなり『勝手にしたらいい。金は出してやる』と告げて未希から離れて行った。
麗も麗良も未希には特に興味を示さず家の中にいる他人としかとらえていない。
未希の家にいる人間はだれ一人、未希のことをいないものと扱っていた。
〇
「ただいま」
リビングには義母がいるはずだがいつものことながら返事は帰ってこない。
未希は弁当箱を台所に持って行って洗った後、学校から渡された親へのプリントをリビングのテーブルに置くと二階の自分の部屋へと向かった。
部屋の中でスマホにイヤホンをつないで音楽を流しながら本を読む。流している音楽はアイドルソングや明るい曲ばかり。そうでもしなければこの家にいるだけで寂しさに押しつぶされそうだった。
本を読み終えると宿題をする。夜八時には家族がそろって夕食を取るのだがそこに未希はいない。
彼女が夕飯を食べるのはいつも皆が食べ終わってリビングが空く10時以降だ。
〇
「・・・」
ふと、まだ8時半だがトイレに行きたくなった未希は二階からリビングに降りていく。本当は行きたくはないが生理現象だから仕方ない。
降りていくとリビングから彼らの声が聞こえてきた。
『で、考えてくれた?アレの一人暮らしの件』
その言葉に未希の全身が硬直する。
『うむ、いやなぁ』
『なんで躊躇うのよ。いてもいなくても同じならいいじゃない』
『あれだけの事を言って親権を奪った手前、もし一人で野放しにしてこんな現状がバレれば私のメンツがだな』
『全く、だから離婚の時に親権なんて渡せばよかったのよ。出来損ないに家にいられたんじゃ麗良にも悪影響だわ。ねぇ?』
『・・・どうでもいい』
『わかった。手配しておこう。できるだけ前の家内に合わないような場所にしないとな。ちゃんと口止めもしておかないと』
未希は唯々呆然としていた。
そこへリビングから二階の自分の部屋へ戻ろうとしていた麗良がやってきた。
「あっ・・・」
未希が話を聞いていたことに気づいた麗良は思わず立ち止まってしまう。
しかし、数秒後には特に気にもしてないような表情で。
「階段、登れないんだけど」
「・・・ごめんなさい」
未希はリビングには降りずそのまま会談を登って自分の部屋に戻った。
「・・・」
麗良は少しの間、未希の部屋の前で立ち止まるとペタンと右の手のひらを未希の部屋のドアに押し当てた。そのままの状態でしばらくした後に自室へと戻った。
〇
その日の夜中の11時、ドアの開く音が聞こえて寝ていた麗良は目が覚めた。
音がしたのは隣の部屋からだ。そしてその後に玄関のドアの音が聞こえた。
「?」
麗奈は部屋から出て隣の未希の部屋の様子を窺ってみるとドアの鍵が開いていた。部屋の中を確認すると未希がいなくなっていた。日用品や服もいくつかなくなっていた。玄関も確認すると未希の靴がない。
未希が家出したことを確信した麗良はすぐに両親にそのことを伝えた。
「なんだと。それはマズイな。捜索願を出しておこう」
「そ、そうだよね」
「勝手に失踪されて補導でもされたら私たちの顔に傷がつくじゃないか。変な噂も立てられるかもしれない。全く、迷惑をかけるしか能がないのか」
その言葉に麗良は怪訝な表情で固まっていた。
「姉さんの事、心配じゃないの?」
「何故アレの心配なんてしなくてはならないんだ?それよりお前は早く寝なさい。明日は実力テストなんだろう?トップ3までに入ったら何かご褒美を買ってやるぞ。考えておけよ!」
父の頭の中は愛する娘へのご褒美のことでいっぱいのようだ。
麗良は父に言われるままに部屋に戻ると頭を抱えた。
(私が追いかけて連れ戻しても『麗良に手間をかけさせて!』って姉さんが責められるだけだ。どうしよう、どうしたら・・・)
〇
どこにも行く当てもなく未希はふらふらと夜中の町を彷徨っていた。
朝美や円香の家に行こうかとも考えたがピュアリィナイツの中にすら自分の居場所を失いかけているのにそんな厚かましいことなどできないと思っていた。
もう誰でもいいから身を任せてしまおうか。スタイルはよくはないが中学生というだけでも私を必要としてくれる誰かはいるはずだ。
そう考えて人通りの多い駅前へと向かう道を歩いてコンビニの前を通り過ぎようとした時。
ウィーン。
「コンビニスイーツも最近は馬鹿にできんな。揚げ物のレベルも上がってるし今日はコンビニグルメパーテーだな」
モキュモキュ。
フライドチキンを頬張りながらコンビニグルメを買い込んで出てきたアークと鉢合わせした。
未希の目の前にいきなり敵幹部が現れ、アークには敵の変身ヒロインが現れた。お互い少しの間見つめ合う。
アークは自分の持っていた袋の中からコロッケを取り出して紙で包んで未希に手渡した。
「じゃあな」
とだけ言うと帰路に就いた。
そして未希はその後ろをコロッケを涙目で頬張りながらついて行ってしまう
(うわ~。ついてきちゃったよ)
コロッケで見逃してもらおうと思ったのが失敗だったのか。
つづく。
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