第5話
翌朝、いつもの不規則な生活とは打って変わって、朝5時にはもう布団から起きれていた。
早寝の効果を実感しつつ、枕元に備えられていた制服を着る。
柔らかい素材ながら、朝早くでも寒くないこの服に、僕は本当に未来に来たのだなと実感した。
少し息苦しい寝室から出ると、コオロギの鳴き声と威勢の良い掛け声が遠くから聞こえてきた。
マップを頼りに、屋上に出た。
見下ろすと、空き地で三浦傭兵長らソルジャーが朝のラジオ体操をしていた。
幼少期の夏休みにしたラジオ体操を思い出し、懐かしくもどこか淋しさを覚えた。
壊れかけの手すりに体をあずけながら、昔僕を救ってくれたあの歌を口ずさんだ。
恐ろしいほど爽やかな空気に乗ってどこまでも行けてしまいそうな気がした。
「One for all♪」
状況がいつも理解を上回る。
そんな現実は空想より奇な葛藤をのせて歌い切った。
こんなに気持ちよく歌ったのはいつぶりだろう。
◇
朝ごはんの配給があった。戦争中の食事を学校で学んでいた僕は、きっと質素な食事だろうと思っていた。
ましてや何処の馬の骨かもしれない淫夢厨なのだから。
覚悟に反して、提供された食事は栄養とって不足なしなものだった。
見た目が俗に言うディストピア飯だったが。
でも味、食感共に実物以上だった。
TDNは今日もよく喋る男だった。席を寄せ、ひたすら枕情報外のことを話してくれた。
「紅茶ってかアイスティー飲みてーな〜」
意外な発言だった。ここにきた時に誰かに飲まされたアイスティーのことは言わない事にした。
詳しく聞いてみた。
「例の AI、『福-Suzuki 』がな、俺ら血清を打った淫夢厨の力の源を見つけやがってなぁたまげたなぁって感じだぜ。奴が茶畑を占拠したせいでアイスティーの輸入が止まって。
俺らアイスティーが無いと力が五割しか出ないってハッキリわかんだね。」
「あっふーん(察し)」
『福Suzuki』は想像以上に厄介な様だ。
同時になぜ AIは茶畑を焼き払わなかったのだろう。そう思った。




