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【2】異世界ってすごい

「リリ聞いてる?」


「えっ?あ、ごめんね。なんだっけ?」


「転移の時の贈り物(ギフト)の話だよ」


「そうだ、私の願いを3つ叶えてもらったんだよね?」


「そう、1つ目は体の異常だね」


「体の異常?私元気だけど…?」


「本当は体を大切にしたいのにって思ってたでしょ?暴飲暴食もだけど、あの家族に傷つけられたりもしてたし」


「うん。パパとママにもらった体だから、大切にしたくて…あの家を出たらうんと大切にするって決めてたの」


「だから、リリの体は異常が全部なくなったんだよ」


「全部って…アレルギーがなくなったのも?」


「そうだよ。余分な脂肪もニキビもアレルギーもぜ~んぶ。髪も艶々でしょ。それに体の異常には怪我も含まれるから、地球で負った怪我も完全回復さ。ただ、服がそのままで申し訳ないんだけど…」


改めて自分の体を見る。叔母家族に内緒で寮に入ることを決めた為、就職先にご挨拶ということにして制服を着て出掛けていた。まぁ、寮も就職先の社員寮だから嘘ではないけどね。ふくよかな体から急に脂肪がなくなったらどうなるか。そう、着ていた制服はぶかぶかだった。立ったらスカートが脱げるくらいには。異世界すごい…。


とりあえず、脱げたスカートをあげてウエストをギュッと締めて何度か折り込んだ。伸びきった靴下も下まで折って靴は…まぁ大丈夫かな。よし、応急処置完了!


「ふぅ、これで何とか大丈夫だね。1つ目が体を大切になら2つ目は何だろう?う~ん、私の願い………パパとママに会いたい?」


「ごめんね、死んだ人を生き返らせることはできないから」


「そう…だよね…」


やっぱり異世界でも無理だよね。死んだ人を生き返らせるなんて…。少しだけ期待してしまったから、何だかルシャに申し訳ない。


「でも、ビデオや写真でなら会えるよ」


「え?」


「リリに与えられたのは思い出を残せる力」


「思い出を残せる力?」


思い出を残せる力と聞いて思いあたるのは1つだけ。


「フォトグラファー…」


「リリはその願いが強かったからね。この世界でフォトグラファーになるかはリリ次第だけど、ビデオも写真も撮ることができるし、現在だけでなく、人の記憶を読み取っての撮影も可能だよ。あとはね、僕の瞳を通じての撮影もできる。もちろん編集や保存の能力もバッチリ」


「人の記憶を読み取る?そんなこともできるの?」


「試しにやってみる?」


「でも、カメラがないよ?」


「道具は何もいらないよ。ほら、そこの木に手をかざしてみて」


ルシャに言われるまま大きな木の幹に手をかざす。


「こう?」


「それから、リリのパパとママを思い浮かべてごらん」


パパとママ…2人が笑っている姿を思い出す。


「思い浮かべたら木に二人の姿が写るように願うんだ」


ー2人の姿を写してー


その瞬間、私の手からキラキラと輝く淡い光が出て木の幹に2人の姿が写った。


「パパ、ママ…」


2人の姿が写った木に手を添えた。


「嬉しい。いつでもパパとママに会えるね」


「これは写真だけど、ビデオの能力で映像にもできるから、落ち着いたら試して見るといいよ。ビデオの能力もリリが願えばできるから」


それからルシャが能力について詳しく説明してくれた。


「へぇ、そんこともできるんだぁ。めちゃくちゃすごい能力だね」


そんな能力があるなら試さずにはいられない。早速、ルシャの目を通して私の姿を撮影してみた。


そこには昔の写真で見た、10代の頃の母に似た私がいた…


「ママ…」


元女優の母はとても綺麗な人だった。だから、あの頃は母に似て可愛いと言われるのがとても嬉しかったんだ。


「泣かないで、リリ」


ルシャが私の頬を舐めて涙を拭き取ってくれた。


「ルシャ…抱きしめてもいい?」


「もちろん」


ルシャをギュッと抱きしめて女神様に感謝する。


「ふふ、ルシャあったかい…ねぇ、ルシャ」


「なに?」


「女神様、やっぱり何か手を加えた?」


「なんで?」


「何というか…自分でいうのもなんだけど、可愛さというか美しさというか何かそういうものが全面に出てるような…」


「ふふ、知ってる?リリはミリストラーチェ様が手を加える必要がないっていうくらい可愛いんだよ。過去に何回か転移した人がいたんだけど、その人たちはみんな容姿に手を加えて欲しいっ言ってたんだって。今回は女神様都合の転移だったから、贈り物(ギフト)の他にお詫びで容姿に手を加えようかと思ったけど、そんな必要ないくらい可愛いからやめたって。だから容姿はリリ本来の容姿なんだけど、異世界効果で魂の輝きまでもが押し出されてるって感じかな」


「なにそれ…」


「あぁ、そうだった。ミリストラーチェ様が容姿に手を加えない代わりにさらにオマケをしたから許してねって言ってたよ」


「十分すぎるのにさらにオマケをもらえたの?」


「うん。聖獣の僕がいるのもそうだよ」


「それはとっても嬉しい」


「あとは写真の能力だけだったのにビデオの能力や編集能力がついてたりとかもそうだよ。それと最後のオマケの願いが言語理解なんだけど、リリはこの世界の全部の言葉を理解できるからね」


「えっ!?」


ルシャさん、さらっとすごいことを…


「いつかは英語だけじゃなくて、他の国の言葉もたくさん覚えたい、世界中をカメラ片手に旅して色々な人たちの写真を撮りたいって思ってたでしょ?だから、リリはこの世界の言語なら何でも理解ができるようになったんだ。本当ならこの国の言葉だけだったんだけどね。現に今僕と話してるでしょ?」


「うわぁ、何かもう本当に異世界って感じだね…」


何だか気が遠くなるような感覚に思わず遠くを見つめてしまった。


まぁ、何はともあれ女神様、この世界に転移させてくれて、そして素敵なお友達と能力を下さって感謝します。あのまま地球で死んでたらパパとママに会わせる顔がなかったもの。この世界でたくさんの思い出を作って、いつか天国のパパとママにたくさん写真や映像のお土産を持って会いに行くんだから。パパ、ママ、心配かけてごめんね。異世界生活を満喫してみせるから!天国から見守っててね!がんばるぞー!おーーーっ!!










……って、さっき意気込んだばかりなのに、なんでこうなった?

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