【3】気分は冒険者
「贈り物についての説明はこれで大丈夫?」
「うん。ありがとう!」
「じゃあ、そろそろここから動こうか。あまりのんびりしていると暗くなっちゃうから」
「そうだね。でもどっちに行けばいいのか分からないや。ルシャはどっちに行けばいいか分かる?」
「一番近い村はあっちかな。かなり距離があるけど」
「…かなり距離があるなら森で一晩過ごすかもしれないよね…よし、とりあえず進もう!ルシャは飲めそうな水とか食べれそうなものとかって分かる?分かるなら教えてくれると助かる」
「任せて!」
迷っていてもしょうがないと思い、ルシャを抱き、歩き出す。道中は、ルシャの食糧講座や森の生態が驚きの連続で、しかも何匹か動物とも仲良くなれたし、疲れを感じさせないぐらい楽しかった。
例えばチューリップのような形のチュレルという花は毒性の強い花だけど、茎から折って逆さにして30分ぐらいたつと花が閉じて水が溜まるんだって。でもその中の水は毒が含まれていて飲めないけど、茎をストロー代わりにして飲むとなんと甘い花の香りがする飲み水に変身。しかも、体の中の悪いもの無くしてくれる効能付き。美味しいのになんて素晴らしい効能なの!
他にも、茶と黒がマーブル模様になっている木に、木の幹を分けてほしいことと感謝の言葉を伝えて幹を削り口にいれると、ビーフジャーキー味で美味しく食べられることとか、どこにでもありそうな葉っぱが実はわさび味だったりとか。ルシャがちょっと食べてみてっていうから、食べてみたらツーンとして涙がでた。
☆☆☆
こちらに来て5日目になるんだけど、まだ森の中。でも、異世界の森って本当にすごいの!私の背より大きなカエルがいたり、動く木がいたり、見るものすべてが感動よ!こんな経験なかなかできないんだから!なんだか冒険者になった気分。それも女神様の加護があって、ルシャがいてくれるおかげなんだけどね。
なぜかっていうと、この森は女神様の加護があるパワースポット的な森なんだって。だから、同じく女神様の加護のある私はこの森の生き物には襲われないから安心して過ごせるらしいの。本当なら、大きくなったルシャに乗って、あっという間に森から抜けられるみたいなんだけど、危険がなくて珍しいものばかりなら、冒険を選ぶよね。特に急いでもないし。ずっと歩くのは大変かなと思ったんだけど、途中で知り合った頭に大きな角がある巨大なカエルのガマちゃんとか、巨大なコブラに翼があるラコブくんとか、色々な子が乗せてくれたからほとんど歩いてないし、寝る時なんて大きくなったルシャの毛に埋もれて、ルシャのふわふわな尻尾がお布団よ!本当に最高なんだから!えっ?名前は誰が付けたのかって?…ネーミングセンスがなくてごめんなさい。
それからさらに5日が経った。
「リリ、あと半日ぐらいで森の境界だよ」
「そうなの?楽しかったのに」
「彼らともお別れしなきゃね。森の境界付近に現れちゃうと、騒ぎになるから」
「そっか、寂しけど仕方ないね」
今背中に乗せてもらっているのは、縞模様が虎柄のシマウマみたいな、でも大きさは倍以上の生き物のシママさん。大きくなったルシャの首につかまり降ろしてもらった。
「シママさんありがとう」
お礼を言いながらシママさんの顔を抱きしめた。それから体を小さくしてついて来てくれたガマちゃんとラコブくんにもギュッと抱きしめてお礼を伝える。
『また会えるよ』
『リリ体に気をつけるのよ』
『寂しいよ~』
「うぇ~ん、私も寂しいよぉ~。シママさん、ガマちゃん、ラコブくん、とっても素敵な冒険をありがとう!また会いにくるからね!みんなも体に気をつけて、元気でいてね!みんな大好きだよ!」
みんなに大きく手を振りながら笑顔で別れをつげ、森の境界へと歩きだす。
「ほら、リリ泣かないで」
ふわふわ飛びながらルシャが私の涙を尻尾で拭いてくれた。せっかくなので、有り難く尻尾に顔を埋めて尻尾を堪能させて頂いた。
【ちょこっとメモ】
・ガマちゃんはとっても優しいお姉さん
・シママさんは落ち着いたお兄さん
・ラコブくんは好奇心旺盛な男の子




