43 国を背負うという重圧
3日目の朝
本日は朝早く出発した。
予定では、正午には着くらしい。
今日の馬車での会話は、真面目だった。
ハンデルンの町をどうしたいのか?から始まり
国と他の田舎町とのバランスなど。
一つの町だけではなく国の全体を見据える事も
重要だと言う話まで、お互いの意見を出し合った。
最終決定は、国王陛下だが
ウィルにはウィルなりの国を守るという
生まれた時から定められていた想いがあって
国を背負う重圧は、相当な精神負担だろう。
王子として生まれたというだけで
その責任が、のしかかるとか
私には想像が付かない。
その立場にならなくては、分かり得ないと思う。
だから、せめて私なりに国の為に考えたい。
これでも、侯爵家の令嬢だ。
国の為に人生があるって分かってる。
その為の貴族だ。
国民が健やかに暮らせることが国の為になる。
国は数ある街を束ねる存在。
数ある街に富を分散しなければならない。
それは貴族の役目だ。
何処かに集中させてはバランスが崩れる。
その貴族にテコ入れしたい国王の意図が見え隠れして居そうだ。
一筋縄では行かない気がして
気持ちは暗くなる。
「ローズ。君は賢いね。
先読みしてるんだろ?
顔が明らかに暗くなったね。
確かに、町一つ良くすれば終わりではない。
バランスも大事だ。
僕も詳しくは知らないが父上も自分が王である内に大きく変えたい何かがあるようだ。
何にしても、資金源は欲しいと言った所かな
君には、ハンデルンの可能性を示して欲しい。
細かい事や責任は、僕の役目だ。
君の、知識と知恵を借りたいし。
僕の心の支えになってくれたら嬉しい。」
今日のウィルは真面目な王子。
こんなウィルは、支えてあげたくなる。
真面目すぎて、直ぐに一人で抱え込むから
ほっとけなくなる。
「その細かい事とか責任って
また一人で全てを、やる気でいますの?
ダメですよ。
町も国も一人で造れませんよ。
王子の着ぐるみ被ると昔に戻りますよ。
そろそろ誰かに頼る事を覚えて頂かないと
警戒心強過ぎて、本当に頼れる相手を作るの忘れてませんか?」
と、ちょっと説教くさく言ってしまう。
「うわっ。手厳しいな。
でも、有難いよ。確かにね。
政務とか筆務とか手伝ってくれる人は居るけど
任せるって事をしてなかったかもね。
完全に任せるってくらいの信頼関係は
築けて無いかも。
君が言うように、その点はサイラスの方が優れてそうだ。」
と、苦笑いのウィルに
「今の宰相の嫡男のノア・アンダーソン様とは
ご友人なのではありませんか?
あの方にも、心を開いてなかったのですか?」
そう問えば
「正直に言って、微妙かも知れない。
彼は優秀だし味方になれば頼もしいが
計算高いしね。値踏みされてるようで
ちょっと苦手だったりするんだよ。」
ちょっと意外だった。
確かに、あまり話した事はないが
眼鏡インテリって感じで、計算高くて腹黒そうだとは思う。
でも…
攻略キャラと言うことは
何かしら闇を抱えてて、ヒロインが心を開く
なんてのが、乙女ゲーあるあるではないのか?
これは、ウィルに言うべきだろうか?
などと考えていると
「どうしたの?
難しい顔して、何を考えてる?
僕には、ちゃんと話して欲しいけど。」
前世とか転生とか受け入れてくれてるし
話しちゃおうと思う。
「あのね、この世界は
エリアーナが知ってる物語を模した世界って話をしたじゃない?
その物語の内容を私は知らないんだけど
登場人物は、知ってるの。
勿論、ウィル様やお兄様それにエリアーナ。
他に、ノア・アンダーソン様と
騎士団長の嫡男のレオ・シェラード様。
エリアーナが誰と恋するか?みたいな物語なのよ。
あくまで、物語よ。
大抵の登場人物は、エリアーナに出会って
心を開くみたいな設定だと思うのよ。
ノア・アンダーソン様も、きっとトラウマとか何かあるはずなんじゃないかしら。
エリアーナに聞くのが早いんだけど。
それを利用すれば、ノア様のウィル様への信頼度は上がると思うのですけど。
どう思います?」
少し考え込んだウィルは
「なるほど…。
つまり、僕がノアを手懐けるって事か。
でも、女の子だから心を開いたんじゃないのか?
僕が、彼の理解者になったところで
本当にノアが心を開くのかな?」
まったくだ。
可愛い女の子のヒロインだったからなのかも。
「ウィル様、確かにそうかも知れません。
ちょっと浅はかだったかも。
エリアーナの可愛さに心開いた可能性はありますよね。
理由なんてなく。
ウィル様も苦手と言うなら
この話は無かったことにしましょう。」
と言うと
「ちょっと安心した。
いきなりノアの名前が出た時は
君がノアに興味あったのかと思ったよ。
前世知識だったみたいだね。
よかった。
ノアとレオもかぁ。
確かによく一緒に居たからね。
でも、レオは鍛錬とかはサイラスと一緒に居ることが多かったよ。
あの二人、結構 気が合うんだよ。
ノアとは良く勉強を一緒にしたなぁ。
負けず嫌いというか
父親に認めて欲しい一心でって感じだったよ。
ちょっと、僕を小馬鹿にしてる様な感じだったしね。
リュカが一番、一緒に居て楽だったかも。
良いライバルみたいな感じもあったし
幼い頃から考えたら一番、僕の側に居たのは
リュカだったよね。
信頼と言う意味では、リュカなのかもね。」
懐かしそうに話すウィルに
「お兄様ですか。
確かに、お兄様は昔からウィル様を尊敬してる感じでしたわね。
追いつかなきゃみたいな事を良く言ってた気がします。
私から見たら、お兄様も完璧だと思ってましたので。
それがプレッシャーになってたとは皮肉ですが。
私の存在もプレッシャーだったと言われた時は
追い込んでた一因が私とか申し訳なかったなと思いましたわ。
私が凄いのは、全てガロのお陰なのに。
人の心は聞かなきゃ分かりませんよね。
分かった気になってしまうんですけど…
ついつい確認を怠ってしまう。
気を付けなきゃですね。」
そう言う私にウィルが
「僕の心の確認もしてね。」と笑う。
話してるうちに町が見えてきた。
遠目に町を確認するが
確かに、パッと見た感じでも
スカスカな町って感じで過疎感が凄い。
これは、中々に大変そうだ。




