42 異世界キャンプ
この世界に来て初めてのキャンプ。
ワクワクしてたら
準備をするエリもテンション高めだ。
人生初めてのキャンプになるのだから無理もない。
楽しい思い出に出来たらと思ってしまう。
近くの森で、風魔法で木を刈り薪を作ったり
火魔法で火おこししたり
魔法を駆使してアレコレするのは楽しい。
宿場町で調達した食材を料理するのも
アンやエリと、わちゃわちゃしながらするのが
本当に楽しい時間だった。
ウィルは、そんな私達を見ながら
手伝うよとか言っていたが王子にやらせられないとアンが頑なに拒んでいた。
「料理も出来るんだね。
それも前世の経験?
まさか、屋敷でもやってるの?」
そんな質問をしてくるウィルに
「まさか、この世界に来てからしてないわ。
前世では一人暮らししてた時は、やらなきゃって感じだったし。
前世では、掃除も洗濯もしたわよ。
この世界に生まれて、全て誰かがやってくれるでしょ。
楽チンと思う反面ね、湯浴みまでやってくれるとか慣れなくて困ったわ。
お風呂なんて自分で入るものだったもの。
着替えもそうだし、そこまでしてくれるの〜
なんて思ってた。」
ウィルは、私の前世の話を、いつも
興味深そうに楽しそうに聞いている。
「なるほど、全て自分でするのか。
その記憶があれば、ローズは平民になっても
強く生きて行けそうだね。
僕は、生きて行けるかなぁ」
とか言ってる。
「いやいやいや、
ウィル様が、平民になるとか無いでしょ。
私も、楽さを覚えちゃったもの。
たまに、やるのが良いのですよ。
今日は、アンに止められちゃいましたけど
いつか、ウィル様も料理してみます?」
と、私が言うと
嬉しそうに頷いた。
ふと、エリに視線を向けると
何やらアンに教えてもらいながら
野菜を切っていたが、見るからに危ない。
思わず
「ちょっと、エリ。
不慣れな事は、無理してやらないでいいのよ。
料理なんて初めてなんじゃないの?
ちょっと
指とか切らないでよ〜。見てて怖いわ。」
と叫ぶとエリは
「え〜っ、楽しいんですよ。
大丈夫です。指を切ったりしませんよ。」
楽しいらしい。
仕方ないから見守る事にする。
そんな私を見てたウィルが
「ローズってエリアーナに甘くない?
なんか、妬けるんだけど。
エリアーナもエリアーナで
ローズに甘えてるし。
なんか嫌だな。」
急に子供っぽくいじけるウィル。
私の前だけは喜怒哀楽の感情を出すようになったのは嬉しい反面。
女相手でも妬くのかと、呆れる。
呆れたのが顔に出てたのか
「呆れた?
呆れるよね。僕も自分で呆れるよ。
エリアーナにまで、こんな妬くなんて。
こんなに独占欲が強かったなんてね。
自分でもビックリだよ。
一度、感情の蓋を開けたら止まらないみたいだ。
君への想いの全てが
僕にとって、初めての気持ちばかりで
僕自身、戸惑う気持ちもあるんだ。
だけど、それ以上に喜びもあって。
ローズが良く、気持ちが追いつかないって言うけど
僕だって同じなんだよ。
追い付かない。けど楽しいんだ。
嫉妬とか哀しみとか苦しいとか
そんな感情さえ愛おしくなる。
ありがとう。ローズ
こんな気持ちにさせてくれて
新しい自分を発見できたよ。」
基本、ポジティブなウィルで良かったと思う。
自虐も前向きに終わってくれるのは
とても、有り難い。
「こちらこそ。ありがとう。
ウィル様が前向きで助かります。
落ち込んだまま沈んだままって感じで終わられても困りますし…
欲張りで独占欲が強いって充分、理解しました。
さっ、エリが料理を楽しんでるみたいだから
やる事、取ったら可哀想ですし
2人で川まで散歩しますか?」
この話は終わりとばかりに
ウィルを散歩に誘う。
ウィルの手を掴んで引っ張ると
笑顔のウィルが隣を歩く。
暫く、景色を楽しみながら、ただ歩いた。
会話もない。
繋ぐ掌の温もりだけを感じていた。
「本当、自然は気持ちいいですね。
そろそろ日が沈みますね。戻りますか?
きっと星も綺麗に見えるんだろうな〜。
ねぇ、ウィル様。
私は前世の記憶があります。
だから、当たり前が当たり前じゃないんだなって
思い直す事も出来るし
突然、命が終わりを迎えるって知ってるから
日々を楽しもうって気持ちも
どんな感情も味わい尽くそうとか
そう思えるんですけど。
前世の記憶が教えてくれるだけで
私自身が凄い訳じゃないんです。
比較対象があるだけなんです。
本当の私はポンコツですよ。」
ウィルは少し黙って歩みを止めると
「どんな君でも
僕の気持ちは変わらないよ。
何だかんだ言ってるけど
理屈じゃなく君に惹かれてるんだ。
だから
君も、理屈じゃなく僕を好きになってくれたらなって思ってるんだ。」
そう言いながら
私と向き合うように立つ。
そして抱き締められた。
理屈じゃなく…求める人か…
私が今世で見付けたい幸せ。
こんなにも求められて素直に嬉しいと思う。
私も答えるように腕を回して抱きつくと
「やばい。離したくなくなっちゃう。」
そう言って抱き締める腕に力が入る。
「苦しいんですけど…。
締め付け過ぎです。」
と、雰囲気台無しな事を言うと。
身体を離しながら顔を覗き込み。
「こういう時は、もっと可愛く言って。
そんな言い方してたら、キスしちゃうからね。」
そう言って、額に唇を落とした。
えっ⁈て顔をして呆然とする私の手を取り
「ほら、暗くなってきた。
皆んなの所に戻ろう。
そんなに無防備なら唇を奪えば良かったかな?」
悪戯っ子な笑みを浮かべ私の唇を
親指でなぞっていく。
エロい。エロ過ぎ。
耐えられず後ずさる。
「ちょっとっ!ウィル〜っ
それはダメっ。ダメです!
何それ。エロ過ぎです。
いろんな意味でヤバすぎです。」
と、怒ってしまう。
「あははは。
ローズの嫌いな王子の着ぐるみを脱いだら
僕は悪い男のようだ。慣れてね。
さっ行こう。」
そう言って歩き出すウィルに後ろから
着いていきながら
慣れるかぁ〜い!
と、心の中でツッコミを入れた。
戻ると、焚き火の前で
私達を待ってる皆んなが居て
夕飯を食べながら
騎士さん達の失敗談なんか聞きながら
皆んなで笑って楽しんだ。
後片付けをアンとエリがしてくれる。
その間、満天の星空を眺めていた。
テントは、男女で分かれて寝ることに
護衛の2人が交代で見張ると言ってたけど
結界を張るから、ちゃんと寝て下さいと
お断りした。
3人で、テントに入り横になりながら
女子トークしてると
アンとエリが私のピアスを見て
「あっ、そのピアス。
早々に買った訳ですね。
マリー様が早々にお休みになってしまったから知らないと思いますけど。
昨日、宿で最近、平民の間で恋人同士で
お互いの瞳の色のピアスを付けるっていうのが
流行りって話を聞いたんですよ。
ウィリアム様も聞いてたんですね〜」
なんて言いながら笑ってる。
「ねぇ。エリに聞きたかったんだけど。
今、エリはウィリアム様の事
どう思ってる訳?
好きだったのよね?」
疑問に思ってた事を聞く
「気になりますか?
心配しなくても大丈夫ですよ。
ゲームのキャラとして好きだったんです。
しかも、最推しはリュカ様でした。
皆んな、それぞれイケメンで良いですけど
一番のタイプはリュカ様ですね。
イケメンだとは思いますけど
私は、普通の人と普通に恋愛したいです。」
そう言ってニッコリ笑うエリは
とても輝いてて可愛かった。
「そっか。
素敵な恋愛出来ると良いわね。
さ、明日は目的地に着くわよ。
そろそろ寝ましょう。」
ふかふかのベットに慣れていたので
中々、眠りに付かなかったが
いつの間にか意識を手放していた。




