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デスゲームに巻き込まれたようだけどこのゲーム作ったの俺でした  作者: 恋魂
四月十日 最後ミッション 無限回廊
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③ サイドB アリス その8 出陣

 

 カムイが狂気殺戮(バーサクモード)に変形し、最終ミッションに送り込まれる。

 カムイ。彼の思い出は最後まで思い出されることがなかった。

 100回以上彼はこの世界をループしているのだろうか。

 私とカムイが恋仲だった記憶はもう欠片すら残っていない。

 彼が素顔を見せたのは、どんな想いがあったのか。

 ほんの少しでも思い出して欲しかったのか。

 それとも全てを諦めていたのか。

 考えると切なくなる。

 好きな人に忘れられるのは、忘れるより辛いのではないだろうか。


「うっ、がぁあああああっ」


 教室にラスの雄叫びが響いた。

 筋肉倍加のスキル。

 サラマンダミッションでは両腕だけが膨らんでいたラスだが、今は身体全体が膨らんでいる。

 筋肉が山のように盛り上がり、身長は大人よりも大きくなっている。

 顔だけが幼女のままの筋肉ダルマ。狂気が迸る。


『出席番号2番 ラスさん』


 名前が呼ばれてラスが消える。


 今なら彼女の気持ちがわかる。

 忘れられたくないのだ。

 カムイの想いが一番でないなら、ラスの記憶はカムイの中から消えてしまうかもしれない。


 ハジメを見る。

 蘇った昔の記憶。

 私の人生でこれまで、ここまで感情が高ぶることは一度もなかった。

 愛というものを与えられたことも無かったし、人を愛することもないと思っていた。

 忘れられたくない。


 今、ハジメが記憶を失えば、アイの記憶だけが残る可能性が高い。

 もう二度と思い出されないかもしれない。

 それだけは避けたかった。


「アキラ」


 シズクがアキラの前に立っている。


「愛してる」


 シズクの言葉にアキラは無反応だ。

 それでもシズクは満足そうに目を閉じて、静かに佇んでいる。


『出席番号4番 シズクさん』


 そのまま消えていく。

 皆、後悔しないよう、すべてを出しきり、最後の戦場に向かっている。


「マリア、ドッキング」


『はい、マスター』


 マリアの機械の身体が開いて、アキラが入る。魔王戦のように二人が一つになる。


『出席番号5番 アキラ君』


 アキラ、そして機械人形のマリアが消える。


「ハイド、ゴー」


 携帯でルカが犬を呼び出している。

 ポイントで犬の装備も揃え、防御力がアップしているようだ。

 鎧のようなパーツに覆われている。


「カナ、待っててくれ」


 リキマルがギターを奏で歌う。

 カナの身体が赤いオーラのようなもので覆われていく。


「戦闘舞曲、一定時間、攻撃と防御が増す」


「はっ、余計なお世話だ」


 そう言ったカナがリキマルに向かって何かを投げる。

 ワラ人形だ。


「身代わり人形。一度だけ致命傷を吸収する」


「これはお前が」


 リキマルが人形を返す前に。


『出席番号8番 カナさん』


 カナの姿が消える。

 生き残る。生き残って欲しい。

 想いが交差し、駆け巡る。

 リキマルがギターを激しく引く。

 想い人の所に一刻も早く向かいたいのだろう。


『出席番号9番 リキマル君』


 演奏と共にリキマルが消える。


「さて、次はワタシね」


 クリスが口紅を取り出すと、それを顔に向ける。

 化粧をすると思ったが、口紅は口に向かわない。

 目の周りを塗り、ツリ目のような赤い外枠を作る。

 さらに口の横に牙のように赤い線を引く。

 鬼のような形相になるクリス。


「ここからは」


 クリスがこちらを睨む。


「本気の殺し合いだ」


 人格が男になっている。

 共にパーティーを組んでいたとき、何度も経験している。

 凶暴で残忍なクリス。

 こうなったクリスは止まらない。


『出席番号11番 クリス君』


 クリスが消える。

 いよいよ次は自分の番だ。

 ルカとハジメが来るまで生き残れるだろうか。


 これが最後になるかもしれない。

 二人に何か言おうとしてやめる。


 生き残る。

 全て終わって、笑って話す。

 伝えたい想いはそれまで取っておく。


「行ってくる」


『出席番号12番 アリスさん』


 身体が液体になるような浮遊感と共に意識が消える。


 目が覚めるとそこは見渡す限りの草原だった。

 見たことがない程、草が長く伸びている。

 首のあたりまで伸びた草。

 辺りを見渡すが自分以外の姿は見えない。

 先に飛ばされた者達はどこにいるのか?

 全員、違う所に飛ばされるのなら後から来るルカやハジメと早く合流する必要がある。

 ルカのスキルに任せたほうが良さそうだ。

 私は致命的な方向音痴だしな。


 ウォン、という機械音が突如、草原に響いた。


 見上げると空から巨大なドラゴンが降りてきている。

 ただのドラゴンではない。

 半分以上が機械に覆われている。

 まるで機械でツギハギされたようなその姿は、痛々しくも禍々しい。


「イィイィイイィイィイィイィっ」


 その機械ドラゴンが耳をつん裂くような咆哮を上げる。


 私を発見したのか。

 空中にいる機械ドラゴンと目が合う。

 生命のある瞳ではなかった。

 機械で出来た目玉。ガラス玉の中にある数十個の眼球がぐるぐると回るように動いている。


 ゆっくりと降りてきていたドラゴンは急速に旋回し、勢いよく私目掛けて突進してくる。


「不倶戴天(ふぐたいてん)」


 剣を巨大化させ構える。

 魔王戦で叩き折られた剣を新しいものに変えていた。

 アキラがパーティーを組んでくれていたため、魔王を倒したポイントが大量に入っていた。

 そのすべてのポイントで新しい剣を購入した。

 聖剣エクスカリバー。

 ポイントで得られる最強の剣。

 これが折れれば、もう終わりと言ってもいい。


 加速して向かってくる機械ドラゴンに向かって全力で剣を振るう。


 金属と金属が擦れる音がして、何かがブツリと切断された。




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