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デスゲームに巻き込まれたようだけどこのゲーム作ったの俺でした  作者: 恋魂
四月八日 ドラゴン討伐ミッション 改め 緊急メンテナンス
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⑤ 恋愛相関図 その3

 

 その男、カムイの登場に場が凍りつく。

 カムイに対しての恋愛相関図の解説など命取りになるのではないか。

 だが、さすがのクリスはそのプレッシャーを跳ね退けて解説を始める。


「さあ、ついにやって来ましたっ。ワタシの想い人、出席番号一番カムイちゃんっ。一見、恋愛とは無関係に見えるカムイちゃんですが、なんとっ」


 ガチャリと機械音が響く。

 カムイの装備が変形している。

 両肩からマシンガンのような筒状のものが出現していた。


「新装備。試す時が来たようだ」


 凍りついていた教室が氷河期のようにさらに凍りつく。

 さすがのクリスも口を開けない。

 だが、その時。


「オレも聞きたいな。カムイの恋愛相関図」


 ロッカーの扉を開けて出て来たのは、カムイの半分くらいのサイズの幼女。


 鋭い大きな吊り上がった紅い瞳に、牙のような八重歯。ツンツンと上を向く短髪銀色の髪。

 10歳くらいだろうか。

 何かのキャラクターか? 可愛いクマが正面に印刷された子供服を着ている。

 まさか、この幼女がA組のリーダー、ラスなのか?


「クリス、先にオレのほうでいい。最後にカムイの解説もしろ」


「任せて、リーダー」


 やはり、この幼女がA組リーダーのラスなのだ。


「ラス、俺は......」


「知っている。それでももう一度、噛みしめる」


 ラスが歩いて席に向かう。

 自分の二個後ろの席、アリスの前の席に座る。

 目が合う。

 鋭い目で睨まれる。

 なんだ。凄まじい憎悪を感じる。恨まれる覚えはない。ゲームを作ったのが俺だと知っているからか?


「えー、それでは順序を変えて、さきに出席番号2番、我らA組のリーダー、ラスちゃんです。彼女の好感度は、出ましたっ! カムイちゃんに♡六つ。圧倒的、好感度っ」


 ラスがカムイを愛しているのか。

 いや、この歳なら恋愛というより、親子愛的なものだろうか。

 カムイの愛する者もラスだろうか。

 だとしたら、人質にするのは不可能だ。

 見ただけでわかる。ラス。この幼女はとてつもなく強い。

 ラスはクリスの発表後もまるで表情を変えずこちらを睨んでいる。


「さあ、そしてっ、ついに発表です。出席番号一番カムイちゃんっ、なんと♡六つの好感度っ、その相手はっ」


 クリスがラスの方を指して叫ぶ。

 やはり、あの幼女がカムイの弱点なのか。

 だが、その指先はラスを飛び越え、さらに後ろを指していた。


「アリスちゃんっ、なんとカムイちゃんのハートを射止めているのは、アリスちゃんですっ」


 馬鹿なっ!

 思わず立ち上がりそうになる。

 カムイはリザードマン統一ミッションの時、ほとんど死にかけているアリスを助けなかった。

 姿を隠して、その場に居たにも関わらずだ。

 あの時、ナナの登場が少しでも遅れたらアリスは死んでいた。

 なのに、俺がアイを愛してると同じくらい好きだと?


「へ?」


 アリスも信じられないのか、素っ頓狂な声を上げる。


「やはり、変わらないのか、カムイ」


「ああ」


 ラスとその左隣に座ったカムイが話している。

 変わらないということは、前からということか。

 愛する者が死にかけているのに助けない。そんな愛が存在するのか?


「リーダーも諦めないでね。カムイちゃんの好感度♡五つよ。逆転狙って頑張って」


 クリスの励ましにも無言のラス。よく見ると少し涙目でプルプルしている。あらやだ、可愛い。


 教室全体に重い空気が流れている。

 机にある朝食に誰も手をつけていない。

 無言。

 誰も一言も発しないまま、椅子に座り固まっている。


 カムイの弱点を見つけようと始まった恋愛相関図。

 カムイの愛する者がアリスだったという意外な事実。

 しかもアリスの好感度は俺に対して♡五つある。

 これを利用して、カムイを倒すことが可能ではないかと考える。


 不可能だ。

 人質事態が成り立たない。

 例えアリスが死んでもカムイは微塵も動揺しないだろう。

 それはリザードマンミッションの時に分かっている。

 どうやったらそんな精神状態になれるのか。

 力も精神力も俺はカムイにまったく及ばない。


「ああ、そうそうアリスちゃん、ハジメちゃんの好感度ランキング聞きたがってたわよね。みんなに紹介するついでに発表するわね」


 ちょっと待て、果てしなく嫌な予感がする。


「本日A組に編入してきた出席番号三十三番ハジメちゃん。好感度高い順に発表するわ。長いので黒板に書くわよ」


 長い?

 まさかとは思うが。

 これはっ。


 一位 アイ ♡六つ

 二位 アリス ♡五つ

 三位 ナナ ♡四つ

 四位 ルカ♡三つ

 四位 リリン♡三つ

 四位 シズク♡三つ

 四位 カナ♡三つ

 四位 ラス♡三つ

 九位 ワタシ ♡二つ


 黒板に書かれた節操のない好感度ランキング。

 違う。俺は一人だけを愛している。

 これは多分、これまですべてのっ。


「物凄い浮気者ね、ハジメちゃん! でもワタシもランキングに入ってるから許してあげるわ」


 ウインクするクリス。

 まさか、オカマと恋仲になった時もあるのかっ。

 何があった。別の俺っ!


「少し、話があるんだが」


 背後にアリスが立つ。

 肩を掴まれる。力が込められている。痛い。めっちゃ痛い。


「さあ、これでこのクラスの恋愛相関図は終わりよっ、みんな、恋にミッションにこれからも頑張っていきましょうね」


 無理矢理締めに入るクリス。

 いやいやいや、そんなさわやかな雰囲気とは程遠い。


「これ楽しいから毎週やろうかしら」


 クリスの言葉に教室の全員が首を振った。



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