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③ 恋愛イベント アイ その4 さらにずっとアイのターン

 

「リザードマンの鱗で盾を作れるみたいだ。アイさんは手に入らなかった?」


「うん、なんもなし。パーティー組んだらアイテム分配は運だからね。下手すりゃ一人だけアイテムいっぱいで他0とかもあるよ」


 なるほど、大人数のパーティーはリスクが高いのがわかる。


「最後のポイント分配は生き残ったパーティーに入るから、途中で減ったりしても無駄にならないけど、死んだパーティーメンバーがアイテムゲットしてたら、完全に無駄になるわ」


 キョウヤもリザードマンの鱗をゲットしていたが無駄になったということか。


「盾作った方がいいかな? 50Pかかるけど」


「残りのポイントは?」


「184ポイント」


「微妙ね、次のミッションまで待ちましょう」


 ドタバタがあった後、二人で今後の作戦を練っていた。

 次の新人が役に立つかわからない以上、最悪二人だけで戦わなくてはならない。

 あれからアイは帰らずにベッドの上で横に並んで二人座っている。

 さっきのことがあるため、少し意識してしまう。


「そ、そろそろ遅いし、また明日にしようか」


「なんで? ハジメ、ずっと寝てたでしょう。うちも

 寝てたし、まだ大丈夫だよ」


 意識してしまい違う所が大丈夫じゃないとは、さすがに言えない。


「う、うん。まあ明日もあるし、無理しないほうが」


 じー、とアイがこっちを見ている。

 気のせいか口元が少し笑っているように見える。


「ハジメ、もしかしてうちの見て興奮した?」


「い、あ、いえ、ぜんぜんっ、違いますっ」


 うおう、動揺してしまった。やばい。

 アイがにまぁと笑う。


「なになに、魅了のスキル効かないから、そういうの興味ないと思ってたら、ちゃんと興味あるじゃない」


 擦り寄ってくる。


「ちょっ、まっ、ストップ、ストップ」


「やっぱりハジメ、童貞? よし、おねーさんが色々教えてあげよう」


 逃げようとしたがバランスを崩してベッドに倒れる。


「捕まえた」


 アイがマウントを取る。下から見下ろすとアイが舌で唇を舐めていた。


「へっへっへ、観念したかね」


「おっさんみたいですよ、アイさん」


 ぱしん、とおでこを叩かれる。


「こんな時にそう言う事言わない。やっぱり童貞だな」


「童貞かどうかわからないんですよ」


「ん?」


 アイがきょとんとした顔になる。


「記憶喪失なんですよ」


「マジで?」


「本当です。だからもしかしたらこのゲーム作った黒幕かもしれませんよ」


 なぜ話したのだろうか。

 誰にも話さず一人で抱え込むのがいやになったのか。

 誰かに罰せられたかったのか。


「もしハジメが黒幕だったとしても、今記憶なければそれはもう別のハジメだよね」


「え?」


 その考えはなかった。


「もし記憶が戻って黒幕だったらぶっ飛ばすけど、今のハジメはただの童貞ヘタレ野郎だよ」


 俺が本当に神のコピーでも、今、ここにいる俺はただ一人の俺だと思っていいのだろうか。


「で、どうする? する、しない? あそこは元気みたいだけど」


 アイはちょうど股間の上に座っている。

 何も履いてないお尻がずっと当たっている。

 元気になるな、という方が難しい。


「二人が死んだ次の日にエッチって、節操ないですよ」


「そんなことないよ、うちもハジメも次死ぬかもしれないしね。童貞のまま死んだら後悔しない?」


 頬を触られる。ダメだ。ゾクゾクする。


「アイさんは俺を好きなんですか?」


「嫌いじゃない。でもエッチしたら好きになるかもしれない」


「ビッチですね」


 ごん、と思い切り顔面を殴られる。


「いっ」


 痛いと言おうとした時に唇を塞がれる。

 ミッションの時と違うキス。

 舌が別個の生き物のように進入してくる。

 いつのまにかスエットの下は脱がされていた。

 下着越しに肌を感じる。

 ヤバ過ぎる。暴走気味の息子がアイのアソコに当たっている。


「すっごい、ね」


 唇を離すアイ。

 唾液が糸を引いている。


「アイさん」


「さん、もういらない」


 絡む。いつの間にか下着も脱がされていた。

 下半身は自分の身体でないように、勝手に動き始める。

 暖かいものに包まれる感覚。


「アイっ」


 叫んでいた。


「んっ」


 アイが色っぽい声を上げる。

 いつの間にか上になっていた。

 アイのセーラー服を乱暴に脱がす。

 腰を止めることが出来ず、激しく動く。


「ハジメ、ハジメっ」


「アイ、アイっ」


 二人で名前を呼び合う。

 アイは俺を利用しようとしているだろう。

 肌を重ね合うことで、自分の価値を上げようとしている。

 だが、それでもいいと思った。

 アイがいなければたぶん、俺はもう諦めてこのゲームを投げていた。

 カムイがいつか全員を助けてクリアするかもしれない。

 だが、その時のアイと今のアイはもう違う者だ。

 今のアイを守る。

 そんな目的があってもいいじゃないか。


 二人で一つになったように、激しく絡み合う。

 ドロドロに溶るように混ざり合う。


 刹那。

 何かの記憶が蘇る。

 なんだ。誰かと一緒に教室にいる。

 笑っている。俺と誰か。

 だが相手の顔がわからない。

 砂嵐の中にいるように霞んでいる。

 世界を作った神の記憶か、自分の記憶か。

 ただ笑いかける自分が本当に幸せそうだ。


「は、ハジメっ」


 アイの声でその光景が飛ぶ。

 誰だったかなど、もう考えられなくなっていた。

 さらにアイと一つになろうと抱きしめる。

 アイも背中に手を回す。

 二人、すべてを忘れて、肉に溺れた。



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