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デスゲームに巻き込まれたようだけどこのゲーム作ったの俺でした  作者: 恋魂
四月十日 最後ミッション 無限回廊
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⑩ 遭遇イベント カムイ その4 最終決戦

 

 草原の中、隠密スキルで気配を消し、ルカ達を待つ。

 半分機械のドラゴンが後からやってきた者達を殺戮している。

 警官。巫女。裸の女性。老婆。着ぐるみ。

 逃げ惑い、助けを呼ぶが動かない。

 人を助ける余裕はない。

 これから始まる戦いの為、一ミリも体力を使いたくない。

 目の前の人々が惨殺される様をただ呆然と眺めている。


「イィイィイイイィっ」


 耳障りな奇声を上げ、上空から機械化ドラゴンが、落ちてくる。

 上に人影が見えた。

 カムイだ。

 どうやら機械化ドラゴンごとここに来るようだ。


 警官の首を咥えていた機械化ドラゴンと落ちて来た機械化ドラゴンが衝突する。

 爆音とともに辺り一帯が爆破し、火の海に包まれる。


 ダースベイダーのテーマが頭の中で聞こえてくる。

 ド派手な登場だ。

 燃え盛る草原の中からゆっくりカムイが歩いて来る。


 狂気殺戮(バーサクモード)は解除しているようだ。

 いつもの姿で真っ直ぐに俺の方に歩いて来る。

 やはり、カムイには隠密スキルは通用しない。


「空が」


 こちらに近づきながらカムイが話す。


「日が昇りかけて色が変わり始めている」


 空を見る。昇りかけた太陽が空をオレンジに染めている。


「世界の終末みたいで、俺は嫌いじゃない」


「そうだな」


 空を機械化ドラゴンが旋回し、地上では虐殺が行われてる。

 阿鼻叫喚。

 だが、心は落ち着いている。

 俺もこんな世界が嫌いでない。


「さあ、全てを終わらせようか」


 カムイとの距離が縮まっていく。


「ハジメっ」


 その後方からルカが四つん這いで走ってきた。

 血塗れだ。犬耳が片方千切れている。


「絶対領域」


 カムイが何かを呟くと、辺りの空気が変わった。

 見えない何かに閉じ込められたような圧迫感を感じる。


 ごんっ、と鈍い音が響いて、ルカが転倒する。


「っっ、なんだっ、これは」


 見えない壁が俺とカムイを覆っているのか。


「誰もここには入れない」


 カムイの表情はわからない。

 だが、何故か笑っているのではないか。

 そんな気がする。


 ルカは何も無い空間を叩いている。


「ハジメっ、ハジメっ」


 脇腹から血が滲んでいる。


「大丈夫、待っててくれ」


 ルカに笑いかける。

 困ったような、泣き出しそうな、そんな顔から無理矢理ルカは笑みを作る。


「わかった、待ってる」


 ルカが犬のようにお座りする。

 後で頭を撫でてやろう。


 カムイはもう目の前に立っていた。

 教室で対峙した時、何も出来ずに敗北した。

 なのに恐怖は感じなかった。

 これで終わりかもしれない。

 だが、やれることは全てやる。


「いくぞ」


 カムイの機械鎧から赤い煙が噴出する。

 狂気殺戮(きょうきさつりく)モード。

 覆っている機械のパーツ、その一つ一つに動脈のような赤い筋が浮かび、機械のマスクが黒い兜みたいなものから骸骨ように変わっていく。


「ヴルゥヴヴヴゥヴヴルィヴゥヴヴゥ」


 雄叫びを上げるカムイ。

 同時に目を閉じる。


 魔王を倒したことによって得たポイントを全て注ぎ込んだスキルを発動させる。


 世界断絶。

 隠密系スキルの最上級スキル。

 このスキルは多分、俺だけのオリジナルスキルだ。


 カノンが言っていた。


「お父様は世界に興味がありませんでした」


 世界に興味のない俺が世界から存在を消すスキル。


 教室でただ一人。誰とも話さず、誰とも関わらず、誰も愛さず、誰からも愛されず、世界を断絶し、世界を破壊し、新たな世界を創り出した。

 そんな、俺だからこそ得ることの出来たスキル。


 世界を拒み続けた俺が世界から消える。

 溶け込むように世界の中に消えていく。

 自分ですら、自分が存在しているかわからなくなる。

 意識を少しでも残していないと、本当に消えてなくなりそうになる。


 これでも見つけられるのか、カムイ。


 暗殺スキル、クリティカル。

 一撃だ。一撃でカムイの首を斬り落とす。


「ヴヴルィヴゥ」


 カムイは動かない。

 背後に回り込み剣を抜く。

 殺気を出さない。

 力を抜き、テレビのスイッチを押すように、ごく自然に剣を振り下ろした。


 何が起こったのか。

 目の前のカムイが消えていた。

 振り下ろした剣が空を斬る。

 隠密スキルや迷彩スキルではない。


 世界断絶スキル。

 自分が使っているからわかる。

 カムイは同じスキルを使って世界から存在を消した。


「カムイ」


 ダメだ。感情を出してはいけない。


「カムイっ!」


 しかし、抑えきれずにその名を叫ぶ。


「ヴルゥヴヴヴゥヴヴルィ」


 いきなり目の前にカムイが現れる。

 ジークを蹂躙したカムイの拳が炸裂した。


 吹っ飛ぶ。

 凄まじいスピードで宙に舞い、見えない天井にぶち当たる。

 ピンボールのように勢いは止まらず、そのままのスピードで地面に激突した。

 どこを殴られたかわからない。

 だが、その一撃でもう動けなかった。

 内臓が破裂し、骨はいくつも折れている。

 圧倒的な力の差。

 世界断絶は通じない。

 叫ぼうとしたが声が出ず、かわりに大量の血を吐き出した。


「ヴルゥヴヴヴッッ」


 カムイがゆっくりとこちらに近づいてきた。

 勝利を確信しているのだろう。

 ルカが何かを叫んでいる。

 心配しているのか?

 大丈夫だ。

 わざと叫び注意を引いた。

 本当の目的はカムイに殴られた瞬間に終わっていた。

 殴られながら、右手の気配だけを世界から完全に消していた。

 カムイの狂気殺戮(バーサクモード)。

 髑髏型に変形したマスクは口が開いている。

 そこに消えた右手でそっと一つ、小さな玉を置いてきた。


 カムイがトドメを刺す前にモードを解除する。

 ジーク戦の時もそうだった。

 ポイントの消耗が激しくなる狂気殺戮を長くは使わない。

 機械のマスクが髑髏から鎧型に戻り始める。


 変形したマスクの中で、プチッと、何かが潰れる。


 ルカから貰った爆裂玉。

 凄まじい爆裂音がカムイの顔面で鳴り響いた。





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