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第九章 蓮、堕つ
名古屋の夜は、深く冷たく蓮の心を突き刺した。
燈の脱出と神堂香澄への逆襲の報が錯綜する中、蓮は己の闇と向き合わざるを得なかった。
酒に溺れ、虚無の中を彷徨う蓮。
彼の胸に巣食うのは、柚衣の死、ユウトの決断、燈の不在による深い孤独と罪悪感だった。
だが、その絶望の底で、蓮は一つの提案を受ける。
ある夜、闇の情報屋から届いた誘いは、名古屋の裏社会を牛耳る組織との「密約」だった。
「力を貸せ。代わりに、お前の望みを叶えてやる」
蓮は逡巡した。
その密約は、名古屋の闇の深淵へと蓮を引きずり込んだ。
彼は、自らの信念を捨て、醜い妥協と裏切りの道を選ぶ。
その瞬間、蓮は「堕ちた」。
かつての闘志は闇に呑まれ、彼の目は冷たく鋭い刃のように変わっていった。
名古屋の闇は、彼をも飲み込み、変えてしまったのだ。
だが、その先に待つのは、さらなる血の業火――。




