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第五章 業火の女帝
名古屋市内の高層ビル、トップフロア。
そこに佇むのは、神堂香澄。
艶やかな黒髪をなびかせ、冷徹な瞳はまるで氷のように鋭い。
彼女は名古屋の裏社会を牛耳る“赫き女帝”と恐れられ、その名は誰もが口にしない忌むべき存在だった。
香澄は窓の外を見つめながら、静かに微笑んだ。
「名古屋の夜は、まだまだ私のものよ」
手元には柚衣の遺したSDカードのコピーが置かれている。
「燈も、蓮も、柚衣も……すべて私の計画の中にいる」
秘書の若い男が部屋に入ってきた。
「女帝様、例の件ですが……」
「進めて」
香澄の声は冷たく、決して迷いはなかった。
一方、蓮と美咲は裏の情報網を駆使し、香澄の動向を探っていた。
「奴の力は想像以上だ。だが、ここで引けば、みんな死ぬ」
「諦めるわけにはいかない。柚衣のためにも」
その夜、香澄は闇の儀式を執り行っていた。
暗い部屋の中央には、古びた祭壇。
燭台の灯が揺れる中、彼女は祈りにも似た呪文を唱える。
「赫き炎よ、我が敵を焼き尽くせ」
その言葉が、名古屋の夜空に轟く雷鳴のように響いた。
戦いは、さらに激しさを増していく――。




