表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赫き夜の烙印  作者: キロヒカ.オツマ―


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/36

第一章 流れ者たちの街

 名古屋の雨は冷たく、無情だった。

 傘もささずに歩く男の背中に、しとしとと降り続く雨粒が冷たく打ち付ける。


 蓮は、港区の薄暗い路地裏を歩いていた。

 半年ぶりに戻ったこの街は、あの夜の炎と血の匂いを微かに残しながらも、静かに、しかし確実に変わっていた。


 「流れ者……か」


 誰かが彼をそう呼んだ気がした。

 それは、彼自身のことでもあった。


 蓮は今、どこにも居場所を持たず、誰にも信用されず、ただ「流れ者」として日々を生きている。

 酒と煙草に溺れ、薄暗いモーテルの一室で過去の影に苦しむ毎日。


 ユウトは新潟へと送り出され、燈は今も消息不明。

 柚衣の死は蓮の心に深い傷を残した。


 だが、彼の心はまだ燃えていた。

 あの街の闇に抗うため、もう一度拳を握り締める時が来た。


 その夜、蓮は偶然立ち寄ったバーで、一人の女に声をかけられた。


 彼女は漆黒のロングヘアに切れ長の瞳を持つ女性。名は美咲みさき


「蓮さん……あなた、変わったわね」


 美咲はかつて、名古屋のLGBTQIA+支援団体で活動していた同志の一人だった。

 だが、今はどこか冷たく、そして謎めいた空気をまとっていた。


「何してるんだ、こんな街で」


 蓮が尋ねると、美咲は意味深に笑った。


「流れ者は誰かのために流されてるだけ。ここでは、流される側が死ぬの」


「じゃあ、俺は……?」


「戦うなら、仲間を選びなさい」


 その言葉は、蓮の胸に重く響いた。


 その時、店のドアが勢いよく開き、男たちが乱入してきた。


「おい、あの女連れた男、連れてけ!」


 見知らぬ男たちは、蓮と美咲を睨みつける。


 蓮の体が反応した。


「こいつら、俺たちを狙ってる」


 美咲は静かに頷き、隠し持っていた小型のナイフを鞘から抜いた。


「この街は変わってない。闇は深いわ」


 蓮は拳を握りしめ、立ち向かう覚悟を決めた。


 名古屋の街は、流れ者を許さない。

 だが、流れ者だからこそ、戦える。


 血と裏切りの街で、蓮は再び、闇の渦中に巻き込まれていく――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ