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星光記 ~スターライトメモリー~  作者: 松浦図書助
前編
35/144

第09章 木星とエウロパ 03節

 「なるほど。それでソラネさん、イシガヤ少佐は別路木星に向かったんだ?」

 そう声を掛けるのは、女神隊副軍団長のカリスト・ハンター大尉である。伊達幕府の木星本国においては先の執権イーグル・フルーレが反旗を翻してはいたが、帰還艦隊は動揺も少なく比較的平穏な帰途の旅を続けている。これは総司令であり、イーグル・フルーレに劣らない軍才を有するシルバー・スター大佐が居る事や、経済界に強い影響を持つタカノブ・イシガヤが健在だからである。

 「はい、その通りです、カリスト大尉。御屋形様は裁判所の許しを得た上で、木星の敵勢力を攪乱する目的で潜入工作を行っているころと思われます。御屋形様はあれでも黒脛巾の頭領ですし、木星を経済支配するCPGの支援もありますので、問題なく潜入できるかと……」

 ソラネはやや不安そうに言うが、それは間違いない事であろう。彼女が不安なのは、単に最愛の夫が危険を冒している、という事実によるものだからだ。

 「でもよく最高裁から無罪判決でたよね、しかもめちゃくちゃ早いタイミングで。」

 カリスト大尉がそう指摘する。元々謀反の嫌疑をかけられたイシガヤ少佐とバーン大尉の保釈はわずか半日で出ており、それも最高裁からというあり得ない早さであったからだ。

 「遠藤首相は賢明な方ですから。」

 ソラネは軽く答えるが、圧力をかけたという事である。

 「万が一バーン様を有罪にしたら、国民の一部はバーン様を助けるため、イーグル様に味方する事でしょう。容姿に恵まれている上に、『地獄の番犬』というあだ名も持つような武勇にも優れた方ですから。実際国民のアイドルですし、テレビ番組や雑誌などでも、よく特集が組まれています。」

 それは事実である。バーン大尉はいわゆる高身長イケメンに属していて、ましてや王族当主という『王子様』である。加えて、戦場往来久しく『地獄の番犬』の異名を持つほどの武勇を持ち、女性陣からはアイドル、子供たちからはヒーロー扱いされているほどに愛されているのであった。あっけらかんとした性格ながら責任感は強く軍事指揮官としても優秀であるため、多くの男性陣からも好感をもたれ、例年上司にしたい有名人の筆頭に挙げられている有様であった。ちなみに、イシガヤの方は一度もランクインしたことはない。

 「また御屋形様の方は、イシガヤ家のエウロパを穏便に使うためにも生かしておく必要がありますし、反抗したらどうなるか、知らない皆さんでもないでしょう。」

 ソラネがそういうのは、イシガヤが幼少で家督相続した際に、実権を奪おうとしていた家臣の一部が粛清され、一族郎党殺戮された公然の秘密を示唆している。幼少のイシガヤはクスノキの補佐を受けながらもこれを陣頭指揮しており、何人かは自ら手にかけたと伝えられている。

 「イシガヤ少佐やばいもんね……。でもそんな危険な人物である以上、殺しちゃった方がエウロパも旗頭を失って制圧しやすいような気もするんだけど。」

 カリスト大尉が指摘する。物騒な内容ではあるが、彼女自身はイシガヤとも親しく、特に悪意のあっての質問ではなかった。

 「そんな事、私が絶対に許さないですよ?私自身は御屋形様の庇護が無ければ力不足であることは承知していますけど、CPG社長のアークザラット様をイーグル様側に加担するよう説得し、エウロパにも幕府と徹底抗戦するように家宰である私が指示します。エウロパを指揮するシロイシは忠義の人ですから、例え幕府の正式命令であってもCPGの命令が無い限り絶対にエウロパの門を開かないでしょう。エウロパが抵抗すれば、幕府の残存戦力サイクロプス400機程度では絶対に落ちない自信があります。それも無理そうというのであれば、私の有するすべての権限において、エウロパのシステムを破壊します。イシガヤ家宰の私は、御屋形様の持つ権限のほぼすべてを有していますので。エウロパのシステムが停止すれば木星の食糧供給において致命傷となり、多くの人が飢餓に震える事でしょう。」

挿絵(By みてみん)

 「何それ怖い……」

 カリスト大尉が呟く。実際貧民街出身の彼女は飢餓の恐怖を知っているのだ。それを平然とやってのけるというソラネの発言は、彼女にとっては恐怖でしかない。尤も、ソラネ自身も戦災孤児として花街に売られ貧困を味わっている経験から、その威力は充分に承知しているのだった。しかしはっきりしているのは、イシガヤのソラネに対する信頼は絶大、という事である。ソラネ自体がまだ若年ではあるが、亡きオニワ長老に子供の頃から教育されており、内向きの事を処理する才能については優秀である。また業務上問題が無いよう、オニワ長老引退時に役目の引継ぎを行っている。孫のヨシノブ・オニワを家宰後任にしなかったのは、準王族当主としてある程度独立していた方が世間的には有利であり、また政治経済も得意な方とはいえ、軍事の方に精通しているヨシノブを軍に留めるためでもあった。オニワ長老の養女にあたるヤオネ・カンザキについても候補であったが、彼女の場合は追々イシガヤ家の正妻となる立場であったためこれも外されている。この二人は宿老級としてイシヤガ家の権益に絶大な影響力はあるが、それでも家宰であるソラネの方が立場上格上であった。

 「いずれにしても、御屋形様をそうそう害する事はできませんし、国民に人気のバーン様を処罰する事も簡単ではないのです。」

 ソラネがそう纏める。

 「分かっているじゃねぇか、ソラネ!」

 そう話に割り込んできたのは、バーン・フルーレ大尉である。彼もまた即時イーグル討伐の宣言を行い保釈されているため、特に制約なく艦隊で過ごすことが出来ている。とはいえ、一応は謹慎の為、家臣や部下と離れて警備の厳しい旗艦に滞在しており、軍務の多くは副官のニッコロ中尉に任せている状態であった。

 「でたー!」

 そう声を上げるのはカリスト大尉である。二人とも上級大尉でカリストも副軍団長格ではあるが、軍団長代理である師団総長を務めるバーンの方が軍人としては格上である。実務としては軍団長ではあるが、少佐にするにはやや不安という事での任官であった。

 「おい、俺はゴキブリじゃないぞ!」

 「概ね似たようなもんじゃないですか。」

 バーン大尉は王族当主であるが、そんなことは気にも留めずカリスト大尉は言い放つ。

 「何それ酷い!じゃあそんな俺と繁殖しようか?」

 バーン大尉の発言はただの冗談ではある。

 「絶対に嫌です!ぞんざいにお断りします!通報するので処刑されてくださいね!」

 「いやまて、それは冗談ではすまんから、な?」

 カリスト大尉がそんな風に王族であるバーン大尉をぞんざいに扱えるのは、戦場を共にしてきた仲であって、それが冗談だと分かりきってるからではあるが、また一方で心の底ではイシガヤやクスノキの庇護があることを認識しているからでもある。彼女は元々イシガヤの侍女を公募した際に女神適正と軍才を見いだされて、イシガヤ家の庇護の下に士官学校に通わされた経緯がある。当時最高クラスの戦術家であった亡きカタクラ長老の下で軍法を学び、学年次席の成績をもって女神隊士官に任じられたのであった。今でも元侍女としての慰労金としてイシガヤの禄を受けており、主要な家臣では無いが、家臣団とは親しくしており彼女が粗略に扱われることはないのであった。また彼女がイシガヤ家の家老であるマサノブ・クスノキに好意を持って居る事は公然の秘密であったし、クスノキもまたそれを悪く思っていない事も同様である。出世の早さからイシガヤのお手付きであったのではと噂されることもあるが、事実は否である。むしろ、彼女の才能を認めたカタクラ長老やシルバー大佐が、彼女を抜擢したのであった。

 「それにしても、ソラネは人質か?可哀想だな。」

 「いいえ、むしろ私は幸せ者です。」

 人質にされたソラネに気を遣ったバーンに対して、ソラネはそう伝える。

 「私のようなものが、御屋形様の人質になれるのですから。御屋形様は王族石谷家の当主で幕府の執権です。それに加えて木星を経済的に支配するCPG社の名誉会長でもあり世界でも指折りの資産家ですし、それどころかエウロパ一つを私有するほどの方なのです。軍においては遊撃隊という軍団一つを指揮なされています。そんな御屋形様の人質という事は、それだけ私が信頼されていて必要不可欠な人物であると認識されている、という事なんですから、これが嬉しくないわけがないのです。私は親も分からないような身寄りのない戦災孤児で、幼い時に娼館に売られるほどの貧民出身ですから、身に余る事です。御屋形様に引き取ってもらえていなければ、今頃酷い生活をしていたでしょう。」

 実際、イシガヤがソラネを引き取ったのは軍事施設周辺の違法施設の査察時に偶然居合わせたからであったが、彼女がイシガヤに引き取られていなければ、今頃どうなっていたかは想像に難くはない。とはいえ、結局買われたようなものなのだから、立場が違うだけで同じ事かもしれないのだが。もっとも、彼女がお手付きになった経緯は彼女の側から迫った結果なので、それについては特に不幸感はない。

 「ま、私も貧民街出身だから、ソラネさんの気持ちもわからなくはないな。」

 カリスト大尉が同意する。彼女は元々イシガヤの侍女になるべくイシガヤに会ったわけだが、実際の所、両親から売り払われるようにイシガヤ家の侍女募集に申し込まれた経緯がある。彼女はお手付きにはなっていないが、お手付きになっていたとしても生涯与えられる手当は手厚く生活に支障はなかっただろうし、両親にもまた多くの持参金は払われている。それでも親に売られた、という事実に違いは無いのである。幕府は経済大国ではあるが、それでも戦争が長く続いているためそういった貧民はどうしても発生し、幾つかのスラムは形成されているのだ。そういった出自ながら、今や女神隊副軍団長の立場にあるカリスト・ハンター大尉というのは、民衆の希望でもあった。

 「なるほどわからん。俺は生まれながらの王族だからな!」

 「どこの徳川家光だ!」

 鼻高々に冗談を言うバーンに対して、カリスト大尉がそう突っ込む。バーン自身、陸軍軍師団総長になるべく当然ながら努力してその実力でもってその軍事指揮官になっているわけではあるが、出自はフルーレ家であり、しかもその母はイーグルの正妻にしてダテ家の人物である。シルバー大佐の従兄にあたり、万が一シルバー大佐が死のうものならダテ家の相続人になるであろう彼であった。生まれながらの将軍をもじるだけの立場である。

 「やれやれ……人質その他が騒々しいですね。」

 そう言って現れたのは、それこそダテ家の当主にして軍総帥であるシルバー大佐である。

 「私達その他扱い……」

 カリスト大尉がしょんぼりと言う。だが、そんなことはシルバー大佐には些細な事である。

 「カリスト大尉、何か問題でも?ソラネ、御茶を頼みます。」

 「承ります。」

 厳密にいえばソラネはシルバーの侍女ではないが、基本内向きの依頼は対応している。イシガヤ家にダテ家の侍女を入れるのは不都合であるし、侍女を統率することもまたソラネの役割であるからだ。当主を暗殺しようと思えば、侍女などの小間使いが一番やりやすいため絶対の信頼が置ける人物を上に置く必要があるのである。そういった意味ではソラネはシルバーからも信頼されているのであった。

 「それで……、カリストにバーンさん。」

 シルバーが階級を外して問うという事は、これは公式の話ではない。

 「我々は今エウロパに向かっているわけですが、到着次第兵力を整え、イーグルを討たなければなりません。」

 シルバーが平静を装った顔でそう言うが、

 「うぅ……」

 「親父を討つのはきついぜ……」

 カリストとバーンは二人とも言い淀む。何がきついのかと言えば、イーグルは猛将であり梟雄であり、その軍事能力の高さの事を示しているのである。そしてそれを知らない将校など、伊達幕府軍どころか全世界においても居ないほどであろう。

 「兵力的には先ず負けないでしょう。CPGの残存兵力は、CPGの協力を取り付けてほぼ掌握できる見込みですから。しかし問題は、歴戦の猛者である貴方達ですら恐れてしまう、イーグルの武名にあります。」

 「なるほど。」

 シルバーの言にカリストが相槌を打つ。シルバー大佐もまたイーグルに並ぶ程の名将であって、その巧みな用兵術はイーグルにすら激賞され、後継者候補であったカナンティナント・クラウンを差し置いてまで後事を託された程のものである。兵数が同等以上であればそうそう負けることなどあり得ないはずだ。

 「かといって、イーグルを恐れないような猛将を指揮官に充てても、イーグルの巧みな用兵に対抗できるとは思えません。」

 シルバーが続ける。

 「海軍軍団長のクキ少佐は、空軍軍団長のリ少佐とかだな。」

 バーンが指摘するのは、今回の木星帰還に同行している先任の軍団長達であり、二人とも猛将で知られて戦場経験は多い。

 「貴方もですよ、陸軍師団総長のバーン大尉。」

 「わかってらぁ。俺じゃあ親父の用兵には勝てねぇ。」

 いずれも、他国に出して恥ずかしくない将軍ではあったが、イーグルはその遥か上を行く存在である。禿鷹将軍の異名をもったナイアス・ハーディサイトですら、当時のイーグル・フルーレに用兵術で勝てるとは思っていなかった程であるのだ。

 「お茶をお持ちしました。」

 「ありがとう、ソラネ。貴女も同席しなさい。……それで、今回の戦では、勇猛なクキ少佐やリ少佐を小艦隊司令に配して備えを任せるつもりではありますが、主要艦隊には別の者を充てるつもりです。とりあえず、木星方面軍の中でも手堅い采配を持ち私の家臣でもある木星衛星防衛軍軍団長のハラダ少佐と、木星軌道防衛軍のゴトウ少佐を使おうとは思うのですが……」

「なんかまじぃんか?」

 言い淀むシルバー大佐に、バーン大尉がそう尋ねる。

 「大艦隊を任せるには、流石に不安です。木星方面軍は通常1000機程のサイクロプスしか運用しておらず、通常各軍団長は200機程の機体しか運用していません。今回は各艦隊司令に500機程預けるつもりですが、500機程度であればどうにかなるかもしれませんが、双方で4000機を超える広い戦域を統率するには、いくらなんでも不安です。勿論私が采配を振るうのでその部分は大丈夫だと自負していますが、私一人で全軍統御というのもまた、不測の事態に対応しづらく困難が伴うと。」

 「困りましたね……」

 問題についてあまり分かっていなさそうなバーン大尉とは対照的に、カリスト大尉がシルバー大佐に同意する。問題は、イーグルに対抗できる指揮官不足、である。

 「差し出がましいかとは思いますが、よろしいでしょうか?」

 そう前置きするのは、ソラネは武官ではなく、イシガヤ家の家宰あるいはCPG幹部としての立場しかないからである。普通であれば軍事的な事に意見をする立場ではない。ただ、彼女が同席を求められたという事は、それらの意見が欲しいという事だ。

 「何です、ソラネ?」

 「シルバー様の仰り様、CPGの戦力を徴収するとの事のようですが。」

 当たり前の事の確認ではあるが、CPGの兵数を組み込まなければシルバーの言う兵数にはなり得ないからである。

 「タカノブからも了解は得ています。それが何か?」

 シルバーは一応そう応える。

 「それは良いのですが、CPGの戦力を加えるというのならば、艦隊司令を務めるシロイシを登用したら宜しいのではないですか?」

 ソラネの指摘するのは、現在CPGの総戦力を指揮しているシロイシというCPG自衛軍隊長の事である。華やかな実績は無いが、社内では地味で堅実で忠誠心があり、且つ豪胆という事で同司令に抜擢された人物である。

 「シロイシについては、聞くところによると凡庸な指揮官だと。」

 シルバー大佐がそう切って捨てる。聞いている前評から言って指揮官の選定には全く入っていなかったからだ。

 「はい。しかし総数4000機の自衛軍を指揮していましたし、その手堅さと忠誠心は諸将に優ります。例えイーグル様を前にしても、彼は一歩も引かずに奮戦するような方だと思います。内乱の目を摘むという点でも適任ではないでしょうか。加え、既に1度失態を犯した身ですから、名誉を挽回したいという思惑も働くでしょう。」

 CPGが彼に任せていた戦力は幕府軍に優るものである。それだけに、忠誠心やプレッシャーや誘惑に負けない強いメンタルを持ち合わせていることが、司令官となる絶対条件であった。イーグルと戦えば絶対的に戦術運用能力で劣るが、手堅く奮戦する事だけは間違いはない。

 「確かに、今回の問題は諸将の内からも裏切り者を出している点にもありますから、忠誠心のある将は大事ですね。」

 その点についてはシルバーもうなずく。どれほど優秀な人材を得たところで、裏切られては話にならない。

 「また、木星方面軍司令のモガミ様をお使いになられたらいいのではないでしょうか。」

 ソラネとしては、木星方面軍のモガミ中佐は彼女の影響下にあるわけではないが、敢えて進言する。

 「モガミは確かに優秀で手堅い。しかし、攻勢はとても得意とは言えない将軍です。彼は政治を含む防衛ベースの方面軍司令の任には十分ですが、敵軍を攻略するための指揮官というような将軍ではないと思っています。」

 モガミの才能は他国の将軍たちと比べて劣るという事もないが、今回シルバーが必要と考えていたのは攻勢にも強い将軍であるから、不適任だと考えていたのだ。イーグルと戦って勝てるとも思えない。

 「政治的な心理戦が加わります。モガミ中佐の御父上はイシガヤ家宿老としてCPG経営に関与しており、その経済界への影響力は無視できません。また、彼自身はイーグル様の懐刀とも言われていた方ですから、この点でもこちらにとって有利になるでしょう。経済界の重鎮がシルバー様に味方しているとなれば、財界人や気の利く民衆もシルバー様を支持するでしょう。また、イーグル様の懐刀である彼がこちらの指揮官であれば、義理や成り行きでイーグルに付いたものも、こちら側に降伏しやすくなります。イーグル様の求心力を抑える事が出来れば、兵力に優る価値があると思うのです。」

 「なるほど……」

 戦術面にのみ目が行っていたシルバーであったが、ソラネの意見によって政治的な部分も戦闘に組み込む必要を認識する。この辺りの機微は疎いため、ソラネの意見を基に参謀連に人事相談を掛けることになるわけだが、おおよその考えはまとまった。

 「ふむ。なるほど……。」

 腹案としては、まずは艦隊決戦にもちこむ。堅実な将をもってイーグルの攻勢を抑え、数の有利による勝利を求めること。だがこのままでは決戦に引きずり出せない。決戦ができても決め手に欠ける。問題は計略を以ってこれをどうするかだ。

 「そうですね。私は策を考えます。その間、カリスト大尉に木星への移動艦隊を当面任せます。それと、バーンさんとソラネは大人しくしてなさい。人質なんですから。」

 シルバー大佐は話に満足して、そう纏めるのであった。

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