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別校舎の学園探偵部  作者: hite
アイドルをお守りします

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22/23

天海誠也

 ――8時間前――


「よっし!!伝えたいことも伝え終わったし、そろそろ行くとしようか」


 白峯との通信が切れた後、深長が不意にそう言った。

 何処かに行く準備を淡々とし始める深長に小室は待ったをかける。


「え?僕達って部室で待機とかそういう感じじゃないんすか……?」


「いやいやそんなわけ無いじゃん。ほら行くよ、僕達も調べる時間は限られてるんだし」


 そう言いながら深長は部室からそそくさと出ていってしまった.、小室はそれに追いつくように急いで準備をして深長の後を追う。

 部室がある校舎を出た後、小室は再び深長に質問を投げかける。


「ところで行くってどこに行くんですか?進んでる感じA棟に向かってるみたいですけど……」


「あーーそう、A棟に向かってるよ……」


 明後日の方向に目を泳がせながら、深長は言った。

 どこかはぐらかされたような気がしながらも、小室は深長に黙ってついていく。

 歩き始めて十数分後、白峯がA棟のある部屋の前で止まった。

 壁には()()()と書かれていた。


「あ、あのぉ〜〜もしかして予定があるのってここすか?」


 汗をダラダラと流しながら小室は深長に問いかける。


「しょうがないじゃん!!ここしか外の情報が集まってる場所知らねぇんだもん!!」


「分かったっすよ……でも!!僕は最初に入りたくないです!!絶対に!!」


 体の前でバツ印を作りながら、小室は断固拒否の態度を向ける。

 深長は少し考えた後、部室の扉を開く。

 部屋の中には前にも見た広い部屋に無数に置かれたパソコン、それらと同じ人数の部員がいた。

 とりあえず二人は目の前を通りかかった、一人の部員に話しかける。


「すいませーーん、天海部長っています?用があってきたんですけど」


 その部員は”あの部長に!!”と困惑した表情を見せながらも、すぐに冷静になって話してくれた。


「いや、えっと部長なら実家に帰るって言ってましたけど……知りませんでした?」


「うっそ、まじで?ま、まぁいいやありがとう」


 深長はまさかの帰省を聞いた後、礼を言ってから部員を見送った。

 思わぬ障壁に二人は一旦部室から飛び出し、冷静さを取り繕う。


「あっれぇおかしいな〜〜?この日はいるって聞いてたんだけど……」


 スマホに目を通しながら、深長は言った。

 メールの画面には言った通り、天海部長から今日は部室にいる的なことが送られていた。


「まぁメールがどうあれ、今日は部室にいないみたいですね。どうしましょう?」


「いやぁどうしよっか?情報を集めるなら、中と外の情報が集まりまくる新聞部の部員に聞くのが一番手っ取り早いんだけど、知り合いって言えば部長しか知らないしなぁ……せめてもう一人くらい知っている人がいれば――」


 そこまで言った後、深長のスマホ画面をスクロールしていた指が止まった。

 指の下には見覚えのある名前が書かれていた。


「いた!!そういや僕この人と連絡先交換してたわ!!天海部長の弟、天海誠也!!ワンちゃんこの人ならまだ学校にいるんじゃ……」


 一筋の希望を胸に、深長は早速指を動かしメールを送り始める。

 だが全く逆の考えを持つ、小室がそれに反論する。


「いやぁ流石にありえないんじゃないんですか?帰省って家族全員で行うものですし学校にはもういないんじゃ――」


「あ、まだ学校にいるって」


「マジすか!!」


 小室の考えとは裏腹に、メールには今から行きますという文が送られていた。


 ==========


 A棟の昇降口前で待つこと数分、フード付きのパーカーとブカブカのスウェットに身を包んだ長身の青年が、こっちに走ってくる。

 急いできたのだろう髪はボサボサ、身にまとっている服はどこからどうみても寝間着だった。


「すいません、お待たせしました。どうも天海春奈(姉さん)の弟、天海誠也(あまみせいや)です」


 ――こ、この人優しいな……多分寝起きで速攻来てくれたってのに、怒りの一つも見せないなんて……僕なら優しさなんて保てないよ。


 礼儀正しい誠也に心を痛める小室をよそに、深長はキラキラした目で見つめている。

 目線の先には茶封筒を握っている誠也の手があった。


「もしかしてその茶色い封筒の中にあるのって……」


「そうです、注文されてた情報ですよ」


 ――な、何だ?情報って?


 話の読めない小室を差し置いて、誠也は茶封筒を深長に受け渡す。

 深長はまるでクリスマスプレゼントをもらった子供のように、ガサガサと茶封筒の中からクリップで止められた紙束が出てくる。


「ありがとうーー!!助かったよ、前もって情報があるのとないのじゃ天と地ほどの差があるからね」


「じゃあ報酬としてさっきメールを送った通り、事件解決まで俺も同行させてもらいますからね」


「いいよいいよ、何ならそっちのほうが僕もありがたいからね。ところで……その格好で大丈夫?ほぼ寝間着みたいな感じだけど」


 ――どの口が?って言いたいけど、我慢我慢〜〜っていうか話が全く見えてこないな、いつの間にこんな作戦会議を……


「まぁさすがにこれじゃあ学園の外には出れないんで着替えてきますよ、メールに目的地送っといてもらえますか?後で追いつくんで」


 自分の格好を見ながら誠也は言った。

 深長がそれを了承した後、早速着替えに戻るため寮がある方向へと走っていってしまった。


「足はっや……普段から何かトレーニングしてるのかな……」


 陸上選手並みの速さに深長は小室に驚きの同意を求める。


「いやーーどうでしょうね……じゃなくて!!何がなんだか僕全くわからないですけど!!」


 先程まで黙っていた小室による、切れのあるノリツッコミが炸裂した。

 説明を求めるように深長を詰めると、焦りながら弁明を始める。


「あ、あれ?い、言ってなかったっけ?僕達は今日事件現場に行くんだよ、マネージャーのね」


「聞いてないっすよ!!今日は新聞部に用事があるんじゃなかったんですか?」


「いやそれは、情報をもらいに行っただけだよ。ほら時間を無駄にするのも良くないしさ、早速向かおうよ、この埋め合わせは必ずするからさ〜〜」


 ――許せねぇ!!何一つ教えられてないことに、ムカついてくる〜〜!!って言いたいところだけど、確かに時間を無駄にするのは避けたい……


 逃げるように提案した深長に小室は手が出そうになったが、すんでのところ冷静さを取り戻した。


「しょーがないですね……今回はそれでチャラにしてあげますよ……」


「ありがとう〜〜よっし、それじゃあ早速しゅっぱーーつ!!」

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