第63話 右と左と…!
咄嗟の時、右と左を間違いなく反応できますか?
ネズミ「やぁ、ウサギくん」
ウサギ「やぁ、ネズミくん。
はい、右手を挙げて!」
ネズミ「ホイ!」
ウサギ「正解!
さすがネズミくんだね」
ネズミ「俺が間違えるわけないだろ!
ウサギくんじゃあるまいし・・」
ウサギ「・・・・(う~ん、その言い方は酷い!)」
ネズミ「ところで何なんだい! いきなり」
ウサギ「ネズミくんが突然のことにどの程度対応できるか試したかったんだ」
ネズミ「何でそう思ったのさ?」
ウサギ「太郎くんが何かの訓練の一環で授業中に先生から突然この指示が出たんだって」
ネズミ「へ~
それ何の訓練?」
ウサギ「そこまでは聞かなかったけど・・」
ネズミ「中途半端だな~」
ウサギ「ん~!
そう言われるとちょっとね。
でも、面白そうでしょ」
ネズミ「確かにボケ防止や反射神経を養うにはいいかもね」
ウサギ「僕にも言ってみて」
ネズミ「俺が出す指示はもっと難しくなるぜ!」
ウサギ「え~~~っ!」
ネズミ「覚悟はいいかい!?」
ウサギ「お手柔らかに頼むね」
ネズミ「手加減はしないからね」
ウサギ「どうぞ」
ネズミ「右手を上げないで左手を下げないで右手を前へ」
ウサギ「それ、ややこしいよ」
ネズミ「ウサギくんはいつも檻の中で過保護にされているからちょっと複雑なことにも対応できるように脳を鍛えておかないと・・・」
ウサギ「おかないと、何?」
ネズミ「その内危ない奴に喰われちゃうかもね~!」
ウサギ「そんな~!
脅かさないでよ」
ネズミ「じゃあもう一回いくよ」
ウサギ「よし、頑張る!」
ネズミ「上見て、左見て、上見ないで下見て、右見て、後ろ見ない」
ウサギ「きゃ~!
よく分かんないよ」
ネズミ「随分間違ってたね」
ウサギ「だって手じゃないんだもん。
焦っちゃったよ」
ネズミ「別に手で、という条件はなかったよね」
ウサギ「そりゃそうだけど」
ネズミ「それにしてもウサギくんは右と左の区別をきちんと理解している?」
ウサギ「ん~
咄嗟だと間違えるかも・・・」
ネズミ「やっぱりそんな感じだよね」
ウサギ「恥ずかしながら・・・」
ネズミ「道路を渡るときはしっかり右を見て次に左を見て、もう一度右を見るって大事だからね。
間違わないようにちゃんと練習しときなよ!」
ウサギ「僕はいつもケージの中に居るんだから、道路を渡ることって多分ないから・・」
ネズミ「何時檻の外に出るか分からないし、しっかり体に覚え込ませておいた方がいいと思うよ」
ウサギ「恐らくそれはないだろうけど、そうかも知れないね。
でもさ、さっきのいきなり手じゃなくなるのはやっぱりズルいんじゃない?」
ネズミ「話を戻したね!
あのさ、危険が一杯のこの世界はね、勝手なそういった思い込みが身を危険に晒すんだよ」
ウサギ「さっきも言ったけど、僕はこのケージの中に居るんだから大丈夫なんじゃない!?」
ネズミ「その慢心が危機意識を鈍らせるんだな」
ウサギ「あっ! ネズミくん、右に猫!」
ネズミ「ん!」
ウサギ「さすがに反応が早いね」
ネズミ「当たり前だよ。特に猫とカラスには敏感だからね。
でも心臓に良くないことは軽い気持ちで言わないでくれよ」
ウサギ「ゴメン」
ネズミ「この檻、大分古くなってきたね~
そのうち金網が破けて穴が開いちゃうかもしれないな」
ウサギ「だから?」
ネズミ「穴が開いちゃったら、そこから何が襲ってくるか分からないって言ってるんだ」
ウサギ「脅してる?」
ネズミ「これは脅しじゃない。
右と左だけじゃなくて上も下も正しく反応できないとね」
ウサギ「上も下も?」
ネズミ「穴は何処に開くか分からないからね~
せいぜい気を付けなよ。
じゃあね、バイバイ」
ウサギ「猫!で気を悪くしたのかな~
ケージの金網に穴が開くかもとか、僕を脅かすだけ脅して帰えっちゃった。
仕返しされちゃったみたい。
でもさっきの僕の物言いはやっぱり良く無かったよね。
反省しよう。
それにしても本当にこのケージの金網、古いよね。
ちょっと心配になってきちゃった!
真面目に訓練しようかな~
右、左、右、左、上、下、上、下、右、左・・・
あぁ、目が回る~
これ、ネズミくんの祟りだ~!」
この2人(?)のやり取りは脳トレにもなるそうです。
でもウサギくんと同じ失敗をしないように気を付けないと、ですね。




