第60話 おまけ
おまけは好きですか?
最近おまけをしてくれるお店は、見かけなくなりましたね。
ネズミ「やぁ、ウサギくん」
ウサギ「やぁ、ネズミくん。
何持ってるの?」
ネズミ「あぁ、これ!
これね~
何て言ったらいいんだろ!?」
ウサギ「ってことは、ちゃんとしたものじゃないってこと?」
ネズミ「そんないい方したら、これに失礼なんじゃない」
ウサギ「だってそれ、何だか分からないんでしょ」
ネズミ「いいや、分かってる」
ウサギ「・・・・(ネズミくんのこの物言いは絶対変だよ)」
ネズミ「これ、飴の入った箱にくっついてたんだよね」
ウサギ「??」
ネズミ「これはね、飴の《《おまけ》》なんだ」
ウサギ「おまけ!?
つまりプラスαってことだね」
ネズミ「おやおや、ウサギくんのくせに難しい言い方をするじゃん」
ウサギ「その『ウサギくんのくせに』って、酷い言い方だよね」
ネズミ「気が付いた?」
ウサギ「当たり前だよ」
ネズミ「何で飴を食べた人はこのおまけを捨てちゃったんだろ?」
ウサギ「(話をそらした!)」
ネズミ「俺はさ、どっちかって言えば、飴がおまけでこっちのおまけが本命みたいに考えちゃうけどね」
ウサギ「意味が分かんない」
ネズミ「だってこのおまけは凄く面白そうなおもちゃなんだよ」
ウサギ「どれどれ、見せて!」
ネズミ「見たい?」
ウサギ「見せたくないんなら、見せなくてもいいよ」
ネズミ「ひがんでる?」
ウサギ「別にひがんでなんか、いないもんね」
ネズミ「ウサギくんのそういうところが、可愛いんだよね」
ウサギ「・・・・(いつもこれだ!)」
ネズミ「ほら見て!
手や足が動かせるロボットなんだよ」
ウサギ「凄いね!
へ~
これがおまけなんだ~」
ネズミ「かっこいいだろ!」
ウサギ「そうだね」
ネズミ「今夜はこれでたっぷり遊べるよ」
ウサギ「ネズミくんはロボットが好きなんだね」
ネズミ「憧れかな」
ウサギ「確かに飴を買った人、何でこのおまけを捨てちゃったんだろう!?」
ネズミ「本当だよね。
おまけを馬鹿にしちゃ~、いけない!」
ウサギ「でも嫌なおまけって言うのもあるんじゃない!」
ネズミ「ほ~!?
例えば?」
ウサギ「この前太郎くんが担任の先生におまけの宿題を出されちゃったって言ってたよ」
ネズミ「おお、それは確かに子供たちにとっては嬉しくないとんでもないおまけだ!」
ウサギ「でしょ!」
ネズミ「昔はね、納豆とか味噌とかを量り売りをしててさ」
ウサギ「何、急に?」
ネズミ「子供がお使い頼まれて、それを買いに行くんだよ」
ウサギ「?
昔って、いつの話?」
ネズミ「そうね~
俺が生まれるずっと前かな~」
ウサギ「エッ! そんな昔のことなの」
ネズミ「あぁ。
それでね、子供がその代金を払うと『お手伝いができていい子だね。はい!これおまけ』って買ったものをお店の人がちょい足ししてくれることがよくあったんだってさ」
ウサギ「へ~
頑張った子供へのご褒美みたいなものなのかな」
ネズミ「そうなんだろうね」
ウサギ「そりゃ子供も嬉しいよね」
ネズミ「褒められた挙句におまけを貰って、子供は笑顔だよね」
ウサギ「でもネズミくん、何でそんな大昔の話を知ってるのさ?」
ネズミ「お邪魔した家で見たテレビドラマの一コマだよ」
ウサギ「やっぱり!
でもそういった遣り取りって、何だか心が温まるようなそんな感じがするよね」
ネズミ「今はパック詰めばかりで、こんな場面には出くわさないからね」
ウサギ「昔って長閑で、良かったんだね」
ネズミ「でも俺はやっぱり今の方がいいな!」
ウサギ「何で?」
ネズミ「そりゃ、今の方が喰いもんが美味いからね」
ウサギ「ん?
ネズミくんはその頃のものを食べたことはないでしょ!」
ネズミ「当たり前じゃん。
だから何?」
ウサギ「食べたことがないのなら、どっちが美味しいかなんて分からないんじゃない?」
ネズミ「ううっ!
ウサギくんのくせに俺を責めるんじゃないよ!」
ウサギ「僕のおまけの一言に怒って帰っちゃった。
言わない方がいい一言って、あるんだよね。
でもネズミくんは『ウサギくんのくせに』を今日は二回も言った。
だから今日は聞きたくないネズミくんのおまけの言葉に僕の方が怒っていいんだ!
僕は、怒ってるぞ~!!」
おまけの余分な一言を言って、気まずくなったことがあります。
特にお酒の席で。
この時は気を付けないと、と反省してます。




