第三話 愚痴
ネズミ「やぁ、ウサギくん」
ウサギ「やぁ、ネズミくん。
今日は何だか元気がなさそうだね。どうしたんだい?」
ネズミ「元気なんかあるわけないだろ」
ウサギ「ないだろって言ったって、理由を教えてもらわないとわけが分からないよ」
ネズミ「あのさ、出先でさ、ハムスター飼ってるところがあってさ、ものすごくかわいがられているんだよな。
それはそれでいいんだけど、俺を見つけた瞬間『きゃー!ネズミ』ってそれは大騒ぎになって、俺のこと箒を構えて追っかけまわすんだ」
ウサギ「それは仕方ないだろ。 君は人間に嫌われているんだから」
ネズミ「嫌なことをはっきり言うなぁ。
それにしたって俺とハムスターは同種なんだぜ。
あいつには尻尾がないだけであんなに可愛がられる。
俺には尻尾があるから嫌われる。
同じような顔つきをしてるのに・・
これって不合理だよな」
ウサギ「リスは尻尾があっても可愛がられているんじゃない」
ネズミ「あいつの尻尾にはふさふさの毛が生えているんだ。
俺の尻尾にはほとんど毛がない」
ウサギ「毛があるかないかでそんなに違うんかね」
ネズミ「大違いだろ。
そもそも禿げた奴より毛の多い奴の方がモテてるだろ」
ウサギ「禿げ!
それって差別用語じゃないの」
ネズミ「ウサギくん。君はいつからそんなすごい言葉がつかえるようになったんだい」
ウサギ「いつからって、そんな程度の言葉は常識だと思うけど」
ネズミ「随分お利口さんになったんだね。
たまげたよ。
そもそもここで君と二人だけの会話だから気にしなくても構わないんじゃないかい」
ウサギ「そうかもしれないけど・・・」
ネズミ「それにしても俺が君にいろいろなことを教えてあげてるから、ウサギくんも物知りになれているんだぜ。
俺に感謝してくれよ」
ウサギ「ありがとね。一応お礼を言っとくよ。」
ネズミ「一応って何だい。
感謝が足りないよ。 もう帰るわ」
ウサギ「それにしてもネズミくんは何を言いに来たんだろ。
最初はごちゃごちゃ愚痴ってたけど、最後は僕を怒って凄い勢いで帰っちゃった。
まぁ、元気になれたんならそれでいいか」