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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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水晶の中の少女

 最初に入った部屋と同じ。

 中は明かりが点いていなくて、暗い。

 そんな中でも、ただ一つだけ、青白く輝く物体があった。

 黒く平たい、四角い台の上に乗せられ、大きくて男性一人くらいは余裕で入りそうな細長い宝石。

 その中に人の姿がうっすらと見える。

 フィールズ博士が入り口すぐ側の明かりのスイッチを点けた。

 罠は無さそうだ。


 パチパチッ。


 静電気の弾ける音とともに、部屋全体がパッと明るくなった。

 同時に水晶の中の人影もはっきりと見えた。


「マヤ……!」


 水晶に閉じ込められたままのマヤは痛々しく、可哀想なほど傷ついていた。

 しかし、そんな中でも彼女は必死にナイフを握り、水晶からの脱出を図っていた。


「博士……」


 部屋の明かりが点いた事で、誰か来たのが分かったのだろう。

 彼女はレジスタンスの仲間を見てにっこり笑った。


「大丈夫か? ……って、怪我させられたんだな。痛いだろ。待ってな。今ここから出してやる」


 メドゥーの言葉に、マヤはコクリと頷く。

 メドゥーは拳を握り構えた。

 水晶を割る気なのだ。

 その時、


「殺ス」


 部屋全体に不気味な声が響き渡る。

 柱の影からDEX がスッと顔を見せた。

 その触手にはしっかりと圭一が握られている。


「け、圭一……」

「マヤ……」


 感動の二人の再会が、まさかこんな展開になるとは。

 DEX は博士達の方に近づく。


「良ク、ココマデ、来タ」

「……」

「オ前達、全員、私ニ刃向カウ、愚カ者。ミンナ、ココデ、殺ス。マズハ、オ前!」


 圭一が捕らえられている方と反対側の触手に、電気の塊の様な、丸い球状の物が現れた。

 バチバチと火花を走らせているそれは、フィールズ博士の方に向けられている。


「!!」

「博士っ!」


 博士に向けて放たれたその球と博士との間に、メドゥーが割って入った。


「メド!」

「くうっ」


 その球はフィールズ博士を庇ったメドゥーの体を直撃し、ジンとバリーの言葉も間に合わず、メドゥーはその場に倒れてしまう。


「メドゥーさん!」


 DEX の触手に握られたまま圭一が悲痛な声を上げる。

 ジンが怒った。

 DEX に向かいエネルギー砲を発射する。


「これでも食らうべ――っ!」


 ズバァァァン。


 触手ではなく、直接DEX の本体を狙った。

 圭一を捕らえている触手の力が一瞬緩む。

 その隙に圭一は逃げ出した。

 DEX の周辺から白い煙が立ち込めている。

 奴がどうなっているのか、まだ見えない。

 少しずつ煙が晴れて来た。

 みんなの視線が集まる中、DEX の姿が徐々に現れる。

 黒い金属の身体ボディ

 ピクッと動く。

 圭一達は息を飲んだ。


「ヨクモ、私ヲ攻撃シタナ。オマケニ少年ヲ逃ガシタ。モウ許サナイ」


 DEX はその身体に大きく穴が空いていたものの、気にする様子もなく動き始めた。


「オ前達、全員死ネ」


 無数の触手が圭一達に向かって伸びて来る。

 クローンは腰に装着しておいたビームサーベルを手にした。

 レジスタンスのメンバーほとんどは、腰にナイフをぶら下げているのだが、クローンと、後に控えているメドゥーの弟マグだけはビームサーベルである。

 マグはもともと兵士希望だったし、クローンは博士達がそう鍛えたから。


 ズサササササッ。


 素早い動きでクローンは触手を斬り裂く。

 バラバラと斬られた触手が床に散らばった。

 しかし、またしても触手が再生しようとする。


「サセマセン!」


 クローンはギュッと剣を構えると、飛び上がってDEX の体に空いた穴の中に突き刺した。

 中に赤く光る物体がある。

 それはDEX の核だった。

 核はビームサーベルで貫かれ、小さな音を立てて爆発した。


「ソノ核ガ触手ヲ再生スル機能ヲ果タシテイタノデスネ。デモ、モウ再生ハ出来マセン」

「オ、オノレ。オノレェッ!」


 DEX は悔しそうな声を上げた。

 クローンはそんなDEX に背を向け、マヤが入っている水晶を斬りつける。


 ビュッ。


 水晶にヒビが入り、大きく広がり割れた。


「マヤ!」


 クローンのおかげで脱出出来たマヤを、圭一が抱き締める。


「……圭一……」

「良かったぁ」


 博士達も集まって来ていた。

 メドゥーも治療のおかげで立ち上がる事が出来ている。

 アジトにあるドクターは移動出来ないので、携帯用のミニドクターを連れて来ていた。


「さ、マヤも怪我を視てもらいなさい」


 フィールズ博士の言葉に、マヤが頷く。

 DEX はじっとクローンを見ていた。

 黙ったまま。

 その視線が不気味に思えて、クローンが問いかける。


「DEX ?」


 返事は無い。

 ただその胴体の上の目は、確かに光っていた。

 もう一度聞いてみる。


「DEX 」


 一瞬、DEX の口が動いた。











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