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青い稲妻  作者: 北村美琴
第1部地球編
29/152

図書館で調べ物その2

 ガコン。


 図書館の駐輪場には、既に十台ほどの自転車が停まっていた。

 みんな朝早いな。

 まだ夏休み期間で学校が休みって事もある。

 宿題でもやりに来てるのかな。

 ちなみに、圭一の宿題の進み具合はというと、順調、とまではいかないが、まあ、いい感じに終わっている。

 後は苦手な数学の問題を解くだけだ。

 宿題といえば、自分の得意な課題を先にパパッと済ませてしまう者もいれば、後に残してじっくり考えるタイプの者もいる。

 圭一はどちらかというと苦手な課題を先に終わらせる後者の方だが、今回は宿題よりも興味を引かれる対象が現れた事で、いつもより少し遅れている状況なのだ。

 その事についてはマヤも感づいており、彼に対して済まないと思っている。

 だが圭一は、「これは君のせいじゃない。僕もテレビとか見てサボっていたから」と彼女を責める事はしなかった。

 要は彼自身の気持ちの問題でもあるのだ。

 地球とイリアでは、勉強の仕方も違うかもしれないから。

 マヤが手伝おうとしても、分からない事もあるだろう。

 だから彼女の責任だとは思っていなかった。

 格好つけている訳じゃない。

 彼女を助けたいと思っている気持ちは本物だから。

 もともと優しい性格であり、困っている人を放っておけないタイプ。

 面倒見のいい母親と良く似ている。

 何より、惚れてしまった女性だから。

 口に出すのは恥ずかしいけど。

 自動ドアを抜け、静かな館内に入る。

 受付の前を通り、座れる席を探した。

 あ、あそこの机が空いてる。

 って、あれ?

 圭一とマヤは、机の端に座っていた人物にびっくりした。


「な、中島君のおじさま」

「おじさん。今日は本を探しに?」

「やあ。圭一君にマヤちゃん。昨日はうちの高志がお世話になったね。ひさびさの海で、高志もはしゃいで嬉しそうに帰って来たよ。今日は疲れたみたいで家で休んでいる。君達は、デートかな」

「は、はい」

「そうか。わたしは絵の方が一段落したんでね、好きな本でも読もうと思って来たんだよ。せっかくのデートを、邪魔しちゃいけないね」

「い、いえ。僕らは僕らで端の方に居ますから」

「そう。悪いね」


 中島の父親はそう言って、半分ほどページがめくれた本に目を通し始める。

 画家らしく、美術関係の本だ。

 圭一とマヤは本棚に貼られている、この本棚にはこういうテーマの本がありますという案内の表示を参考にしながら、マヤの星の戦争を止めるヒントがありそうな本を探した。

 少し周りを見渡すと、みんな集中してそれぞれ夢中になっている。

 ソファーに腰掛け小説を読んでいる人。

 ヘッドホンをして映像コーナーで、15分から30分の映像を鑑賞している人。

 グループで集まり課題を皆で考える学生の姿も。

 それでも図書館だから、みんなあまり喋らず、静かに小声で話していた。

 マヤが圭一と向かい合わせに座る。

 地球の歴史の本とか、地球で起きた戦争の本。

 人と人とのコミュニケーションの本。

 怒りを沈める方法など、いろんなジャンルからヒントを探した。


「色々調べてみたけれど、これといって決定的なヒントって物は無いみたいね。ああ、難しいわ」

「そうだね」

「戦争の勝者と言えるのは、結局戦いで勝ち残った国みたいだし、やっぱり戦争を止めるには、潰し合うしかないのかな」

「それだとお互いが疲れてしまうよね」


 二人の会話を聞いていたのか、中島の父親が話に入って来た。


「お、おじさん」

「戦争を止める方法なんて、君達は難しい事を考えているね。いや圭一君、責めている訳じゃない。むしろ感心しているんだ。わたしが君達くらいの時は遊びに夢中で、そういう事を考える余裕が無かったからね」

「いや、おじさんの言っている事も分かります」

「分かるかい? でも君は戦争を止める方法に興味を持った。それは素晴らしい事だよ。いつの時代でもどの星でも、いさかいは生じる事があるからね」

「じゃあ、どうすれば……」

「おっと。ここで大声を出すのは得策じゃないね。カフェの方に行こう。そこなら議論出来るだろう」


 中島の父親は静かに、と口の前に人差し指を立て、笑いながら言った。

 建物の別フロアにはカフェがある。

 図書館の中は飲食禁止なので、そこで軽い食事を楽しんだり、話をしたりする人もいるのだ。

 それにカフェだけの利用もオッケー。

 図書館で借りた本をこのカフェで読む事も出来る。

 三人はカフェに移動した。

 コーヒーを頼む。

 中島の父親はマヤをチラッと見て言った。


「さて、聞かせてもらえないか? 君達が戦争を止める方法を探している理由を」

「え?」

「重いテーマだ。ただ興味を持ったにしては深過ぎる。それにわたしは気付いている。マヤちゃん、君が普通の人間じゃない事をね」

「……!!」


 マヤはびっくりして、口ごもった。










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