クエスト102:魔法使い①
ジュラシックワールドを見ながら書いていたらこんな時間に......
最後のラプトルのシーンは大好きです。やはり恐竜と人間の共存などできないのか...
そんな深い意味があるのだと勝手に解釈しています。
「僕は父にスキルカードを渡すのをやめてみます。父なら伝えずとも僕の反抗を受け取るでしょうから」
「研究を手伝っていた翡翠が言うのなら間違いはないだろう。無言の宣戦布告という訳だな」
「はい」
僕は周囲を見渡し、続けた。
「しかしそうなると、もちろん父は刺客を送り出してくるでしょう」
「うん、お父さんなら使えない駒は平気で捨てるからね!」
そうだ、父は周囲を自分の道具としか思っていない。
それは母さんも例外ではなかった。僕はそう聞いていた。
「能力が戦闘向きな僕と蒼也さんならまだしも紫苑や朱里さんは危険だと思います」
「そうね、わたしは『逃げ』に特化することでいままで記事を書いてきたもの」
「そこで僕はお二人にスキルカードをお渡しします」
僕は二人にカードを手渡した。父に渡すつもりだったものだけども、もう渡すことはないだろう。
「これは......筋力をあげるスキル?」
「私のは~あっ、前川のスキルかぁ」
なぜか嫌な顔をする紫苑はほっておいて僕は解説した。
「スキルカードには適性というものがあります。朱里さんは恐らく格闘術を習得されている為、紫苑はまあ、うん、遊ぶの大好きだからこのスキルが合うんじゃないかな」
「なんじゃそりゃ!」
雑な説明ではあるがこれが事実なのだから納得してほしい。
「最初は馴染まないとは思いますがすぐにスキルには慣れるとは思います。......どうかこの戦いで健闘を祈る為に、慣れてください」
「だが基本的にはこちらの『数の利』を活かして対応しよう。こちらも協力者の頼もしさは今回の戦いでわかったからな」
「もちろんです。互いに助けられるように連絡先も交換した方がいいでしょう」
しかしそれは逆もあるだろう。敵が複数の場合は厳しい戦いを想定しなければならない――
☆ ☆ ☆
既に一週間が経とうとしていた。しかし朱里さんからはスキル保有者の発見の連絡はない。
テロリスト事件のマスコミも減り、住みやすくなった我が家には紫苑も引っ越してきた。
「おにいちゃーん、起きて起きてーごはんだよー」
「うーん、わかった......」
僕達三兄妹は親の方針により自立性を高める為料理などの家事は全て習得している。
が、僕は朝が苦手でゲーセンのオープン時間まで寝ているため朝飯は長年食べていなかった。
「く~、眠いな」
「今日は現状報告の為に皆で集まるんでしょ! 早く早く!」
「うん、そうだったな」
そうか僕達はなんともなくとも蒼也さんが各地を回っているそうだ。主に裏側を。
だからそれに頼ってみよう。
「うん、上手くなったな紫苑。これなら良いお嫁さんになれるだろうね、はは」
「......誰のために練習してると思ってるの?」
「ん? 何か言ったか?」
「しーらない!」
? どうして紫苑は怒っているのだろうか。
そんな事を考えているとインターホンが鳴った。
「ん? こんな朝早くに誰だろ?」
「待て紫苑」
「! そうだね......」
僕が一人で行くなと目で訴えると彼女は賛同してくれたようだ。
「どなたですか?」
「善司博士に使いに出された。スキルカードの受け渡しが済んでいない」
「スキルカードは手に入らなかった、そう伝えたはずだが?」
僕がそう伝えると目の前の白衣の男は僕にあるものを差し出した。
「っ、これは」
「前川劫の腕だ、これを見てもスキルカードはないと言えるか?」
「いいや、その必要はない。――お前の記憶を紙にしてやるからな!!」
僕は目の前の男に掴みかかった。
「息子さん、その手を離すんだ」
「嫌だと言ったら?」
「......魔導書庫」
「ぐぁっ!!」
「お兄ちゃん!!」
突如男の周囲に風が吹いた、いやこれは突風だと言った方がいいだろう。
僕は家の中へと吹き飛ばされた。
「っこの!」
「紫苑!! 手を出すな!!」
「そうだ、博士の子供達。俺は博士の助手の一人、君達と同じ『進化したスキル』の持ち主だ」
「やはり父さんは通常のスキルだけでなく......」
「賢明な判断をしてくれ。君達は恵まれている存在だ、手荒な真似はしたくない」
(目の前の男は間違いなく『殺すため』のスキルの持ち主。僕達が敵うのか?)
このまま逃げることもできる、戦わない選択肢もできるのだ。
「お兄ちゃん......」
「......ああ」
そうだったな。
戦うって、約束したもんな。
「解除!!」
「っ小細工を!!」
玄関に貼り付けた紙が爆発する。
「水層!!」
「!!」
こいつ、風だけでなく水も......!!
「ボスすまない。少し手荒な真似をする」
『生きていれば問題はない、うちの息子が世話をかけてすまない』
「反抗期など誰にでも訪れるものだ」
この声! 父さんか。
あーあ、もう後戻りはできないな。
「こんな時に電話とか随分と余裕だね!」
「紫苑、迎撃戦に切り替えるぞ」
「わかってるよ!!」
紫苑はエアガンを、僕は紙を懐から取り出す。
スキルによる戦闘、しかしこちらが圧倒的に有利だろう。
「数でも地形でもこっちが勝っている、お前も諦めて帰ってくれないか?」
「そーだそーだ!!」
男は不適な笑みを浮かべると、
「灼熱塵」
ただその一言。
「ッ!!」
「きゃぁ!!」
僕が引き起こした爆発の10倍以上、全てを灼熱が巻き込んだ。
「......!!」
「うそ......」
こいつは、いま、てきかくに、
「ここら一帯、僕達以外を、焼き尽くしやがった......!!」
周囲には、何も無かった。
「ボスは君達は殺すなといった。投了しなければより一層被害者は増えるぞ?」
「お前.....!!」
「殺してしまわない様に気を付けなければならないな。魔道書庫に範囲はないからな」
謎多きスキル、グリモワールの解説は次回のお楽しみに!




