クエスト101:『正しさ』
いやー相変わらずドラクエは最高ですね!
僕は5→8→7→9=4→11の順にプレイしています!
「そうですね、僕の父、芥川善司は研究者でした。僕が生まれる以前は何を研究しているかは詳しくはわかりませんが、生物関連だと思われます」
「DNAとかそんなやつらしいよ!! 私もよくわからない!」
「声が大きいよ、紫苑」
紫苑が付け加える様に大きな声で言うものだから僕は注意しながらも続けた。もちろん兄さんが店舗を出るのを確認した上でだ。
二人は真剣な顔で僕の話を聞いてくれているようだ。
「しかし父はスキルというものを知り次第研究内容をスキルに変えてしまう、父はスキルを追い求めているうちにスキルに目覚めました」
「内容は見たスキルをコピーするスキル! 私もお兄ちゃんのスキルも使えちゃうんだよ!」
また余計なことを......。
「コピーとはまたまたご立派なスキルだな」
「この兄妹も十分人間離れしたスキルだとは思うわ」
話が脱線してしまった。僕はコホンと一息吐いた。
「話を続けます、父は研究を進める為にスキルのコピーを続けました。犯罪者にはならなかったとはいえ周囲の人が言うには狂気に溢れていたとも言われています」
「続きは私が話すよ!」
僕は自身の手を見ながら紫苑に続きを頼んだ。此処からは僕が曖昧な部分だ。
「お父さんはスキルが子孫によって引き継ぎができるか。その研究を再開したんだよ!」
「紫苑曰く父は当時のスキル保有者である研究員3名と関係を持ったそうです。僕達兄妹3人が異母兄妹なのはその為です」
「でも実際に私達を育ててくれたのは私のお母さんに当たる人、イギリス人なんだー。お兄ちゃん達のお母さんとは会ったことがないんだよ」
僕はありのままの事実を伝えた。この話をするのは紫苑以外に初めてだった。
「なるほど、つまり紫苑はともかく翡翠や先程の兄は実験の為に生まれさせられたのか」
「酷い話。貴方達3人がスキル保有者なのはその為ね......」
二人はやはり思い通りの反応だ。自身だって酷いと思ったことすらあるから無理はないだろう。
「ここで最初の話に戻ります。時は10年前、僕が9歳兄は11歳。紫苑は7歳の事です」
「お母さんはイギリスに帰国、お父さんも脚に不調を抱えて研究を続けられなくなったの」
「こうして父は僕に研究の続きを頼みました。内容は『スキルの採集』。僕の能力を利用した『スキルの紙化』です......蒼也さん」
僕は蒼也さんに頼んだ。
蒼也さんは僕の呼びかけに察し、懐から黒いビニール袋を取り出した。
「こんなもの何に使うんだ」
「ひっ......これは、手。なの?」
「そうです」
僕は驚く朱里さんを余所に切り取られた手に触れる。
手の中からは折り紙サイズの紙が取り出される。
「紫苑、これを警察に引き渡してくれ。お父さんの名前を出せば問題ない」
「あいあいさー!!」
紫苑は分身を作り出しファミレスの外へと走らせた。
「父は国に対し研究の成果を提出するため僕ら芥川家は警察などの一部の組織と関係をもっています」
「なるほど、昨日の件を丸く治めたりその『採集』を円滑に行う為には必要な関係というわけだな」
「その通りです、蒼也さんを庇っているのはさすがに秘密ですけどね」
僕はすこし小さな声で一言付け加えた。
「こうして僕は万が一犯罪者スキル保有者が出現した場合にそのスキルを奪う、組織間での通称は『紙隠し』の少年として暗躍していたわけです」
「なるほどねえ、だからお兄さんの色は特殊だったってわけね」
「戦闘慣れしているのにも納得がいったな」
「さっすがお兄ちゃんだね!」
急に褒められた僕は少し照れながらも続ける。
「こうして僕は褒賞金を利用しながら父にスキルを紙化、僕はスキルカードと呼んでいます。そのスキルカードを送り続けて現在に至ります」
「スキル保有者は犯罪者にならない。この事実を作りあげた陰の功労者ということね」
「それは警察の方々の協力あってですよ」
しかし僕は嬉しかった。感謝はされることはあってもそれは警察という組織から。
今まで父を含む一個人から褒められた事などなかったからだ。
「しかし僕は最近に違和感を覚えます、僕や紫苑のような人間の本質そのものを延長させたスキルの保有者ではなく遺伝を利用した強力なスキルの保有者が増えている事実に」
「それも犯罪者にもなっているからねー。お兄ちゃんも大変だ」
僕は深呼吸をした。紫苑は恐らく僕の言うことに気づいている。
だがしかし僕は告げるのだ。
「父が原因でしょう。確証はないですが父は『それだけのことができる力』を持っています」
「そうだろうねえ」
......二人の表情は硬いままだ。
「それでお前はどうしたい?」
「えっ?」
蒼也さんから、僕にとっては意外な不意打ちを受けた。
そしてそれは朱里さんからも続けられる。
「このまま犯罪者を捕まえ続ければ褒賞金も期待できるし、私も大学への推薦が楽になるわ」
「どれだけ強いスキル保有者が出てもお兄ちゃんなら余裕だしね!」
紫苑からもだ。
確かにそうだ、僕がゲーセン通いの生活を送れているのも、こうして二人に出会えたのも、父さんのおかげだ。
しかしそれで僕はいいのか? 例えば、本来『止めれるかもしれない』雨漏りをバケツで受け続ける。『確実な方法』を僕は選ぶのか?
「......僕は怠惰な男です。本来常人が努力して手に入れる物を、血筋だけで楽をして手に入れ続けています」
「......お兄ちゃん」
「紫苑、お前が兄さんに襲われそうになった時、僕は一瞬でも躊躇したんだ。兄さんは常に正しい人間だったから、僕と違って努力ができる人間だったから。
だからお前が犯されそうになったときも兄さんは正しいことをしているんじゃないか、そんなことまで考えていたんだ」
そうだ僕はそんな人間なんだ。
「それでもお兄ちゃんは私を助けてくれた!! 昔から何から何まで競いあって、でも負けて悔しそうにしていたお兄ちゃんが、初めて業兄さんに勝った!」
「あれは不意打ちだしマグレだよ。けれども、安心するお前の顔を見て。あぁ僕は正しいことをしたんだと納得できたよ」
「うん......」
僕は目を見開いて3人に告げる。
「父が『正しい』かなんて僕にはわからない、そもそも『正しくない』僕が言える立場じゃない。
けれどもいずれ『間違っている何か』を見過ごすなんて僕にはできない」
「僕は、父、いや。芥川善司と戦おうと思う」
言った。言ってしまった。決意としては紫苑を救った『あの時』と同じくらいだろう。
だがまだだ。まだ足りない。僕は頭を下げた。
「僕に力を貸してください。僕だけでは、父を止めることはできない」
沈黙を破ったのは紫苑からだった。
「私は戦うよ、もうお兄ちゃんに守られるだけの『紫苑』は嫌だ」
「正しいことを世に知らしめるのが記者、私が協力しないと思った?」
「俺は一度死んだ犯罪者だ。死ぬまで俺を使いこなせ、翡翠」
僕は泣きそうになるのをグッとこらえてありがとうございますと鼻声でいった。
あぁ、そうか僕には仲間ができたんだ。
僕が考えていることは少なくともこの3人は『正しい』って言ってくれたんだ。
この瞬間、この時間。僕は世界で最高の幸せ者だろう。
やっぱりこの世界は平等じゃないな。
共にいて『幸せ』と感じられる仲間に人は人生で何回出会うのだろうと思います。
僕は8/1~8/3までそんな仲間と旅行に行きます。
つまりは休載です。本当に申し訳ございません!
せっかくブクマ増えてきたのに!




