冒険の始まり
初投稿です。更新のペースは1週間に1度を目指して頑張ります。
「おーっ……空も青いし空気もうまい、まじで異世界に来たって感じがするな」
そんな感想を口にするのは六永貴志どこにでもいるアラサー男子
異世界と言っているが Change The world in action というVRゲームの世界の事を指している
このゲームを六が始める切っ掛けとなったのは半年前――
trrrrrrrtrrrrrr
「はいよー。」
「おう、久しぶりいきてるか?」
「なんかと生きてるぞ、暑すぎて明日現場で倒れてるかもしれんけどな」
「その調子やったら大丈夫そうやな、今日は生きとるし明日も生きとるやろー」
おどけた感じで電話をかけて来たのは十五年以上の付き合いになる友人の一人恭介だ。
「その感じやと恭介は元気そうやな、お前が電話してくるってことは飲み会かなんかか?」
「俺は相変わらずな感じなんわわかるやろー、飲み会もしたいねんけど今日はちゃうんやわ 笑学生 のメンツでまたゲームやろうぜって話になってな
その声掛けや」
「もう五年位一緒に遊んでないもんなーみんな元気なん?あいつらと久しぶりにバカやりたいな!あ、でもクソゲーは勘弁な」
笑学生ってのは色んな攻城戦や対人があるMMORPGで見てて痛くなるロールプレイや中二チックなことをやって掲示板でたまに話題に上がる程度の集団ではあるが
攻略面では結構真面目にレイド主催や攻略情報なんかは流してたりと、ゲームを純粋に楽しんでるグループだった。
「最近ろくゲーム記事とか見てる?VRMMOで攻城戦あり、対人ありの異世界で遊んでる感覚のゲームが出るらしいんだよ。それで久々に遊ぼうぜって話になっててさ
ろく以外は結構乗り気やからいけるんちゃうかなって話でその公開生放送が明日の二十時から始まるから一回ろくも見てから決めてくれよ
気にいると思うわ」
「俺VRやったことないしなぁ……」――――
久しぶりにゲームの事、リアルでの笑学生のやつらのこと等を2時間近く話した翌日生放送が始まる時間になった
軽快な音楽とともに画面に映っているのはゲーム雑誌の編集のふっくらした体系七三分けちょっと高い声の渡部さんだ
「ゲーマーの皆様こんばんわ、今回はVRゲーム特集ということで最近噂になっているVRMMO Change The world in action プロデューサーの沢辺さんに来ていただきました
沢口さん忙しい中オファーに答えてもらってありがとうございます。」
「いえいえーこちらこそぉ呼んでいただいてありがとうございますぅ紹介頂いた沢口ですぅみなさん1時間程おつきあいおねがいしまぁす」
そんな気の抜けた声で紹介された沢口さん様々なジャンルのゲームを作った名プロデューサー肩口より少し長め銀髪、少し垂れた目の右側には二つの泣きぼくろそんな彼女が
ゲームの内容についてホワイトボードと画面切り替えによるムービーを流しながら説明が始まった――
説明の内容をきいてる限りリアルに近い環境で尚且つ本来NPCといった固定のテキストを読むだけの存在が意志を持っているそして感情やプレイヤーが起こした行動等によってクエスト
等が発生する、尚クエストについては元来のゲームのように各組合に行けばボードクエストは存在するらしい。
スキルに関しては行動によって自動取得出来るものと、スキルポイントを使ってスキルを覚えるものの2パターン
初期段階で習得出来るスキルはそう多くないらしい戦闘に関するもの生産に関するもの後は採集に関するものであるがその情報は開示しないとのこと
種族に関してはヒューマン、ハーフエルフ、ハーフオーク、ハーフビースト、ハーフポックル、ハーフドワーフ等すべてにハーフがつくとのことで純潔はヒューマンのみ
職業については十レベルから解放そこから様々な職に派生していく詳細はこれまた開示は無し――
ここまでの生放送のコメントは期待感からなのかもっと情報公開してほしいという意見から沢口さんの弾幕まで様々だ
「出来るだけ見て触って感じて行動を起こして欲しいのでぇ、開示はしませぇん」
あいかわらず気の抜けた声だが、マスクデータを解析していくのもいいんじゃないかなと個人的には思っていたりもする
「で、最後に攻城戦の話なんですがぁこれはサービス開始三か月をめどに解禁しようかなぁとおもいますぅ。対人はコロシアムかぁPvP申請からできるよぉ」
そうこうしてる間に1時間が過ぎ、生放送も終わりに近づいたころ――
trrrrrtrrrrr
「現在おかけになった番号は使われておりまs」
「かけてきてそれはないだろうに、そろそろかかってくると思ってたわ」
「ちょっとは乗って来いよーほんまに関西人か?」
機械音に似せる気もなくいつもの恭介の声でかかってくるのだから何がしたいのか相変わらず過ぎるが関西人どうのこうののレベルじゃないだろと思いながら
「えせ関西人に言われたないわ、俺は生まれも育ちも関西だがお前は関東やろうがああああああああ」
「まぁまぁええがなええがな、それよりもかかってくると思ったってことは見てたんやな、どうする?マスクデータ多いけどやる気になった?」
「触ってみよかなぁと思うけど長くやれるかはわからんなぁ」
「最初だけでも笑学生復活できるかもな!まだ半年あるしなんか情報公開されると思うし楽しみにしとこうぜ」
「せやな」――
無事全員購入出来たようで開始1週間前にギアが届いた初期セットアップをしいつでも開始当日すぐに起動出来る準備はしておいた
恭介を初め笑学生のメンツともKineで連絡をとって開始直後ではなく転職したあたりで落ち合おうかという流れになったのでそれまでみなアバタ―やキャラ名は伏せて
置くことになった、正直楽しみだ、久しぶりにあいつらと遊べるというのだから……
俺はあれから一切の情報を調べたりしていない、理由はそのほうが楽しめそうだからというだけだけど。
事前情報があると先入観などで思う様に遊べないんじゃないかという事もある調べて無く後悔することもあるだろうけどそれも含めてゲームだと思っている――
そしてサービス開始が始まった。
ヘッドギアを装備していざ開始だ!昨日の夜わくわくしすぎて寝つきが悪かった。
小学生の遠足前の晩かよ成長してねーなもう三十路だぞと苦笑いしながら昨晩の事を思い出しながらスタートボタンを押した――
七色の光が駆け抜けていきやがて真っ白な空間に出る。
『こんにちは、初めましてサポートナビゲーターのコンです、よろしくお願いします』
腰辺りまである白い髪がふわっと広がり白い空間の床であろうところに降り立ちながら挨拶があった
可愛らしい狐耳の女の子の姿をしているどこかぎこちない態度でこちらをみて話を続けた
『Change The world in action の世界へようこそ!早速ですがキャラクター作成に映らせてもらってもいいでふゅか?』
あ、噛んだ、頑張っておねーさんやってる小学生のようで少し笑ってしまった。
コンは少し顔を赤くしながら
『Change The world in action の世界へようこそ!早速ですがキャラクター作成に映らせてもらってもいいですか?』
言い直したところで吹き出してしまった、悪気はないけど一番最初に出てきたサポートキャラが抜けてると言うのは反則だ
「ぶっ、あ、すまん悪気はないんだ許してくれ、ろくだよろしくな」
『すいません緊張してしまいまして……えっとプレイヤーネームは ろく 様ですね登録させて頂きます』
『次に種族を選んで頂きたいのですが、種族の説明は必要ですか?』
「いやいいよ、ヒューマンで」
『畏まりました、ヒューマンですね――
そんなやりとりをしながら容姿を選択していく黒髪で軽いウェーブのかかった短髪身長は百七十リアルと変わらない感じにし顔は少しいじった
もちろん少しでもイケメンになる様に、二十代前半くらいの頃の自分を三割増しにしたような顔が出来上がった。
上出来だろう筋肉も少し上乗せしておいたのは秘密だ。
『凄くかっこいいと思います!次に初期スキルの選択になります、スキルの説明は必要ですか?』
「社交辞令でもサンキュ、スキルの説明是非頼む、結構数が多いのかな?事前に何も見てないからよくわかってなくて」
『コホン、ではスキルの説明をさせて頂きます!まず大きく分けて戦闘スキル、生産スキル、採集スキルの三つがあります。この三つ合計で五個まで初期スキルを選択できます。
以降はスキルポイントを使用してスキルを習得してレベルアップさせていくことになります。
戦闘スキルについてですがスキルのレベル上昇や行動によりアーツが覚えられます、このアーツはMP、ST、HPなどを消費することと引き換えに大威力の技を使用することが出来ます。
またアーツの不発時や、フィニッシュ時に硬直が発生するので注意が必要です。』
嬉々として説明しているコンはどこか見て居て微笑ましかったりする時たま身振り手振りでうまく伝えてくれている
「ありがと、戦闘スキルはなんとなくわかった、現状で選べる戦闘スキル五つでもいいのかな?生産や採取は今回やるつもりがないんだよ」
『……っ、可能です……よ』
あれ、なんかまずいこと聞いたのかな、ちょっと頬が膨らんでる気がする…可愛らしいけどちょっと悪いなきっと説明するのが楽しかったんだろうな……
「じゃあ何が選択できるか教えてもらってもいい?説明してくれると助かるなぁ……」
ちょっとわざとらしく困ったオーラをまとわせて言ってみるとコンの表情がパっと明るくなった
『し、仕事ですからね!説明させて頂きます!』
子供をだますみたいで心苦しいが本人が嬉しそうだからいいか――
『……とまぁこんな所です!』
二十分程戦闘スキルについてコンが丁寧に説明してくれた。今回は格闘メインでいこうかなっと……
「うん、こうするよコン」
【打撃】【蹴り】【身体能力強化】【スタミナ強化】【回避】
選んだスキルはこの五つだそれに行動によって自動習得もするならこれでいいだろう。職業に格闘家とかモンクとかそのへんがきっとあるだろう
『それでは有効化します』
光のオーラみたいなものが五回足元から起こったきっとこれが有効化したときのエフェクトなんだろう
「コンありがとう、油揚げがあったら三枚くらいあげたいんだけどな…ってコン油揚げとか食べるの?」
『お仕事ですからっ!あぶらあげってなんですか?ご飯は食べますよ?おいしいんですかっ』
「俺の知ってる狐って油揚げ好きだって聞いたことあるからちょっと聞いてみただけ!ここで作れて再開することがあればプレゼントするよ」
頭をなでながらそう言ったら嬉しそうに尻尾ふりふりして喜んでた、近所の子供かよと妙にリアルに作り込まれてるなぁと感心していた
『これでキャラクター作成は完了です!それとSEEDがこれになります、ネックレスか腕輪にもできますがどうしますか?』
ん?SEEDってなに?親指大位の種?みたいなものがコンの掌に置かれている
「ごめん、コンその…SEEDってのはなんだろう?」
『あ、はいこれはですね、プレイヤーの行動や経験によって様々なものに変化するものです
固有のものですから同じものは生まれてこないみたいです、プレイヤー一人一人の個性的なものになると聞いていますよ!
身に着けて行動しているだけで変化するのでネックレスか腕輪他にも袋にいれてお渡しすることもできます!』
また嬉しそうに説明してくれた、動き回るだろうから無くさないようにネックレスにしてもらおうかな、腕輪だと戦闘中に傷つきそうだし
「じゃあネックレスにしてもらってもいい?」
『かしこまりました!それではお渡しします!何が出てくるか楽しみですね!』
コンがSEEDをかるく握ると手が一瞬光に包まれ手を開くと黒いひもに繋がれたSEEDがでてきた。
「ありがと、何が出てくるか楽しみに持っておくよ」
『はいっ!それでは最後に武器の選択ですが何になさいますか?』
「何があるか教えてもらってもいいかな?あ、パンチとかキックに使えるのがあるといいんだけど、ある?」
えーっと…といいながらいくつか候補を探してくれてるようだ、顎に人差し指を当てて探してくれてる姿が可愛らしい
『ナックル、レガースとがあります』
それをお願いと頼むとわかりましたーっとまた手が光り指ぬき手袋に石が張り付いているものと皮と皮の間に薄い木の様なものが挟まってるレガース
が出てきて、それを渡された
「ありがとう、助かるよ」といいながら早速装備した
『キャラクター作成と初期装備、SEEDの受け渡しが完了です』
心なしか残念そうな表情をしているからきっとここでお別れになるんだろうな
「ありがとう、コンが説明してくれて良かったよ、また会えると良いな覚えといてくれよ?」
なんて会話をしつつもコンが『それでは Change The world in action をお楽しみください』
という言葉とともに白い光に包まれて視界がひらけた。
「おーっ……空も青いし空気もうまい、まじで異世界に来たって感じがするな」