2炎天下と馬鹿
不幸な事になった男の子と素直じゃない友達の、最後の会話。
みん、みん
バチバチ、バチバチ
「・・・ん、んー・・・・ん?」
バチバチ、バチバチ
みーんみん、みーんみん
じりじり、じりじり
「・・・・、暑いー」
「おいテメェ他に言うことあんだろボケなす」
「おはよう」
「ちげぇよ馬鹿」
「何でいるのお前」
「惚けんな」
「いやまじで思い出せん」
「テメェが遊びに誘ったんだろが」
「おぉ、そうだ。じゃあ、俺の頬っぺたがジンジンしてんのは何で?」
「俺が叩きまくったから」
「まじか。何か蝉の声と一緒にバチバチいってたのはそれか」
「起きねぇからだろ」
「うん。てゆーかコレどんな状況?俺に何があったの?」
「・・・いつもみたいに馬鹿やったんだよ阿呆」
「あーそれで道端で眠りに落ちていたんですか。成る程納得」
「すんな馬鹿」
「馬鹿だけど、いまの自分がどれだけ通行の邪魔かはよく分かるよ。てわけで起きる」
「起きんな」
「変質者のままでいろというのか」
「うっせぇ、いいからそのまま何処も動かすな」
「なんなんだよ?・・・・あ」
「見んな馬鹿ッ!」
みんみん、じわじわ
「あー・・・・」
「この阿呆・・・」
「ぶ、っははは」
「なにウケてんだよキチガイ」
「いや正常っすよ。なにコレ最高笑える」
「こっちは最悪だよ馬鹿野郎」
「はは、そっか、そうなってたんか、そりゃ最悪だなこんなん。ひははは」
「思考回路なおせ」
「・・・なおんねぇよなー、絶対」
「・・・」
「何でこういう事になったんだろうね」
「・・・」
「居眠りしてたか、パトカーと追いかけっこでもしてたか」
「・・・」
「どっちにしろ迷惑だけどさー」
「・・・」
「お前は大丈夫だった?」
「パシらされてたお陰でな」
「あ、ポカリあった?」
「ん」
「なにそれ」
「アクエリ」
「違うじゃん」
「どっちもスポーツ飲料だろーが」
「そういう意味じゃないのだよ」
「黙って飲め」
「そういや俺以外にもいるの?」
「周り見りゃ分かんだろ」
「首が動かなくなっちゃいましてね・・・」
「こんだけ騒がしけりゃ分かんだろ」
「よく聞こえない。お前の声も何かボソボソしてるし」
「 」
「今なんつった?」
「何か眠ぃわ」
「寝んな」
「無理」
「ふざけんな。俺が迷惑だろうが」
「無理」
「おい馬鹿」
「・・・」
「阿呆」
「・・・」
「ドジボケ間抜け親不孝者」
「もう少しだけ頑張れよ頼むから」
「・・・・ふふん」
「オイてめぇなに笑ってんだコラ」
「いや、デレたなと」
「殺すぞ」
「・・・うん、そっちのが良いな」
「・・・嫌だよ馬鹿」
「俺もやだよ」
「やっぱ殺す」
「だって意味なくね?」
「・・・」
「おーい?・・・・寝ないよ」
「・・・あっそ」
「まだな」
「ざけんな」
「暑いなー」
「夏だからだ馬鹿」
「喉乾くな」
「素直にアクエリ飲め馬鹿」
「お前今日厄日だな」
「テメェの方だ馬鹿」
「コンクリで背中が痛い」
「当たり前だ馬鹿」
「でも足は痛くない」
「・・・そうか」
「ごめんな」
「何が」
「ごめんな」
「だから、」
「ごめんな」
「鬱陶しいわ。黙っとけ」
「黙ったら死ぬ」
「言葉を選べ」
「・・・ごめんな」
「眠いんだけど」
「知らねえよ」
「暑いしさ」
「俺もだっつーの」
「仕方ないよな」
「はぁ?」
「だってどうしようもないだろ、これ」
「・・・寝んの?」
「良い?」
「勝手にすれば」
「もう起こさなくていいからな」
「しねぇよ」
「あとなー」
「寝ろよ」
「起こしてくれて、ありがとな」
「・・・」
「おやすみ」
『―――車が通ります、退いてください。救急――』
「遅ぇんだよ馬鹿」
――――――
『あ、おはよう。久しぶり。
ねぇあのさ、うちの学部、生徒減ったの知ってる?まあ1人なんだけど。
違うって、ほら夏休み中に○○で大事故あったじゃん?
そうそう暴走車が信号無視って渋滞に突っ込んだやつ。
通行人も沢山巻き込まれたって。
その中にいたらしいんだ。
先生達が話してたんだけど、酷かったらしいよ。
片足が千切れてて・・・。
・・・うん、無理だったよ。
一緒にいた人が必死で止血してたみたいだけど。
救急車も来るの遅れて。
帰省ラッシュと事故の被害のせいで。
え?ううん、どんな子かは知らないけど。
多分話したことないし。
でも、きっと苦しかったよね。
足が無くなって、しかも炎天下に長い間放置されたんだから。
うん、嫌な死に方だよね絶対。
実際どうだったかは知らないけど』
(馬鹿なら最期まで馬鹿でした)
END




