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アンノウン・バイヤー  作者: 邪神ネコザメ
一章 酸霧の巨木林
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3話 本業開始

「...あの、グールさんもここで働いてるんですよね?」


「そ〜だよ〜?ボクの名前は玉髄 滅。ヨロシクね?」


「やっぱり人間とかって食べてたり...?」


カーラは恐る恐る問いかけた。


「当たり前じゃん!本当は人肉なんて食べなくてもいいんだけどね。」


「あれっ、そうなんですか?じゃあなんでわざわざ人間なんて...」 


 滅は少し考える素振りをすると、悩みながらも結論を出した。


「正々堂々人を殺せるってことを主張するためとか?」


「へ、へぇ...」


グールへの恐怖心は変わらなかった。


 カーラが店に来てから3日が経った。ケントロヴェラヴの搬入は完了し、明後日には買い手が取りに来る予定だ。


 ここ数日は依頼が来ていないらしく、カーラはまだこの店の全容を掴みきれていない様子だ。


「案外暇な仕事ですね...」


「ま、ボク達の本業は、小動物の世話じゃないからね」


「世話じゃない...?そう言えばここに来たとき、モンスターを捕獲するって...」



 すると突然、店のドアが激しく開いた。


 「モンスターを売る店ってのは、ここで合ってるか?」


 引き裂かれた軍帽を被った大男が、店の入口に佇んでいた。血に彩られた迷彩服には小さなチバエが群がっている。


 リディスは大男の前へと向かった。


「あぁ、そうだ。その衣装から見るに、アンタ、リネス軍の関係者か。さて、いったいどんなモンスターをご所望で?」


「毒のある奴が欲しいんだ。毒矢に使える、解毒が出来ない厄介な毒。それでいて扱いやすければ助かるが...。そんなモンスターは、この店に居ないか?」


 リディスは少し考えると、店の隅に立て掛けてあるカレンダーを確認した。


「いいだろう。解毒困難な猛毒種。この時期なら既に渡りが終わってるはずだ。新人の初仕事にも丁度良いしな」


 カーラは突然の発言に右往左往する。


「初仕事なんですよ!?私死ぬんじゃないんですか?」


「大丈夫だよ。ボクは死なないから」


「私の話をしてるんですよ!」


 リディスは自身の後ろでの小さな喧騒を遮り、大男に声をかけた。


「1週間以内に1頭を捕獲して店で引き渡す。それで文句はないか?」


「分かった。1週間後だな」


 大男は珍妙な生体を眺めながら、店を後にした。




「さて、捕獲依頼だな。カーラ、これがウチの本業だ」


「本業なのはいいんですけど、最初から飛ばしすぎじゃないですかね?私普通に殺されるんじゃないかって...」


 不安を露わにする青ざめたカーラに、リディスは慰めるように言った。


「安心しろ。人害度数は3プラスって所だ。大したモンスターじゃない。あとお前を連れてきた理由はもっと捕獲が難しい奴を狙うためだからな。この程度で死なれたらこの先やってけないぞ」


「3プラスって死人が出てもおかしくないってレベルですよね!?」


「あくまでも可能性の話だ。基本的に温厚だからな。それに策くらい練ってから捕獲する」


「えぇ...」


 カーラの不安は収まらない。




 都会でモンスターなんて、噂とか、歴史とか。その程度の事しか知られてない。


 アンフィニクト、オニトビキ...ファルカス?知っているのはその程度で、どれも数百人の死者を出してるとか。


 そんなモンスターを温厚って...人を殺せる害獣を?私には、その感覚がまだ分からない...




「リディス〜、毒持ちって何狙ってるの?」


「パラボアワイバーンだ。奴に有効な解毒剤があるのは、生態ギルド本部だけ。それにリネスの方には飛んでこない種だ。素人が毒を特定できるはずがない」


「ナルホド〜。まぁ楽に終わりそうだしイイかな。新人ちゃんもそんなビビらないでさぁ〜」


 度重なる危険ではないと言う主張に、カーラの不安はようやく折れた。


 「まぁ、頑張ります...」

人害度数...討伐ギルドが指定したモンスターの危険性を表す数値。0〜10の数と必要に応じて±をつけて表される。とは言え、実際に9、10が用いられることは殆どない。


度数一覧

0 無害

1 場合によっては危険

2 負傷者の発生

3 複数の負傷者・死者の発生

4 集落レベルの負傷者・死者の発生

5 市街地レベルの負傷者・死者の発生

6 小規模都市レベルでの負傷者・死者の発生

7 中規模都市レベルでの負傷者・死者の発生

8 大規模都市レベルでの負傷者・死者の発生

9 国家レベルでの負傷者・死者の発生

10 大陸レベルでの負傷者・死者の発生

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