表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セキトリ!〜満員電車 Sit or Dead〜  作者: 伊波氷筍
許さない!座ると触るは大違い
22/52

闇の男 B

「クソがっ、あのガキ・・・」


 闇に包まれた男が小さく吐き捨てた。


 じゃあ、作戦を変えないとな・・・


 その男は考える。


 どうすればもっと混んでる電車に、満員電車に・・・




 シュッとした見た目の若いサラリーマンが駅のベンチに座っている。

 走り出す電車を鋭い目つきで睨みつけていた。


「どうして満員電車に乗りたいの?」

 白いワンピースを着た少女がそのサラリーマンに話しかけた。


「あっ?」

 男は声を荒げて睨みつける。


「新社会人・・・都会に染まっていない・・・大人しそう・・・」

 少女が男を見つめながらブツブツと笑顔で呟く。


「おいっ・・・」

 戸惑うサラリーマン。


「先週は邪魔がいた・・・うざい・・・でもコイツもいいな・・・11号車はダメだ・・・」

 少女が笑顔のまま続ける。


「おい、なんなんだテメェ・・・どうして・・・バレてる・・・?」

 男は立ち上がる。

 そしてその少女から逃げだすようにあとずさる。


「ああ、そっちはダメ。電車が来る、危ないわ・・・触るんなら乗らないと」

 少女が笑顔で言った。


 その言葉を聞いた瞬間、その男は血相を変えてホームの中央にある階段へと走り出した。


 幸運なことにこの階段を使っている客はおらず、一気に駆け下りて逃げることができそうだ。


「やばい、なんなんだ、アイツ・・・」

 男は階段を降りる前にその少女を確認しようと振り返った。


「・・・あっ」

 足を踏み外す。



 この階段は長く、傾斜が大きい。

 この階段を上がってくる客はいない。 



 何度も何度も激しく階段に打ちつけられ、一度も止まることなく下の階にたどり着いた。



 その男の人生はここで終わった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ