第47話 余計なことを~~~~……
こちらはカクヨムに掲載された修正版です。
原文ともによろしくおねがいします(*^^*)
「え~~それでは弥生様、一言お願いしますにゃん」「ワフ」「みゃあ」
(ええ~~~~~~~~~~……)
うやうやしく跪き、皆に向けて乾杯の挨拶を求めてくるルル、レレ、ロロ。
弥生の前にはすっかり焼き上がったヒュドラー肉とワインが並べられ、その向こうにはきれいに整列した亜人たちが並んでいた。
亜人たちのほとんどは緊張し、あるいは羨望の眼差しで弥生を見つめている。
「……ああ龍神様……なんてお美しいお姿みゃあ……」
「あのヒュドラーを一撃で……我々とは次元が違うにゃあ」
「ばか、龍神様と僕たち下級亜人を比べるな。失礼だワフ」
「彭侯先生と、どういうお関係なのかしら。気になるにゃうん」
「ん~~~~ごほんっ!! ごほんごほんにゃあっ!!」
「「「びくっ」」」
一部お行儀が悪い者がいるが、ルルが睨みをきかせ大人しくさせた。
彭侯はにこやかに微笑んで、弥生に手を差し伸べてきた。
「………………………………」
その手を嫌々つかみながら立ち上がる弥生。
それだけで亜人たちから歓声が上がる。
(……ううぅぅぅ。こうなるのが嫌だから来たくなかったんだよね……)
ヒュドラーを倒したあと、ホントはさっさと帰りたかった。
でも負傷者がいたし、彭侯の能力が必要だったので帰るわけにはいかなかった。
で、そのままなし崩しに『神降臨の宴』を開かれてしまったわけである。
「では、弥生様、お言葉をお願いいたします」
誇らしげに頭をさげる彭侯。
彼的には主人が崇められるのは大変満足なようである。
まぁ……亜人の面倒を見ると決めたのだ。
どのみちこういう場面は来るだろうとは思っていた。
なので嫌々ながらも腹をくくる。
「ごほん。え~~~~~~~~……」
じ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。
「う……」
一言発すると、みなの視線がより熱く全身に刺さってくる。
当然の事なのだろうが、どうにもコレに慣れない弥生。
縄文時代とか、神の使者として崇められ、よくこんな挨拶をやらされていた。
平安時代とかも預言者としてやはり儀式事に引っ張り回されていた。
その度なんやかんやそれらしいことを言おうと無理して、結果、自分でも何を言っているのかわからない珍スピーチになり、首をかしげられた。
しかも全力背伸びして厳かなキャラを演じさせられたりしたものだから、人の前ではそれを通さねばならず、次第に誰かに合うのが面倒くさくなってしまった。
だから昭和の時代では庶民のフリをして街に溶け込んでいたのだ。
彭侯は不満そうにしていたが、弥生的にはソッチのほうがよほど性分に合う。
自分のことを神様だと頼ってくれる気持ちは嫌ではないが、それらしい振る舞いは申し訳ないが期待しないでほしい。
そんなつもりで話し始める。
「まぁ……その……え~~~~っと、五龍の一つ、黄龍をやらせていただいております弥生と申します。亜人の皆様どうも初めまして」
――――ペコ。
困ったような、やや引きつった笑いで頭を下げた弥生。
その姿に亜人たちも彭侯も度肝を抜かれ、目と口を全開にして放心してしまった。
「この度は災難でしたが、不幸中の幸いか、皆さん怪我だけですんで良かったと思います。魔獣の肉はどうかみんなで分けて――――」
「や、や、や、弥生様っ!!??」
「え!? なになになになに????」
スピーチの途中で割り込んでくる彭侯。
その動揺した様子に、、またなにかやらかしてしまったのかとキョドる。
「いえ……その、龍神様ともあろうお方がそんな簡単に頭を下げられては……」
――――ザザザザザザザザザザザザザザザッ!!!!
言わんこっちゃない、とばかりに深い溜め息をつく。
亜人たちは皆、震え上がり恐縮し、地面に埋まってしまうほど頭を擦り付けた!!
「え?え?え? だからなになになに???」
「も、も、も、もったいないにゃあ!! もったいないにゃあっ!!」
「わ、わ、我らのような下級亜人に、りゅりゅりゅ、龍神様が頭をお下げになられるなんて!!」
「ああ~~~~この罰当たりな私たちにどうが天罰をお与えくださいませみゃあ~~~~~~~~~~~~~!!!!」
「ナンマンダブ、ナンマンダブ、ナンマンダブ、ナンマンダブ、ナンマンダブ」
「…………………こうなるのですよ」
「ええ~~~~~~~~~~……」
遥か雲の上の存在にまさか礼節を持って接っされるなど夢にも思っていなかった亜人たちは、感動の気持ちを突き抜け恐怖に震え上がってしまっていた。
自分たちのような下等な存在が神に頭を下げさせてしまったのだ。
これ以上ない不敬に亜人たちはパニックを起こし、なかには舌を噛んで死んでしまおうとする者も出てしまった。
「だから、私そんなんじゃないからっ!!!!」
なんとか亜人たちをなだめた弥生。
どうやらこの騒ぎの原因は彭侯にもあったようで、彼はこの数週間のあいだ、弥生に関する様々な教育を亜人たちに教え込んでいた。
やれ弥生様は地上最強だとか、世界の創造主だとか、全知全能の神だとか。
「……嘘は言っておりません」
「言ってるよっ!!」
さすがに怒ってしまう弥生。
いままで時代時代で必要以上に恐れられたのも、全部この子が色々話を盛ったせいなのだ。
今回も危うくその泥沼にハメられるところだった。
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