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第124話 商談

こちらはカクヨムに掲載された修正版です。

原文ともによろしくおねがいします(*^^*)

「冷やかしだったらお断りだよ、帰んな帰んな」

「冷やかしではありません。私は真面目に話していますよ?」


 馬鹿げた注文にからかわれていると思い、不機嫌になる店主。

 シッシと彭侯ほうこうたちを追い返そうとする。


「どこの世界に生のヒロポを、しかもそんな量欲しがるやつがいるってんだい。冗談じゃないよ。これは干して薬にするしか使い道のない草だよ。あんた薬屋でも開くつもりなのかい?」

「いえいえ、ちょっとお酒を作ろうと思いまして」

「酒?? こんなもので酒なんかできるわけないだろう?? 酒って言えば蜂蜜か葡萄から作るって決まってんだよ」

「ははぁ……なるほど……」


 その言葉で怨怒霊オンドレの文化水準を大体理解した。

 オイスターソースが出回っているようなので、わりと高度なのかと思っていたが、そうでもないらしい。


「なにがナルホドなんだよ。とにかく本気だったとしてもそんな注文は受けられないね。それだけの量、運搬するだけで大手間だよ」

「あら、お金ならいくらでも払うわよ?」


 それまで黙って店内を見て回っていた弥生がいたずらっぽい笑顔を浮かべた。

 そして手の中に金塊を出現させて店主に渡す。


「どう? 足りなければもっともっと出せるけど?」

「お……おぉう……いや、でもよ……」


 ズシリと重い金塊に生唾を飲み込む店主。

 その価値はヒロポ10トンなどとうに越している。

 しかしそれでも店主の顔は曇ったままだった。


「なに? まだご不満?」

「……不満っていうかさ。まぁあんたらには関係ない話しだろうけど、俺あんまり本気で商売する気無いんだよな……」

「おおう、それはそれは……(俺っ娘なんだ?)」


 怠け癖のある弥生。

 その一言で店主の特性をだいたい理解した。

(こいつ……私と同類かもしれない……ゴクリ……)


「なんつーか。最低限食べていけばいいっつーか。……そもそも上級に生まれた時点で働かないでも食っていけるしな。他の連中はもっともっと贅沢がしたいってんで下級に働かせてるみたいだけどな……」


「うんうん、わかるわかる。べつにさ、必要以上のお金っていらないよね。そんなものよりも自由に遊べる時間の方が大事っていうかさ」

「そうそうそれそれ!! なんだあんた話しわかるやつだな!!」


「当然。時間とお金を同等に考えているヤツの気がしれないわね。時間のほうが遥かに重要だっちゅ~の。余分な仕事なんか死んでもしたくないっちゅ~~~~の」

「…………弥生様はもう何億万年も遊んでこられたので、少しは働かれてもバチは当たらないと思いますよ?」

「そこ、黙りなさい」


 余計なことをいう彭侯にダメダメチョップをポフる弥生。

 怠惰たいだの時間はいくらあっても困らないのだ(断言)


「ま、そういうわけなんでよ。俺んとって大きな仕事はありがたいどころか面倒くさいだけなんだよな」

「……ふむ、となると困りましたね」


 弥生のおかげで悲しきかな、この手の言い分にも理解ある彭侯。

 そうなると、


「でしたら、我々が直接仕入れに行かねばなりませんが……」

「え~~~~……それどこにあるの」

「ウチは東北地方から海路で仕入れているぜ?」

「トウホク、ムリ、サムイ、イキタクナイ」


 かぜんやる気を無くす弥生。

 せめて南ならあったかくていいのだが(嫌だが)北は寒くて絶対嫌だ。


「ワフ。ご命令とあらば僕が行きますワフ」

「いや、ダメダメ。ここまででもこんなにモメたのに、東北まで行かせたら一体どれだけの騒動に巻き込まれるかわかんないわ」

「しゅ~~~~~~んワフ……」

「あ、じゃあその船の人に直接交渉したら?」

「ダメだね。そんなことしたら商業ギルドが黙っちゃいないし、向こうだって聞いちゃくれないよ」


 商売に関する決め事はすべて商業ギルドが取り仕切っている。

 加盟店を通さず勝手に取引をしようものなら、売り手も買い手も双方厳しい罰則が、場合によっては一生商売できなくされてしまう場合もある。


「……だから直接買いつけに行っても無駄だね。他の店に頼むか、自分でギルド登録するしかないだろうね」

「ギ・ル・ド・登・録・?」


 その響きにちょっとワクワクしてしまう弥生。

 なんだかゲームの世界に入り込んだようで、興味を惹かれる。


「つっても簡単に認可なんか下りないぜ? 最低でも加盟店で五年以上の就労経験がいるし、そのほか学科試験とか適性検査とかいろいろあるし、そもそもあんたよそ者だろう? ここじゃ怨怒霊オンドレ国民(上級)しか取れないぜ?」

「ああああ~~~~……なんだが世知辛いぃ~~~~……」


 登録イベント発生かと期待したが、条件が生々しすぎる。

 断念するしかない。


「許可でしたら私がギルドに出向きましょうか?」

「いやあんたが行ったらまたパニックになるから、大人しくしてなさい」


 物騒なことを進言してくれる彭侯。

 出向く、の一言に恐怖しか感じない。

 べつに向こうから仕掛けてこなければ無用な争いをするつもりはない。

 土地のルールがあるならば極力従うつもりである。


「ねえねえ、つれないこと言わないでさ。ちょっとやる気出して仕入れてくんない? 注文するだけでしょ? 荷運びとか人手がいるならその手間賃も払うしさ」

「やだよ。そういう手配が面倒くせえっつてんの。一回デカい注文すると癖になるしな。色々あんだよ商売人にもな」

「……では手間ですが、別の店を探すしかありませんね」

「それもたぶん無理じゃね? だってあんたら昨日の襲撃者だろう? そんなの誰も怖くて相手してくれねぇって」

「……ありゃ? バレてるの??」

「バレてないとでも思ったか?」


 意外そうな顔をする弥生たち。

 店主は言葉とは裏腹にまるで怯える様子もなく、トボけた笑みを浮かべた


お読み頂きありがとう御座いました。(*^^*)

連載状況の方はツイッターでもお知らせしておりますので、そちらも合わせてお願い申し上げます。

https://twitter.com/t8XlRA1fFbmAm86


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