表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深淵のルシオール  作者: 三木 カイタ
蘇る狂気
177/183

第5話 再会 2

 だが、その集団が現れると、周囲の人たちが道を開けた。有名な人物なのだろうか、周囲の人たちは好意の目で彼らを見つめている。


 その青年が蛍太郎に歩み寄る。

「&#ルシオール&#*?」

 「ルシオール」しか聞き取れない。だが、せっかく掴んだ手がかりである。蛍太郎も必死になる。

「あなたはルシオールを知っているんですか?!」

 思わず蛍太郎が叫ぶと、青年は首を傾げた。

『しまった。エレス語だ。何て言えば良いんだっけ?』

 蛍太郎は懸命に頭を働かせたが、その前に、青年が言葉を発した。


「おまはん。ルシオールを知ってはるん?」

 日本語だ。いや、関西弁?京都弁?

 良くは分からないが、方言だろうが蛍太郎に通じる言葉だ。

「あなたは日本語が話せるんですか?」

 蛍太郎が驚きの声を上げる。

 周囲の人の反応を見るに、二人の言葉は通じていないようだ。それは青年の仲間たちも同様のようだ。

「いや。あてぇの言葉は『アズマ語』ですねん」

 アズマとは以前にも聞いた事があるが、日本によく似た国だったが、言葉まで同じとは・・・・・・。

 いや、これは偶然じゃ無い。

 エレスは地球からの移民者が住み着いた星だ。日本人がいて、日本文化が継承されていたとしても不思議では無いか・・・・・・。

 都合が良いように思うが、蛍太郎はそう納得して、とにかくこの青年と話をする事が重要だと考える。


「すみません。あなたはルシオールを知っているんですね?」

 蛍太郎が尋ねると、青年は、一瞬険しい顔をして、周囲を見回す。

「シィ。あんまそん名ぁ、人んいるとこで出さん方がええ」

 そう言うと、青年は蛍太郎の手を引いて歩き出す。

「あ、あの・・・・・・」

 蛍太郎は手を引かれるまま歩いて行くしかない。蛍太郎の周囲を興味深そうにその仲間たちが、おしゃべりをしながら歩く。特にエルフの少女がニコニコ話しかけてくるが、やっぱり何を言っているのか分からない。

 だが、悪い人たちでは無さそうだというのは分かった。


「何となく、あてぇはおまはんが誰かわかった気ぃがするぇ」

 青年が囁きかけて頷く。

「まあ、悪いようにはせえへんさかい、任しときぃ」

 言葉が通じる事が心強いだけでは無く、この青年はルシオールの事はもちろんだが、蛍太郎の事も知っているようだ。

 勿論蛍太郎には、この青年とは会った記憶は無い。




 青年たちはしばらく歩くと、二階建ての建物に入る。

 どうやら宿屋らしい。

 店主に話して、部屋を用意して貰っているようだ。


「とりあえず、今日はここに宿ぉとる。話はある思うけど、まずは食事にせなぁな」

 言われて見ると、蛍太郎が最後に食事をしたのは何日前だったか。



 青年を中心に、全員が大テーブルに付き、仲間が次々料理を注文していく。

 その間に、青年が自己紹介をしていく。

「あてぇは、カシム・ペンダートン。竜の団のリーダーや」

 蛍太郎は驚愕する。「ペンダートン」だって?それはあの白銀の騎士と同じ苗字じゃ無いか。

「カ、カシムさんは、ジーンさんの親戚かご兄弟ですか?」

 言われて見れば顔はそっくりだ。

 するとカシムと名乗った青年が笑う。

「やっぱりおまはんは『あの人』なんやなぁ」

 それから、真剣な表情をする。

「となるとや。驚くかも知れへんけど、おまはんがおった時代から、四十六、七年?まあ、そんぐらい時間が経っておるんや」 

 青年の言葉に、蛍太郎は驚く。蛍太郎にとっては数日前にエレスから地獄に落ちたのに、再びエレスに来たら、そんなにも時間が過ぎてしまっていたのだ。

「あては、ジーンの孫どす」

 ジーンの孫だって?これはまたどんな偶然で、蛍太郎とこの青年は出会ったのだろうか?

 

 青年は、ジッと蛍太郎を見つめる。優しく、厳しい眼差しだ。

「あ。俺は、山里蛍太郎です。蛍太郎が名前です」

 青年は頷いた。

「お願いですから、俺をルシオールのいるところに連れて行って貰えませんか?」

 蛍太郎にすがれるのは、この青年しかいない。

 青年は、またしてもじっくり考える。


 しばらくすると、次々食事が運ばれて来た。

 エルフの少女が、おそらくは「いただきます!」と言ったのだろう。みんなが食事に手を伸ばす。

「取り敢えず、おまはんも食事にしなはれ」

 青年が言うので、確かに腹ぺこだった事も有り、料理に手を伸ばす。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ