第5話 再会 2
だが、その集団が現れると、周囲の人たちが道を開けた。有名な人物なのだろうか、周囲の人たちは好意の目で彼らを見つめている。
その青年が蛍太郎に歩み寄る。
「&#ルシオール&#*?」
「ルシオール」しか聞き取れない。だが、せっかく掴んだ手がかりである。蛍太郎も必死になる。
「あなたはルシオールを知っているんですか?!」
思わず蛍太郎が叫ぶと、青年は首を傾げた。
『しまった。エレス語だ。何て言えば良いんだっけ?』
蛍太郎は懸命に頭を働かせたが、その前に、青年が言葉を発した。
「おまはん。ルシオールを知ってはるん?」
日本語だ。いや、関西弁?京都弁?
良くは分からないが、方言だろうが蛍太郎に通じる言葉だ。
「あなたは日本語が話せるんですか?」
蛍太郎が驚きの声を上げる。
周囲の人の反応を見るに、二人の言葉は通じていないようだ。それは青年の仲間たちも同様のようだ。
「いや。あてぇの言葉は『アズマ語』ですねん」
アズマとは以前にも聞いた事があるが、日本によく似た国だったが、言葉まで同じとは・・・・・・。
いや、これは偶然じゃ無い。
エレスは地球からの移民者が住み着いた星だ。日本人がいて、日本文化が継承されていたとしても不思議では無いか・・・・・・。
都合が良いように思うが、蛍太郎はそう納得して、とにかくこの青年と話をする事が重要だと考える。
「すみません。あなたはルシオールを知っているんですね?」
蛍太郎が尋ねると、青年は、一瞬険しい顔をして、周囲を見回す。
「シィ。あんまそん名ぁ、人んいるとこで出さん方がええ」
そう言うと、青年は蛍太郎の手を引いて歩き出す。
「あ、あの・・・・・・」
蛍太郎は手を引かれるまま歩いて行くしかない。蛍太郎の周囲を興味深そうにその仲間たちが、おしゃべりをしながら歩く。特にエルフの少女がニコニコ話しかけてくるが、やっぱり何を言っているのか分からない。
だが、悪い人たちでは無さそうだというのは分かった。
「何となく、あてぇはおまはんが誰かわかった気ぃがするぇ」
青年が囁きかけて頷く。
「まあ、悪いようにはせえへんさかい、任しときぃ」
言葉が通じる事が心強いだけでは無く、この青年はルシオールの事はもちろんだが、蛍太郎の事も知っているようだ。
勿論蛍太郎には、この青年とは会った記憶は無い。
青年たちはしばらく歩くと、二階建ての建物に入る。
どうやら宿屋らしい。
店主に話して、部屋を用意して貰っているようだ。
「とりあえず、今日はここに宿ぉとる。話はある思うけど、まずは食事にせなぁな」
言われて見ると、蛍太郎が最後に食事をしたのは何日前だったか。
青年を中心に、全員が大テーブルに付き、仲間が次々料理を注文していく。
その間に、青年が自己紹介をしていく。
「あてぇは、カシム・ペンダートン。竜の団のリーダーや」
蛍太郎は驚愕する。「ペンダートン」だって?それはあの白銀の騎士と同じ苗字じゃ無いか。
「カ、カシムさんは、ジーンさんの親戚かご兄弟ですか?」
言われて見れば顔はそっくりだ。
するとカシムと名乗った青年が笑う。
「やっぱりおまはんは『あの人』なんやなぁ」
それから、真剣な表情をする。
「となるとや。驚くかも知れへんけど、おまはんがおった時代から、四十六、七年?まあ、そんぐらい時間が経っておるんや」
青年の言葉に、蛍太郎は驚く。蛍太郎にとっては数日前にエレスから地獄に落ちたのに、再びエレスに来たら、そんなにも時間が過ぎてしまっていたのだ。
「あては、ジーンの孫どす」
ジーンの孫だって?これはまたどんな偶然で、蛍太郎とこの青年は出会ったのだろうか?
青年は、ジッと蛍太郎を見つめる。優しく、厳しい眼差しだ。
「あ。俺は、山里蛍太郎です。蛍太郎が名前です」
青年は頷いた。
「お願いですから、俺をルシオールのいるところに連れて行って貰えませんか?」
蛍太郎にすがれるのは、この青年しかいない。
青年は、またしてもじっくり考える。
しばらくすると、次々食事が運ばれて来た。
エルフの少女が、おそらくは「いただきます!」と言ったのだろう。みんなが食事に手を伸ばす。
「取り敢えず、おまはんも食事にしなはれ」
青年が言うので、確かに腹ぺこだった事も有り、料理に手を伸ばす。




