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シャルロッテに会えない

職員室に辿り着くと、

キースがじゃあこれでね、と言って帰って行った。


仕事前にわざわざこれだけのために来てくれるなんて、

なんてありがたいことなんだろうと思う。


ドアを開けて先生のところへ向かうと隣の先生が不在なのをいいことに隣の席の椅子を指さされて、

座れ、と言われて座る。


「まずは全快おめでとう。待っていたよ」

と先生がおっしゃる。

優しいお若い男性で、特筆したところもない平凡な先生は、あんまり記憶になかったが、優しくてちょっとウルっとしてしまった。


ちゃんとコレからは先生のこと、記憶に残します!と思う。魔法も解けたし、大丈夫でしょう。


と思ったところで、

目の前にドサっと沢山の冊子が置かれる。


「これ、1か月分の課題な。期限は夏休みが終わるまで。ちょうどもうすぐ夏休みでよかったな。だが、夏休みの課題もあるから頑張れよ!」


ヒーーである。

先生のこと、別な意味で、

多分忘れないと思う。


「……はい」

用意していた紙袋に、冊子をドサドサいれる。


ごついミリーなら軽々だったが、

今は、すごく重い。

これ持ち歩くのは勘弁だから、

一回家に戻っておいてこよう。


魔法陣にヨボヨボ戻ろうとすると、

知らない男子生徒が寄ってきた。

名札の色を見る限り同級生のようだ。


「重そうだね、持とうか?」

なんて言ってくれるのでありがたく持ってもらう。


病み上がりの同級生に優しく声かけてくれるなんてなんて優しいのだ。


認識阻害魔法解除されてよかったなぁと思う。


魔法陣まで連れてってもらって男子生徒にお礼を言い、

別れる。

男子生徒になんかニヤニヤされてるような気がしたが、ハテ。


紙袋に(ミリー課題よろしくお願いします)

とでっかくマジックで記入して、

魔法陣で送る。


これでエイミーが気付けば部屋に置いておいてくれるだろう。


さて、と。


教室に戻ろうするミリーの周りがザワザワしている。


なにこれ、なんか、そう。

動物園の動物ってこんな感じなのかな?ってくらい見られている感じがする。


いや、例えがおかしいか。


私スカートでも捲れてる?

と思うも、捲れてないし……。


「あら、ミリー! 学校にようやく来れたのねー」

クローディアがやってくる。

with王太子様


「クローディア! お久しぶり! 会いたかった!」

「いや、3日前もあったばかりでしょ」

「そうでしたそうでした」


クローディア、

妃教育の合間をぬって、きてくれたんだよね。

でも、学校で会えるの嬉しすぎる。


クローディアがきたら更にザワザワされる。


「ねぇクローディア、さっきからジロジロされるしザワザワされるの。これってなんなの?」

コッソリ聞く。


「ミリーを見てるのよ」

苦笑する。


「私? まぁ、魔法が解けて転校生状態とはいえ、なんか見られすぎてる気がして……。何か私おかしいところでもある? スカート捲れてるかと思ったらそうじゃなかったんだけど。ちょっと見てもらっていい?」

クローディアに見てもらうため、クルっと後ろを向く。


向き直し、

「へんなとこあった?」

クローディアに訪ねる。


「ふふふっミリー。大丈夫よ。エイミーがきっちり可愛くやってくれてるわよ。認識阻害魔法がとけて、あなたの可愛さをみんな再確認しちゃってるだけよ」

ニッコリしながら、ビックリ発言を、した。


「えっどういうこと?」

信じられない言葉だが、

見られてるのは確かだし、

見てるのは男子生徒だしなんかニヤニヤしててなんか怖い。

ヒロイン補正といつやつが発動したのかな?


いや、よくよく考えると、

クローディアが来た瞬間ザワつきがアップしたので、

クローディアも完全にザワザワの原因に、加担してると思う。


「ねぇねぇ、クローディア、私怖いんだけど…」

私がそういうと、


with王太子様が、

「クローディアも俺が離れたらそうなんだ。だからいつも一緒にいるようにしてる」

と言った。


「ラインハルト様……」

クローディアは照れまくる。

クローディア、さらに可愛くなってる!


2人についててもらおうと図々しくもお願いしようと思ったが、

なんか居づらくて、

「まぁ見てるだけだし大丈夫かな? 動物園の動物気分を存分に味わうわ。クローディア、またね、王太子様、失礼します」

といって離れることにした。


授業がそろそろ始まるので、教室にそろそろいかなきゃ。


その通り道にシャルロッテのクラスがあるので、

シャルロッテがきているか確認しようとしたが、

いなかった。


近くにいた女子生徒に、

「シャルロッテさんはいらっしゃいますか?」ときいてみると、

「さっきまで、いらっしゃったと思うのだけど……」

ということだった。


また昼休みにでも来よう。


だが、授業が遅れまくった私は、

全然わからなくて、昼休みは必死で復習する羽目になってしまった。


「ミリーさん、よかったら」

同じクラスのヘイデンさんが、授業のノートを見せてくれる。

めっちゃ見やすくて良いノート。

「移しおわったら返してくれたらいいわ」

とニッコリしてくれる。


「ヘイデンさん、ありがとう!」

他の女子生徒たちもめいめいの得意な教科のノートを貸してくれて、

なんだか、私が憧れてたクラスメイトとのキャーキャーワーワーに一歩踏み出せた感じがした。


「これからも、よろしく!」

張り切って挨拶してしまったら、

ミリーさんって面白いね!ってヘイデンたちがめっちゃ笑ってくれて、

なんだか嬉しかった。


これから、沢山は贅沢かもしれないけど、

お友達ができたら嬉しいと思う。


ようやく放課後になり、

私はシャルロッテに会いたくて探すことにした。


……「シャルロッテ?中庭かな?」


……「さっきまでここにいたんだけど、図書館に行くっていってたよ」というのを散々繰り返しても会えなかった。


最後に、よく漫画で見るような、

「おい校舎の裏で待ってるからな」の、

呼び出しされる定番である、人気のない校舎の裏手に当たるところも覗いてみたものの、

いなかった。


何かに邪魔されてるよう。


もしかしてシャルロッテ、何か自分に魔法をかけた?


すごく心配だ。

悪い予感がする。


サーム先生に連絡をとってみよう。


私は、焦る気持ちを落ち着かせようと深呼吸した。

一旦、帰ろう。


「あ、ミリーさんだ」名札の色が同級生の男子生徒が、

声をかけてきた。


あ、この人、魔法陣まで教科書を届けてくれた人だ。


「朝はありがとうございました。私に何か御用ですか?」

ニッコリ営業スマイルする。


こういうの慣れないからと思うのだけど、

なんか誰もいないし、

この男子生徒と2人っきりってすこし怖い。

同級生に怖いとか失礼すぎだけど。


なにを話すかと思って待っていたら、

「ミリーさん、可愛いね」

男子生徒はそう言ったのでびっくりする。


私の目をみてきた、男子生徒は男の子の目をしていて。

キースなら嬉しくなるあの目をしていて。


……私は恐怖で震え上がった。


「そう怖がらないでよ。2人きりになりたかったんだ」

彼はそう言って私の顎を触って、

腰に手を回してきた。


「やめて……ください!」

怖い。

突然の恐怖で、体がうまく動かない。

こういうことに、慣れてなさすぎた。


「震えてる……可愛いね」

「やめて」振り払おうとすると、

両腕を掴まらてしまった。


あぁ、キース、助けて……!

ミリーちゃん大ピンチです。

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