第7話:アイドルになろう?
皆で水着(と私は私服)
の買い物を終えた帰り。
また皆で駄弁りながら駅へと歩いている。
「そいえば由依がもってるアクセってそのブレスレットだけなの?」
「部屋を探せば出て来るかも」
「じゃあやっぱり自分で選んだのは無いんだ」
「・・・って事は・・・?」
「いや、今回は女子力アップ作戦は無いよ。アクセなんて自分の好きな奴買おう?って結論にしかならないし」
そんなことを話しながら歩いていたら。
ふと後ろから声を掛けられた。
「そこの女の子達、ちょっとお時間いいかな?」
「え?私?」
「多分そうかな?周りそれっぽいのいないし」
振り向くとスーツ姿の男性が居た。
「君たちアイドルに興味ない?」
「アイドル?」
「そう。私はこういうものなんだけど・・・」
スムーズな手つきで渡された名刺には、
瀬問プロダクション
プロデューサー:神原 長良
そう書かれていた。
「せもん・・・プロダクション・・・?」
私は聞いた事無かったけど、二人は違ったようだ。
「あれ?由依知らない?瀬問プロダクション」
「うん。聞いた事無いや」
「セモプロ知らなくても、PeacE.は知ってるでしょ?」
「PeacE.・・・あ、それは知ってる」
私が入院中だった頃、ナンバーワンと言ってもいいアイドルユニットだった気がする。
テレビで曲が何度も流れてた。
今は4人だけど、前は7人だったらしい。
今はどうだったかな?ナンバーワンってほどじゃないけど、
まだまだ人気アイドルだったと思う。
「PeacE.について知ってるなら話は早いですね。1年前、メンバーのうち3人が卒業してね。で、第5期メンバーを探してるんです」
「あ、そうだ、まえに卒業してましたね」
「それで、わたし達をスカウトに?」
「そういう事です」
「でもPeacE.くらい有名だったら募集すればすぐ集まるんじゃないですか?」
「うちのプロダクションは伝統的にスカウトでやってるんですよ」
「へー」
「で、どうです?PeacE.に興味はあります?」
「うーん・・・わたし達はともかく、お姉ちゃんは無理だよね」
「うん」
あんなに歌って踊って、無理に決まってる。
「由依の体力だと、一曲目のサビ前に倒れそうだよね」
「うん。そんな気がしてる・・・」
「まぁ、体力的に難があるというのなら無理は言いませんが、一度見学だけでも・・・」
アイドルについていろいろ話し合っていると、
また誰かの声がする。
「あ、プロデューサーさん、こんなとこにいたんだ」
横の建物から、一人の女の子が近寄って来る。
その子は、割とロックで派手めな恰好をしていた。
「あ、またスカウト?」
「ああ、本庄さん。まぁそんなところです」
「へー、どんな子?・・・あっ」
覗き込んできたその子が急に固まる。
「あれ?六依達・・・?」
「え?何で私の名前を・・・?」
急に私の名前を呼ばれてびっくりしてしまう。
鈴の方かもしれないけど。
「あ、本庄さん」
朱音さんは知っている様子
「あれ?朱音さん?」
「この子クラスメートだよ」
「え?」
そ、そうだったの?
「そうだよ。本庄 未来。聞いた事ない?」
腰に手を当て、強気な視線で聞いてくる。
「あ・・・そういえば・・・」
「はぁー・・・やっぱあたしってそんなに存在感無い?」
うなだれる本庄さん。
「ご、ごめん!そんなわけじゃなくて・・・」
「ま、まぁまぁ・・・悪気は無かったみたいだし・・・それより、本庄さんPeacE.なの?」
鈴がフォローに入ってくれる。
「そだよ。デビューはまだだけど、スカウトされて、6期メンバーになる為にトレーニング中」
自身気に言う本条さん。
「へー、すごいね。アイドルなんて」
「デビューのライブは見に行ってもいい?」
「え?、あ、まぁ・・・いいけど・・・」
「いつ?」
「まだわからない。まぁわかったら教えるから」
「へー、じゃあLINE教えてよ」
鈴と朱音さんが畳みかけてきて私の出る幕が無い。
連絡先の交換を済ませると、
「じゃ、あたし、稽古の時間だからもう行く」
「わかった。デビュー楽しみにしてるね」
「うん。・・・あと、六依由依、」
本条さんは私を指さして
「あんたには絶対負けないから」
「私・・・?」
そういってさっさとどこかへ行ってしまった・・・
なんで私?三人の中じゃ一番アイドル適正無いのに・・・?
「なんで私・・・?」
「「さぁ・・・?」」
二人にもその理由は分かってないみたい。
「その・・・アイドルの件はお断りしておきます」
「そうですか、まぁそう言われたら無理にとは言えませんので、私はこれで失礼いたします。もし気が変わったりしたらそこにご連絡ください。忙しい所引き留めてしまってすいません」
結局スカウトは断る事にした。
私は当然の事、鈴と朱音さんも。
お姉ちゃんと会う時間が減るじゃん。と鈴。
私そういうのガラじゃないしね。と朱音さん。
そんな感じで、スカウトなんてレアなイベントは終了した。
もし私が万全だったなら、どうしただろうか?
アイドルになる?




