私の叫び
弟は何処かへ消えてしまった。光は何処かへと。
そう、私はずっと呆けていた……ずっと座りどうしていた。その場へ……ずっと……ずっと、座っていた。誰かが呼んで何処かへ連れて行かれた。すうっと手を引っ張られていった。そう……誰かにわからない、誰かに。
誰も、弟のことは忘れていた……そう、死体や証拠のことなどどうでもよかった。私はこの国で初めて、"騎士"の称号を正式に預かった。
ここに、私は"騎士ラディス"となった。"アノン"という名前は何処かへと消えてしまった。
日夜のパーティー……きれいな衣装……ああ……あの子が着たら似合うだろうなぁ。そんなきれいな襟のついた上着、そう今のあの子が着れば……どれだけ良いだろう?私が着て何になるのだろう?そんなことばかりが頭を駆け巡る。
『おめでとう』そんなことばかりだ……街ゆく人たちにそんなことばかりをかけられる。何もめでたくない……誰も彼のことは覚えていない。私が誰だったかなんて関係ない。そう、もういいかなぁ……一人きりは。
「ねぇ"ニセモノ"君……フフ」
……いきなり、天から光が降ってきた。そう、光が私に掛かってきた。笑っているような、泣いているようなそんな顔。私はひと目見てわかった……この方は"神様"なんだって……神秘的な"体験"だった。"名前"をもらった日のよりも"本当"の姿だった。
「君が弟くんと、会いたいなら……出来るよ?……まぁ今と同じような形だけどね……君が"会った"って分かるの……ふふふ」神様は優しく微笑みかけてくださった。それなら……私の答えは一つだ。
「よっし"ニセモノ"君は分かりが速くてよろしい。うんうん、それならそぅれ……指切り拳万嘘付いたら針千本飲ます指切った」指切りの約束までしてくれた。
「じゃあね……また会えたら会おうね」神様は帰っていった。何処へかは分からない、走り出して行った。昨日に向かって。
今誰が笑ったかもしれない……そんなところ。子どもたちの笑い声が聞こえる。そう……、そんな所どうだって良い……祈り続けるしかない、あなたに会うために。
そう……あなたにもう一度、会えるのならあなた……をもう一度この手で討ったとしても。私が鈍感で愚かで例え、あなたがもう一度地に伏した時に気づいてもあなたにもう一度会いたい。そうあなたの透き通るその肌にもう一度触れたい……そうね、私はあなたの大切な人も討ってしまったね……こんなお姉ちゃんでごめんね。
でもね、最期の時でいいからあなたを私の独り占めにさせてくれないかな?私だって頑張ったんだよ、こんなに手をボロボロにしてさぁ……師匠だってみんなだって私のそばから知らずに居なくなったんだよ?ねぇ、あなたは聴こえなくても、息をしなくても良いから一緒に居て。少しだけ……で良いから。カミサマ、お願い……この私にもう一度私に"弟"を討たしてください。
……ああ、そうだった、私が"ボク"で僕は"ワタシ"だった。そう……そうだった、ワタシは、こんなに元気だった……そしてボクは、こんなに優しかった。……ありがとう、ミンナようやく分かったよ。じゃあね。また会おうね……バイバイ。
読んでくれてありがとうございました。彼らの声をまた聞いてくれるならありがたいです。




